登川金山沢

金山沢は、いつか行くぞ、と思っていた沢だった。

いろいろ教えてくれたY﨑さんが、こういう沢に行ってほしいんだよ。って言っていた沢だった。
その頃の私にはとてもじゃないけど行ける沢じゃなかった。でも、それ以来ずっと、頭の片隅にその名前はあった。
Y﨑さんに教わったこと。沢はリードしてナンボだよ。どんだけヤバイ経験したかだよ。etc・・・

あれから何年経ったのか。
ようやく金山沢に行こう、行きたい。そう思えるようになった。

・・・っていう、前置きはこのぐらいにして。
いつも私のチャレンジ企画についてきてもらっている伊藤さんに感謝です。

たぶん、いや絶対?遡行に時間かかると思われるので、最初から泊まりで行くことにした。荷物は軽量化、だぶって持っている物がないようにした。

2日(晴れ時々曇り)
古峰山(こがらさん)台原登山口に車を停めて、支度する。
この登山口までの道は車のナビに載っていなく、非常にわかりにくいので事前に下見して確認済み。(yahooのナビアプリには載ってた)
291号線から「上姥沢入口」の青い看板がある道を左折、広大な田んぼの奥に登山口がある。

金山沢から田んぼへ水を引いている水路沿いを進む。ここから5分ほどで入渓できる。

始まりは地味なゴーロだが、水は綺麗だ。

すぐに右岸にスラブが現れ、雰囲気を醸し出す。

巻く場面では、意外と踏跡があったりした。

巨岩帯となり、右岸の岩屋を過ぎると、開けた場所に。巨岩にはスズメバチの巣が2個確認できた。大岩の下から水流沿いに登る。上がった先は、巨岩で塞がれたか!と思ったが通過できた。

一旦穏やかな渓相に。

番号が書かれた岩があり、19番と21番は確認できたが何でしょこれ?

こんなサイズの蛙をたくさん見かけた。擬態している。けどバレバレだよ・・

いよいよ、ナメ滝が現れ始める。

黒岩沢出合を過ぎると、すぐ多段30m滝となる。

左岸を穏やかに巻ける。

続いて50m滝。

流れは右に曲がっており、落ち口は見えない。

水流から離れないように進む。途中まで踏跡らしきものがあった。
落ち口直下まで来た所で、青いサンダルの片方が落ちていた。先人もここを通ったのか。

バンド状になっていたりで、巻きは悪くない。

落ち口の上に降りる。

滝上はすぐにトイ状滝となり、また巨岩帯に突入。
こんな楽しい場面も。

空身で穴からこんにちは!

先のほうにスラブ帯がちらっと見えたが、なかなか開けてこないのがもどかしい。

いよいよ、スラブの岩肌が現れ始める。

おぉっ!

第一スラブに到着。スラブを眺めながら昼食。

お~!!

第一スラブは右からも行けそうであったが、上で水流を横断できるか不安なので、左から行くことにした。
左に寄りすぎると傾斜が強くなるので、水流のほうへ近づいていきたいがルート取りに迷って、時間が経過。。
ホールドがあるルートを見つけて上がっていく。

水流左の草があるとこに行きたい・・
絶対に落ちられません。

水を汲む。。。水流に近づいたところで汲んでおかないと、水がなくなる。

まだスラブは続く。出口の8m滝を左から巻く。

いよいよ核心の第二スラブ。
30mロープ1本で、最初からロープを引いていく。1ピッチ目は左ルンゼ状から確保なしで上がる。

ここで上のほうまでよく見てルートファインディングしないといけなかったらしい。。(帰ってからいくつかの先人の記録をもう一度読み返した。水流沿いに行くルートもある)

2ピッチ目、草がもしゃもしゃ生えているところまでは順調に進むが、そこから上はのっぺりしていて傾斜も増しフェルトのフリクションの限界を越えている。
行けるか?いや、無理だよな・・(また時間経過)逡巡したのち、一旦降りてクライミングシューズに履き替えることにする。幸い細い灌木に支点を取ることができた。

クライミングシューズに履き替え、再トライ。クライミングシューズの威力は凄かった。無理に突っ込まなくてよかった!

右側にある溝状ラインを目指してトラバースする。

溝っぽい所を直上する。途中に古い残置ハーケンが2つあった。つぶれて使えないけれど。先人もここを登ったのかと思うと少し安心した。だんだん傾斜が増してくるのでハーケンを打つ。

ここはレイバックで。残置ハーケンがあった。1つは古くてサビサビだが、もう1つは比較的新しめ。岩を回り込むように上がると、先人の記録に書かれているとおり、岩質が変わり、ホールド・スタンスがあるごつごつした岩になる。

ついに最終ピッチ。時間が押しているので気が急いているが、濡れた岩は若干ぬめりがあり、慎重に登る。

泊まりの荷で登れんのか?って心配でしたけど、大丈夫でした。
全部で6ピッチ。
落ち口の様子。

小さな釜を持つ小滝を上がり、沢靴に履き替える。
この先は小滝でいいのになぁと思うのに、まだまだ大きめの滝が出てくる。

15m滝
10m滝・・・

すぐにでもテンバを見つけたいのに、小滝、中滝が続いてテンバ適地が現れない。河原がない。ここならなんとか・・という場所を見つけて荷を下ろした。
タープを張って、ビールを冷やして、少ない薪を集めて・・伊藤さんがすぐに火をつけてくれたのでありがたかった。
切干し大根サラダを作り、サラミやちょっとしたおつまみを並べて、ささやかに乾杯する。ビールがおいしい。
今日いちにちのあれやこれやを話す。ルートファインディングもまだまだだし、時間はかかったけれど、第二スラブを越えられてよかった。
やがて尾根の向こうから月が現れ、月明かりが照らし始めた。

3日(晴れ)

悪くないテンバだった。住めば都ですわな。

ナメやナメ滝が続く。

1550m付近はステキな所。

ちょこちょこ小滝が現れる。

1720mの二俣を左に入る。ボサがかぶって進みにくい所もあるが、最後のほうまで沢型が続く。両側が土の斜面となり、水が涸れた後も涸小滝が出てきて、飽きさせない(笑)

沢型の終わりは斜面が立っていて腕力で上がると、笹ヤブに突入。
向こうに登山の人がいてこちらを見ているので、手を振って「お~い!」というと、「お~い!」と振り返してくれた。

ものの数分で登山道に出る。ヤブこぎというほどのものはなく、比較的楽に詰めることができた。道は踏跡程度かと思っていたが、しっかりした登山道だった。

15分ほどで割引(われめき)岳に着く。

眺めが良い
割引沢コース
これから辿る方面の道
本来の山頂より手前に巻機山山頂の道標があった(二度見してしまった)
避難小屋方面へ下る

井戸尾根で桜坂駐車場へ下りる。ザックと伊藤さんを置いて、車の回収へ。
登山道で抜きつ抜かれつした女性登山者の方に、291号線のこの辺りまで乗せてもらえませんか?と交渉したところ、気持ちよく受けてくださり、車に乗り込む。私と同じく横浜から来た方でした。さらに、登山口まで行きますよ、と車の近くまで乗せていただき大変助かりました。ありがとうございました。

お風呂は金城の里で。¥350なり。
その後、地酒を購入し、帰路につく。高千代の酒蔵って291号線沿いにあるんですね。

お疲れ様でした。。。

金山沢は良い沢だと思う。
明るくて、景観も良くて。

帰ってから、もう一度先人の記録を読み返した。第二スラブで左にルートをとる場合は、どうしてもクライミングシューズかラバーソール靴が必要になるが、フェルト靴で水流沿いに行っている記録もあったので、次に行くときはそちらのルートも行ってみたいと思う。


山行最終日:2023年9月3日
メンバー:高森(L) 伊藤
山域:巻機山
山行形態:沢登り
コースタイム:
2日:古峰山台原登山口P(6:40)-堰堤上・入渓(6:45)-黒岩沢(10:07-20)-50m大滝上(11:25)-第一スラブ下(12:12-46)-第二スラブ上(17:35)-1470m付近幕場(18:38)
3日:幕場(6:40)-1720m二俣・左(8:33)-稜線登山道(9:19-26)-割引岳(9:43-52)-巻機山山頂道標がある所(10:15)-避難小屋(10:30-11:06)-桜坂駐車場(13:30)
地形図:巻機山
報告者:高森

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