鶴川・尾名手川白矢ノ沢

天候:曇ときどき雨

当日朝、JR上野原駅南口ロータリーで、Iさんの車に乗り込む。
鶴峠方面へ向かう途中で、鶴川沿いの細い道へ入る。数年前にやはり鶴川支流の大久保沢・菜久保沢へ入った際に通った道だ。車を停める場所はかなり限定されるが、尾名手川出合付近には、一台限定の駐車場所がある。幸いに先客はおらず、首尾よく停めることができた。
身支度を整え、尾名手川出合へ向けて降りていくが、民家の庭先を通らせていただかないといけない。そそくさと鶴川本流に懸る橋、尾名手川に懸る橋を渡る。尾名手川出合すぐ上に懸る堰堤は右岸に踏み跡が続いているので、問題なく越えることができる。

尾名手川出合の橋を渡る
民家の軒先を抜けて、尾名手川出合の橋を渡る

堰堤を越えてしばらくは伏流。水量の多い…という過去の記録もあったが、覚悟の割にはちょっと拍子抜けである。
ただ、すぐに流れが出てきたのでひと安心。流れに足をつけると、予想よりだいぶ冷たい。

水流が出てくる
水流が出てくると、こんな感じの渓相。思ったよりも、水は少ない。
穏やかな流れが続く
しばらくは穏やかな流れが続く

しばらく河原が続くが、やがて小さなゴルジュとなる。ここには微妙なバランスの滝が懸っている。左岸の岩にトラロープがあり、ありがたく利用させてもらって通過。この先にも何箇所かトラロープを見たが、他は使わずとも通過可能であった。また、小滝でも釜の堀り込みが深い滝が多かったように思う。
Co580付近だろうか。左岸より、湧き水が滴っているところがあった。

湧き水が滴っている
左岸斜面より湧き水が滴っている

入渓して1時間ほどで、左にスバノ沢を分けるが、水量比は1:5程度で本流と比べるとだいぶ少ない感じだ。ここで、少し休憩。スバノ沢を分けて10分ほど遡ると、右岸にかなり広い台地状の平場が現れる。自然にできたというより、人の手が入った感じがするので、ワサビ田でもあったのではないだろうか。

ワサビ田跡のように見える台地
ワサビ田跡のように見える台地

平場を過ぎてすぐに水量比1:2で右岸より白矢ノ沢が入る。さらに15分で水量比2:1の二俣(Co750)。ここは水量の多い左へ入る。左に入ると、すぐ前方にひと筋に滑り落ちる滝が見えてくる。15m程度か。一本の矢のように滑り落ちているので、これが「白矢ノ沢」の由来なのだろうか。などと思い、帰宅後ネットを見てみると、この沢を「倉宮沢」と紹介している記録も発見した。うーむ、だとすると白矢ノ沢の由来は全然当たらないことになる。ほかにも、尾名手川支流の名称をネットで調べてみたが、今のところ確証の持てる資料に出会わない。この記録では、ひとまずCo640で本流に出合う沢を「白矢ノ沢」とし、Co700で白矢ノ沢右岸に流入する沢を「倉宮沢」として、記述することにする。

Co750二俣を左に入ってすぐの滝
Co750二俣を左に入ってすぐの滝
白矢ノ沢左沢大滝
「白矢ノ滝」?。白い一本の矢のように滑り落ちているように見えるのでてっきり…

ともあれ、この滝は水流沿いの登攀は少し難しそうだったが、右岸岩壁の上部を斜めに横切るバンド沿いに斜上し、最後は水流を跨ぐように突破できた。最上部は、下から確保しながら見ていると、高度感があり結構スリリングだ。残置はないので、バンドに入るところと、落ち口直下に支点工作をした。
後続は、ザイルに確保されながら続く。

大滝の登攀
バンドを右へ斜上し、最後は水流を跨いで越える

この滝から、しばらく滝場が連続する。

2段の滝
見映えのする2段の滝

Co920三俣は、一番右に水流があり、真ん中はほぼ水流なし。左も、ほぼ伏流…。ここは、計画通り一番左に入る。しばらく遡ると水流が復活したものの、水量は極端に少ない。そろそろ詰めの様相だなのだが、滝がいくつか懸かっている。

3mCS滝
三俣を左に入ってすぐの3mCS。右から越えるが、ちょっとヌルヌルで嫌らしい。

Co1000付近からは、ほぼ水が涸れてしまう。Co1060の二俣は左に入る。その先小さなゴルジュのチョックストンを登ると右手から水が落ちてきている。最初は、湧き水でもあるのかと思ったが、水流がそちらから続いていた。
正面は、涸れたルンゼとなっている。

 

細い水流の滝
ひと筋の流れが印象的な小滝

この滝を登った先は、ちょっと雰囲気がいい。ただ、またすぐに涸れ沢の状態に戻ってしまうのだが。

詰めは、リーダー、行き詰ること嫌って右手の尾根に逃げる。急登で息が切れるが、20分ほどで権現山頂稜の一角へ飛び出した。ピークからは、三頭山、扇山・百蔵山、秋山・道志の山々、丹沢北面が遠望された。富士山は、残念ながら雲の向こうのようだ。しばらく、休憩がてら山の眺めを楽しむ。

下降は、右沢下降も考えていたが、遡行だけで結構時間もかかっているので、権現山北尾根を下ることにした。
リーダー、バリエーションルートのルートファインディングはお手の物である。
もっとも、道型は比較的明瞭かつ赤テープの目印もついており、悩む箇所は少なかった。

雰囲気のいい樹林の下り
雰囲気のいい樹林の下り

集落に降り着く前に、ちょっとしたお土産も入手して、無事尾名手川出合に下降。ピークからは約1時間20分。
車に戻り、小菅の湯で汗を流した後、翌日のレスキュー訓練の集合地点である鳩ノ巣へ向かった。

尾名手川出合の堰堤と橋を見下ろす
尾名手川出合の堰堤と橋を見下ろす。

メンバー:高森(L) 伊藤 古巻
山域:大菩薩連嶺
山行形態:沢登り
コースタイム:
駐車地点(7:55)-堰堤上(8:07)-Co595スバノ沢出合(9:15/25)-Co640白矢ノ沢出合(9:40)-大滝下(10:25)-大滝上(11:15)-昼休憩(11:50/12:15)-Co920付近三俣(12:54)-Co1060二俣(13:24)-権現山(14:25/40)-駐車地点(16:05)
地形図:猪丸
報告者:古巻

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