甲府盆地は、これまでにないほどの蒸し暑さでした。
南アルプスは、低い雲に覆われています。
夜半まで雨が降ると天気予報に出ています。
でも、明日の天気はいいらしい…
夕方6時過ぎに家を出て、夜叉神峠登山口をめざします。
普段は思い出のある芦安温泉ロッジからバスに揺られて広河原まで
白根三山の景色を楽しみながら向かいますが、今回は立石沢…
記録がまったくヒットしない沢だけに、下山の時間が読めません。
夜叉神峠登山口まで車を上げておいた方が安心です。
芦安温泉ロッジの上にあるゲートを過ぎ、山道を進みます。
山道に入ると雨脚が強くなり、先が見通せないほどです。
後から来た丸山さん達は、倒木に道を阻まれたそうです。
雨は夜半まで降り続きました。
翌朝目覚めると、いつの間にか車で駐車場が埋まっています。
朝食を食べていると、乗り合いタクシーが数台登ってきました。
少し遅れてバスが到着します。今日は、3台でした。
本格的な夏山シーズンの始まりです。
バスに乗り込み夜叉神トンネルを抜け、しばらくすると野呂川の深い谷の向こうに農鳥岳が見えてきます。
添乗員さんから「立石沢へ行く人は、初めてだ」と言われました。
夜叉神峠登山口から広河原まで、いくつかバス停があります。
わたしも以前は、「なんでバス停があるの…」と思っていました。
「スタジオ〇〇〇の△△△でも乗るのか…」等々
この区間は、どこでも乗り降り自由のようです。立石沢の真ん前でバスを停めていただきました。
乗客のみなさんは、きっと「こんなところで降りるの…」と思ったに違いありません。
バスを見送り、装備を身に付けます。目の前にすでに立派な滝があります。
ウォーミングアップなし…気を引き締めます。
沢の中は冷たい風が吹き、寒いくらいです。
最初の滝は、左からトラバース…その先も滝が連続しているのが見えました。
快適に登っていくと今日の核心…2段の滝でした。
1段目を登るとテラスがあります。逆層気味でヌルヌル…水を被ります。
水流を浴びてテラスを渡り、丸山さんがルートを探します。
ロープを出して空身で左から回り込みました。
高森さんも続き、全員の荷揚げをしたのち私も登りました。
3段の滝…3段目はロープを出して右壁を慎重にトラバースします。
そこを越えると眺めのよいテラスがあり、休憩しました。
その後、傾斜が緩みます。
樋状の沢を水流沿いにどんどん登り、高度を稼いでいきました。
8m程の滝の右壁を登ると、眺めのよいテラスがありました。
水流がかなり細くなってきました。
ようやく沢の中に陽が差し込みました。陽の光の暖かさが大変有難かったです。
ここからはかなり崩壊が進んでいるようで、巨岩のゴーロが続きます。
伏流になり、ひたすら枯れたゴーロを進みます。
水流はなくなりましたが、ボルダーチックで楽しめました。
高度を上げていくと、間ノ岳、北岳が見えてきます。
1970m付近枝沢までは、巨岩のゴーロ帯でした。
そこを過ぎると、急に沢幅が狭まります。
ときどきロープを出しつつ、先に進みます。
花崗岩のザレになり、傾斜もほとんどなくなりました
砂払が見えてくると南アルプスらしい豊かな森になり、心が和みます。
ちいさな台地があり、動物たちの楽園のようです。
しばらくのんびり過ごしました。
沢型もほとんどなくなりましたが、鞍部を進むと南御室小屋に着きました。
南御室小屋は、数十年前に初めて訪れた時からその趣は大きく変わりません。
鳳凰三山は私にとってはまさにホーム…このまま変わらずにいてほしいと個人的には思います。
南御室小屋は、水が豊富で本当に助かります。
とても冷たく、まさに南アルプスの天然水です。
今回も少し多めにいただき、下山後の水割り、コーヒーに使わせていただきました。ありがとうございました。
装備を解除し、昼食をゆっくり摂りました。
登山者で賑わう小屋を後にし、夜叉神峠登山口に向けて下山を始めます。
白根三山や杜を楽しみつつ、いつもの道を下りました。
下山後すぐに夜叉神ヒュッテで入浴し、冷たいお茶とすももをいただきました。
ジャムソフトも、とてもおいしいです。
とてもきれいな山小屋なので機会があれば、前泊したいところです。
7月7日のNHK甲府放送局でも、放送されていました。
今回の立石沢が、南アルプス野呂川シリーズ第1弾となるのでしょうか。
立石橋(6:30)-二俣(10:14~10:28)-南御室小屋(11:58~12:55)-苺平(13:06)-杖立峠(13:56)-夜叉神峠(14:42)-夜叉神峠登山口(15:18)