(天候)4月29日:晴
房総は2年ぶり。コロナ禍以前は冬の水仙見物にもよく行ったが、最近はとんとお見限り。
今回は諸般の事情で山行から暫く遠ざかっていた大塚リーダーの計画で湊川水系の高宕川へ赴いた。
当日朝、JR蘇我駅で大塚さんにピックアップしてもらい、館山自動車道を南下。国道465号から林道に入り奥まで進むが、道幅が狭く大きい車だと結構苦労しそう。林道脇の空き地に邪魔にならないよう車を停めて身支度を整える。
すぐ下を高宕川が流れているが、上流にトンネルが掘られている。車道から斜面を降って入渓。上流すぐのトンネルを潜って先へと進む。
少し荒れた沢筋を15分ほど辿ると2つ目のトンネル。潜った先で沢幅が少し広がる。ここで林道からの斜路が沢床まで伸びているのだが、新しめの轍が沢の中まで続いていた。
かつて「T秘境」などと符牒で呼ばれていた頃に、地元の方とこうしたオフロード車・バイクの沢への乗り入れで随分と揉めた歴史がある場所だが、未だにモラルに欠けた行動を取る連中がいるようだ。
そこからはしばらくナメエリアが続く。
水は思ったよりも澄んでおり、ウグイと思しき小さな魚がたくさん泳ぎまわっている。
ナメエリアを進むと幅広の3mナメ滝が懸かる。黒滝と名前が付いているようだ。中央の水流沿いも登れそうだが、左端にステップが切ってあるのでそこから滝の上へ。滝の上は二俣になっている。左の水量はかなり少ないが実はそちらが本流で、右は川廻しの結果本流のような顔をした流れになったものらしい。
その先もまたナメと幅広のナメ小滝が続く。
黒滝から15分ほどで、再び顕著な二俣で左からの流れは滝となって落ちてきている。急駟滝(きゅうしたき)と呼ばれる滝で、公称27mとされるが斜面の長さが27mということだろうか。落ち口までの高さはそこまでないように感じる。
急駟滝は右隅にステップが切ってあり、固定ロープも下がっているのでロープを出さなくても登れるが、最上段は少し傾斜が急でぬめり気味かつ高さもあるので安全を期すなら後続はザイルで確保した方がいいかもしれない。
落ち口の先はトンネルになっている。そのトンネルを潜って先へ進むと、先はまたまたナメ歩きとなる。
しばらく行くと左手に登る踏み跡が見え「浅間様ルート」と書かれた木のプレートが立木に括りつけてあった。その少し先には給水設備跡らしきコンクリートの構造物も。
急駟滝から小一時間歩いたところで現在地確認をしていると、突然後ろでバキバキっと音が聞こえ、どさっと木が折れて落ちて来た。ちょっとびっくり~。
直接的な影響はなかったけれど、あれが直撃していたら…と思うとさすがにゾッとする。
突然の倒木にびっくりしたポイントから20分ほど進んだところで昼食を食べて来た道を引き返す。
下降は急駟滝を経由せず本流筋を辿るのも面白いかと思ったが、リーダーは律儀に来た路を降って行く。
帰りは足早に降るので早い。
急駟滝は残置のロープを使って降ってもよかったが、安全を期して自前のロープで下降した。
30mロープ1本で足りるかと思いきや、ちょっと足りずに下部5mほどは結局残置ロープのお世話になったが、そこからは傾斜も緩むので問題ない。
やはり比高27mということではなく、斜面の長さが27mなのかなという印象だ。
急駟滝は思ったよりも大きく見ごたえがあったが、それ以外は基本的に平らな流れである。
房総特有のうねうねと蛇行する流れや、褶曲した地層の様子など興味深くもあるが、沢登りと言うより川歩きという風情で沢登りと思って歩くと物足りなく感じるだろう。個人的にも少々不完全燃焼。
因みに、今回歩いた高宕川だがヤマビルエリアに近接してはいるものの、まだエリアには含まれないと認識している。
実際、今回どこにもヒルを見かけなかったし被害もない。このままヒルのいない状態を保って欲しいが、山を越えた小糸川水系はヒルの生息域である。かつて北丹沢の一部(早戸川水系)を中心とした狭いエリアにのみ生息していたヒルが、いまや西丹沢をも侵そうとする勢いで広がっている丹沢山塊の現状を見るにつけ、房総半島もヒルエリアの広がりを食い止めることは難しいのかもしれない。
駐車地点(10:20)-2番目のトンネル出口(10:35)-黒滝・Co50二俣(10:50)-急駟滝下(11:02)-急駟滝上(11:09)-Co90付近引き返し地点(12:15/40)-急駟滝上(13:20)-急駟滝下(13:35)-2番目のトンネル出口から林道(13:48)-駐車地点(14:00)