(集中・春B班)破間川小黒川本沢~上権現堂山

天候:(4日)雨のち晴;(5日)曇のち晴

アプローチ

春の集中山行への参加は久しぶりだ。そもそも過去2年間、憎き新型コロナウイルスのせいで集中山行自体が実施されなかった。(2019年春の集中の後は、2021年の秋の集中という具合だ。)
ということで、久しぶりの春の集中山行は、集中場所を新潟県魚沼市の上権現堂山として、A・B二班計5名とコンパクトに実施された。

古巻、高森2名のB班は、小黒川本沢を遡行して山頂に至る計画。小黒川本沢は日帰りの記録もあるので、初日朝都内発でも2日目の13時に設定された集中時間には間に合いそうだが、雪国の記録も少ない沢。何があるか分からないと前夜都内を出発して、小出ICからほど近い道の駅ゆのたにへ乗り込んだ。A班の3名も、同じころに道の駅に到着し、5人で入山祝いをして(ほんとはこれが目的か?)25時ころ就寝。

6月4日(権現堂山登山口~Co450付近テン場)

翌朝は、毛の又沢へ入るA班よりものんびり目にコンビニで朝ごはんや行動食などを調達しつつ権現堂山登山口の駐車場へ移動して身支度を整える。地図にある堰堤を超えたところから入渓しようとしばらくは林道歩き。わらびが顔を出していたので手折りながら歩く。春の集中山行は、食材現地調達が原則なので、食べられるものはひとまずゲットするのだ。

林道を歩く
堰堤までは、わらびを摘みながら林道を歩く。

地形図のCo275付近の堰堤手前で、小黒川を左岸へ渡り山道に入る。降りられそうなところをうかがいながら歩き、傾斜もゆるく高さもそれほどでもない場所から軽く藪を抜けて入渓。入渓してすぐに3mほどの滝。直接登るとかなり水を被りそう。もう少し先から沢に入ればよかったか。もう一度道に戻るか少し思案したが、巻くのも面倒と覚悟を決めて直登。いきなりびしょ濡れに。しかも、茶色いところは結構滑る。高森さんも躊躇しつつ、しょうがないなあという風情で登ってきた。すまん…。

入渓後最初の小滝
入渓直後の小滝で、早速水を浴びる。

その後は特に悪場もなく、1時間ほどで長松沢出合。出合いは、少し小広くなっており、しばし休憩を兼ねて付近を探索。竿も出してみたがまるであたりなし。歩いていて魚の気配もないので、魚いないんじゃないかと確信。代わりにかえるはたくさんいた。が、かえるは食べないのであまりありがたみはない。

中流域の穏やかな流れ
長松沢出合から上流を眺める。穏やかな流れだ。

植物系は少々の収穫を得たが、1時間以上のんびりしてしまった。とは言え、今日は早めにテン場を決めて食料調達に励もうと思っているので、いい感じのんびりムードではある。長松沢以降も、沢は穏やかだ。

サワウツギ
沢沿いは、あちらこちらでサワウツギが盛りだった。

長松沢出合から1時間ほど遡り、Co450付近で昼食休憩にしたが、その先右岸枝沢出合の対岸によさそうな台地を発見。そこをテン場とした。周辺には1m以上の高さに育ったわらびが生えていて、ちょっと不思議な光景。同じく育ったコゴミなどを踏み倒してタープを張る。詰めれば4人くらい行けそうだが、2人なら十分な広さ。少し下流の河原で焚火もできそうだ。

今宵の宿
遠くに稜線を望む今宵の宿
何を見ているのかな?
我が会のいきもの係は、テン場近くにてヘビの観察中。

薪を集めている間に、高森さんがわらびのあく抜きを始めてくれていた。ありがたや。その後、周辺で追加の食料調達をして十分な量の食材も調達できた。二人分なので、多量に収穫する必要もなく、非常にサステナブルである。

ひととおり準備した後、上流へ釣り上がるがほんとうにあたりなしのまま。あきらめ始めたところであたりが!…しかし、かかりが浅く逃げられる。その直後、すぐ先の深みで奇跡的に1尾塩焼サイズを釣り上げた。さらに粘ってみたが、結局追加の調達は叶わず、あたりもないので止む無く竿を納めた。

テン場にもどり、魚は捌いて塩を振り、塩焼きの態勢を整える。近くにクロモジの木が生えていたので、細い枝をひとつ頂戴して塩焼き用の串も作成し、今期初塩焼きの準備は整った ^^)v。

17時前に焚火を始めたが、あっという間に安定した焚火になった。早速焚火のそばでイワナを炙り始める。
わらびのあく抜きもしっかりできて、おひたし3種くらい。ミズの太いところでミズタタキも作ってみた。シャキシャキのミズの歯ごたえがいい感じで、これなら酒のアテに秋まで楽しめる。
そしててんぷら。高森さんが腕を振るってくれて美味しくできあがった。身をむしった後のイワナの頭と中骨もカラッと揚げて、塩を振ったらまあ美味しいこと。
お酒も進み、焚火を眺めながら山の恵みに感謝して夜は更けていく。

つまみ各種
収穫した山菜でいろいろ作る。
イワナを炙る
たき火でイワナを炙る。

ところで、テン場周辺は巨大なヤマナメクジの生息地らしく、薪に引っ付いていたりして、焚き火にくべようと掴んだらぐにっとした感触で、わ~~!と驚くことしばしば。何だか焚き火に寄ってくるんだけれど、そんなに火の側に来たら危ないよと何匹も対岸などへ退避させた。

そんなこんなで夜も更け、翌朝は7時半ころ出発しましょうかと話して、それぞれ好みのタイミングで寝袋に潜り込む。

6月5日(Co450付近テン場~上権現堂山頂~中越登山口)

明けて5日は、5時頃に起きて焚火を復活させる。昨晩同様、すぐに安定。大きな焚火にする必要はないので、コンパクトに長持ちするよう薪を組む。朝の焚き火は、またいいよね~。
朝食は、昨日炊いたご飯を温めなおし、残ったわらびや持参した梅干し、そして味噌汁(具はわらび)で。朝食後撤収作業をして、7時35分出発。

今日も時間はあるので、のんびり歩く。ただ、源頭は少し悪いという情報もあるので油断は禁物。雪の状態もわからない。しばらくは初日同様、小滝はあるが悪場もなく順調に進む。そして、相変わらずカエルは多い。

Co550付近で沢が開けると、右側にスノーブロックが残っていた。その後、いくつか雪の塊が残っていたが通過には問題なし。先で、傾斜が出てきて沢が狭まる。左へ細い枝沢を分けた先の3m滝は右岸から巻いて越えたが、そこでいよいよスノーブリッジが架かっていた。上を越えようかと、左右を見るが乗り上げるのも難儀だし、微妙に傾斜していて滑りそう…。すぐには崩れるようでもなく、距離も短いので「潜っちゃいます」と言って、急いで潜り抜ける。ところが、その声は高森さんに届かなかったようで、高森さんは指示なく先に行っちゃったと思ったそう。すまんⅡ…。そして、そのすぐ先の小さなスノーブリッジも潜り抜けて、ほっと一息。振り返ると、魚沼盆地の田んぼが陽の光できらきらと輝いている。

スノーブリッジが架かる
上を行くか、下から行くか…それが問題だ。
小さいスノーブリッジを潜って越える
潜って越えた二つ目の小さなスノーブリッジ。背後には魚沼盆地の眺めが広がる。

だんだんと傾斜が出てきて、ぽつぽつと滝が架かるようになる。高さはさほどでもないのだが、ほぼのっぺりスラブ滝なので、高さがあると巻かないと越えられない。側壁の傾斜もそこそこあって、灌木までが遠かったりすると、巻くのもなかなか難儀だ。
特に、2連の7m滝は、なかなか沢に戻れず左岸沿いを延々と巻き続けて、枝ルンゼを本流と思って少し登りかけたら、左に沢型があるのに気づいきそちらへ進んだが、やはり降りられずにまた藪をひと登りしてやっと傾斜の落ちたところで沢に復帰できた。やれやれ…。

源流部ののっぺりスラブ滝
源流部はのっぺりしたスラブ滝が続き、高巻きも交えながらの遡行となる。

その後、最初の交信時間(11:00)となったので、一旦休憩。荷物を下して、高森さんが交信を試みるも応答なし。またしばらく面倒くさい滝が続いて、登ったり巻いたりしながら進む。

Co850付近の分岐は、左に進むとすぐに登山道へ抜けられそうなのだが、右は登山道に沿って沢型が山頂直下まで続いている。時間もまだ余裕があるので、山頂まで沢型を辿ることとした。
ここも面倒くさい滝と雪渓が続くが、傾斜もだいぶ落ちてきたし、渓も浅く雪渓もやっかいではないので、何とか沢通しに進むことができる。雪渓の途中だったが、二回目の交信時間(12:00)になったので、A班に呼びかけたところが応答があり、何と既に山頂とのこと。絶対我チームの方が早いだろうと予想していたので、え~っと驚く。こちらも、頂上まで標高差50m足らずの場所に居たので、交信後10分ほどで山頂着。

最上流部の雪渓
微妙な傾斜の雪渓。左斜面の灌木を掴みながら登攀。
ずーっと雪渓
山頂までもう少しだが、ずーっと雪渓が続く。渓は浅いので緊張感はないけれど…。
雪渓を登る
最上流部の雪渓を歩く。

山頂は、地元の方々と思われるハイカーで結構な賑わい。A班は、頂上直下で2時間以上藪を漕いだということでお疲れモード。我々B班は、簡単に行動食を摂りつつ周囲の景色を眺める。北側は、守門岳から浅草岳の眺めが、反対側は、越後駒ケ岳から八海山にかけての眺めが広がり、なかなかの眺望である。

守門岳と浅草岳
裾野は長し守門岳。同じく浅草岳。
越後駒ケ岳、八海山
越後駒ケ岳から八海山の眺め
山頂標をバックに記念撮影
山頂標をバックに全員で記念撮影を。シャッターを押していただいた方、ありがとうございました。

立派な山頂標のところで記念撮影後、下山を開始する。30分ほど眺望の稜線を辿った後、樹林の登山道となる。思ったよりも長いなあ…と思いながら、稜線から1時間ほどでやっと林道へ降り着いた。駐車場で、装備を解除し全員古巻の車に乗車。神湯温泉倶楽部で高森さんを降ろして、毛の又沢の入渓点で伊藤さんの車を回収し、再び神湯温泉倶楽部へ。ゆっくりと2日間の汗を流してから、A班、B班で分乗してそれぞれ帰途へ就いた。

魚沼盆地の田んぼを見下ろす
下山途中、麓の田んぼがきらきらと光って、とても美しい光景でした。

集中山行は大成功でした!

会としては2年ぶり、個人的には実に5年ぶりの春の集中山行だったが、A・B両班とも食材現地調達で焚き火を囲み、上権現堂山頂集中も無事果たせた。少しずつ、会の活動も再開の軌道に乗ってきたようでもあり、今期はこの後の活動も楽しみである。


山行最終日:2022年6月5日
メンバー:古巻(L) 高森
山域:越後三山
山行形態:沢登り
コースタイム:
[6月4日]権現堂山登山口駐車場(8:25)-入渓(9:00)-長松沢出合(10:10/11:20)-Co450付近C1(12:10)
[6月5日]C1(7:35)-Co480(7:45)-Co620(8:43)-Co850付近・休憩(10:40/11:05)-Co850先分岐(11:15)-登山道(12:10)-上権現堂山山頂(12:15/50)-中越登山口(14:33)-権現堂山登山口駐車場(14:40)
地形図:須原
報告者:古巻

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