朝日前衛 野川合地沢

遅ればせながら夏の特別山行を記録しておく。今年はコロナの影響で勤め先からの制限がかかった会員もあり結局1班しか設定できなかった。計画では、朝日連峰見附川オバラメキ沢を2泊3日で遡行する予定であったが、本州付近には夏のお盆真っ盛りと言うのに前線が停滞し局地的な大雨予報が出ている様な状況。行きの東北道で泊まりで突っ込むのは早々に諦め、予備計画で準備しておいた日帰りの野川合池沢をまずは遡行してみることに決定し、その日は道の駅長井でステビバした。合池沢は遡行記録が全く見つからず、朝日連峰北東祝瓶山の北に派生した尾根にある合地山に突き上げる沢で尾根筋に昔は道があったが今は無いようだ。翌朝小雨ではあるが、長井ダムの先の合池沢橋から3km程の林道に車を止めヘアピンカーブの所の植林を下降し入渓した。早速川幅3m程のヤナギとブナ林に流れる平凡な渓相が少し続く。

地形図には右岸に山道があるが全く見当たらない。しばらく歩くと両側が泥壁になってくる。その先には…

泥壁に立ちはだかる堰堤が出現した。堰堤自体は赤テープのある右脇を登ることができ簡単に巻けるがスカ沢の匂いがしてくる。

堰堤の上は再び穏やかな流れになり一安心。歩を進めていく。

暫く平凡な河原を行くと、比較的大きな堰堤、次に小さな堰堤と出てくるが右側を巻ける。

co660mの右から流れ込む枝沢を見送ると初めての滝が出てくるが2m程の2条滝、右を登る。

 

なんでも無い滝だが初めて出てきた滝なので右の水流を登ってみる。

co675m二俣を過ぎても顕著な滝は無く、水平距離では山頂まで半分以上の所まで1時間半できてしまった。これはアッサリ山頂に昼前には着くかと思い始めた。

co770mの右からの枝沢を見送ると久々の2mデコ滝が出る。

この先の5m滝も簡単に左を登れる。少し滝が出てきて嬉しく思って遡行を続ける。

と、両岸が切り立ってきて雪国の沢っぽくなってくる。

切り立った先のどん詰まりに右から水流が落ちていてやな予感がする。

案の定、登れなさそうな15m滝がいきなり出てくる。観察したが、上部がどうなっているか分からず左岸を巻くことに決定。

少し戻って、左岸草付き帯から樹林帯に入り大きく巻く。

巻きの途中からは、三体山に突き上げる奥の左沢が10mクラスの滝をいくつかかけているのが遠望出来た。

適当な灌木で捨て縄で支点をとり15mの懸垂で丁度奥の二俣co850mに復帰できた。この高巻に1時間ほど要した。

予定通り、合池山に突き上げる右沢を遡行していくが、大きな滝は無く急なゴーロを登っていく。

流れがかなり細くなってくると4m程度の登れる段々滝が出てきて楽しい。

詰めで一番大きい5m滝ではトップは空身でハーケンを1個打って登って後続を確保した。

その後も小難しい2〜3mの滝が出てくる。ショルダーで登ってもらい後続はごぼうでとか、

空身で登ってお助け出すとか、三人で協力しながら小難しい滝をこなしていく。

最後の方まで沢形を忠実に辿っていける。小雨交じりのガスの中だ。

山頂直下は草原状になっていた天気が良ければ素晴らしい景観だっただろう。

合地山の三角点を確認して14時前から2km先の三体山に向けて藪漕ぎに突入するが、これが本山行の核心となる。

500m進むのに1時間以上要する、ダケカンバ、ハイマツなどがmixしたゲキヤブであった。15時で三体山まで1/4しか進んでいなく、雨のなか絶望的な気持ちになるが、サンショウウオが出てきて少し和む。

結局、三体山まで4時間半ほど要してしまい、登山道が見つけられず、GPS頼りにヘッデン下山となる。ただここで、在京に状況を連絡出来たので心は軽くなる。登山道を探しながらヤブコギ下山を続け、21時前に登山道を見つける。雨が結構降っているのとメンバーの状態は問題無いことから下山を続行する。エゾゼミなど夜の生物を観察する余裕はあるが、道をたびたびロストして時間がかかる。

3時間程で林道に出る吊橋に辿り着く。ちょっとスリリングな吊橋を渡りきり林道に出てホッとした時は23時30分、林道を急ぎ駐車場にギリギリ当日中に着けた。

行動時間17時間、そのうちヤブコギ7時間のハード山行になったがメンバーが最後まで元気だったので雨の中歩き通せたものと思う。合地山まで行って沢を引き返すのが正解だったと思うが、藪山歩きの困難さが身に染みた勉強になった山行であった。

遡行図

 

bema


メンバー:坂部(L) 高森 丸山
山域:朝日連峰
山行形態:沢登り
コースタイム:
林道駐車地点co510m(7:11)-co675二俣・左俣(8:40)-大滝(9:30)-co850m奥の二俣・右沢(10:40)-合地山(13:56)-三体山(18:33)-吊橋(23:23)-林道駐車地点(23:59)
地形図:羽前上郷
報告者:坂部

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