今週は利根川上流にある藤原ダムに注ぐ夜後沢と武尊川支流苅又沢を訪れた。地形図を見る限り沢登りの対象としての面白さはほとんど期待できないし、実際その通りだった。では、何でこれらの沢を選んだのか? 近場で山菜を期待したというのが最も大きな理由だ。関東で雪が多い地域、かつ開けていて日当たりが良さそうな沢という条件で地形図を見ていたら目についた。
山菜を採りながら遡行して、沢で一泊してから下山するつもりだったが、下降する沢に幕場適地が見つからず、その上釣師に遭遇して幕を張る気も失せてしまったので一日で下山してしまった。
平出集落の北のはずれで県道63号線沿いの路肩が広くなったところに車を停めて夜後沢へ向かう。夜後沢には夜後沢橋という橋が架かっていて、右岸には道がついていた。まだ雪が残る季節とあってか水量は結構多く感じられる。
夜後沢橋から右岸の道を辿る。100Mくらい歩いた辺りでミヤマイラクサを見つけて採取。沢は滝が懸っているわけでもなく、水量は多いが平凡なのでさらに道を辿る。道なりに進むと8M滝に行き着いた。
滝は左側が登りやすいかに見えたが、釜が深くなっており、取付くのにかなり浸からなければならないので右壁に目を向ける。スラブ状でスタンスはあるが泥が乗っていて滑りやすいところがあるので注意して登る。
滝上に立つと一枚岩の岩盤の上を水が流れている。落口から3Mくらいのところで流れは二分していて、右側には3M、左側には小滝が懸っている。
少し沢を遡行すると右岸に踏跡が出てくる。滝を登っているとも思えないので、滝を巻くように続いているのではないかと思う。
2Mのスラブ滝の左を越えると、流れは右に折れて、そのすぐ先に釜を持った4Mの滝が懸ている。釜が深いので道なりに進んで巻く。
道は二手に分かれ沢沿いに進む右へ進路を取ると10Mの大滝に行き着く。水量が多いからだろう、落口でややヒョングッている。
両岸とも手がかりが少なく登るのは難しそうなので、道を少し戻って凹角を登ると再び道に出た。手前の分岐を左に向かっていた道だと思われる。
左岸に続いていた岩壁もなくなり、開けて穏やかな渓相になる。道は標高950M付近まで続いており、不明瞭になったところで沢に降りた。
沢に降りて少し進むと8M2段の滝が懸っていた。上段は直瀑で、下段は斜瀑だが、水量が少ないと下段は滝に見えないかも知れない。右岸を小さく巻く。
滝上はナメが続き、やがて左岸に日当たりのよいスラブが見えてくる。
こういうスラブには山菜が出ていることが多いので、目ぼしいものはないかと目を向けてみる。
結局入手できたのはウルイだけだったが、太くてまだ筒状に巻いているものを採取することができた。
特に何もなく淡々と歩く。1100Mで(1:2)で左に枝沢を分け、1160Mで右に枝沢を分ける所で休憩する。5月にしてはかなり暑くなったが、陽に透けるカエデの葉が涼しそうに見える。
1200Mあたりからは所々残雪が見られるようになる。残雪は左岸に多く見られた。
一旦ボサが煩くなるが、1550M辺りからはボサが後退して歩きやすくなる。間もなく水が涸れそうになり尾根が近くに見えてくる。
1600Mで沢形を離れて北側の尾根に上がる。尾根上には雪田が残っていたため、開けて見えた。
尾根の北側は笹薮が濃いが、下降するには支障ない。下降した苅又沢の支流はほとんど水流がなく、上から下まで浅い雪渓に覆われていた。
水が流れ始めるとまもなく本流に出合う。開けていて平凡な渓相だ。
傾斜は少なく開けてはいるものの、幕場に適したところが見つからない。途中で釣師と遭遇して完全に泊まる気が失せてしまった。
下降途中でわずかながら赤コゴミを採取、モミジガサもみつけたがあまり出ていなかったので採取しなかった。モミジガサは今まで大群生を見たことがない。モミジガサが大量に出る所を見つけたいものだ。
だいぶ下降したところで苅又沢で最初の滝に行き着く。2Mで釜を持った滝だが、簡単に右岸を通過。その直後に武尊川に合流した。水量は(2:1)でさすがに本流の方が多い。
本流に合流するとかなり水量が増す。途中でウドを二本採取して、右岸の枝沢を登って道に上った。
この日は水上の道の駅で泊まることにして、水場近くで採取した山菜を調理し、閉店後の出店のテント下の席で酒とともに味わった。
夜後沢橋(7:10)-1350M(11:00/20)-尾根1620M(12:20)-苅又沢本流(13:00)-出合(15:10)-車道(15:35)