立川発奥多摩行きの電車は空いていた。この調子だと川井駅からのバスは貸切かなと思いきや、既に2人並んでいるのに加え、私と同じ電車からも2人が乗車した。清東橋のバス停でゆっくり準備していると同じバスの人たちは続々と出発して行く。棒ノ折山方面に行く人が多いと思っていたが、丹波林道で3人も追い抜くことになる。バス停から30分で真新しい大丹波ヘリポートが見えてくる。お世話になることがないようにしなければと思いながら通過する。ヘリポートから30分で曲ヶ谷沢の分岐となるが道標がなく、木の枝に小さく「川苔山」という見過ごしそうなプレートがあるだけだった。沢沿いの道を進んでいくと、先行者がいることに驚く。
枝沢から小さな落石があり、何事かと上を見るが特に何もいない。自然な落石なのかなと思いながら歩いていると鹿の鳴き声が聞こえ、落石の犯人は鹿だったのかと少し安心する。時折こだまする鹿の声を聞きながら沢沿いを進み、最後は九十九の登山道を行くこと30分で赤杭尾根に出る。先行者のおじさんは川苔山方面に登っており、ちょうど振り返ってこっちを見ていた。最後の登りで、一瞬「ん?」と思うところが一箇所あったが、左に進むと、地面に大きなやじるしが左向きに書いてあった。たぶんおじさんが私を気にして書いてくれたんだろう。そんなおじさんだから私がきちんと尾根に出てきたのを見届けて安心してくれたに違いない。サラサラの雪がうっすらと残っている尾根を下山する。
後から熊鈴をつけた単独女性が下山してきており、鈴の音が気になって仕方ないので、先に行ってもらう。熊に遭遇するリスクがあっても、静かな山を歩きたい。風がなく日当たりのいいところで休憩しようと思うが、なかなかいいところがなくどんどん下って行く。赤杭山を過ぎ、川井駅方面との分岐の少し手前でようやく昼食とする。昼食後、あと少しだなとのんびりモードで下山していると、「この先道狭い」という注意書きがあった。日付は、2018年11月30日。こまめにパトロールされているのだなと関心するが、言うほど道は狭くなく結局あれは何だったのだろう。そんなことも忘れかけた頃、この日一番の難所が現れる。登山道の左斜面が崩れており、落ち葉が積もって足場がよく見えなくなっている斜面を10メートルのトラバース。ルートを間違ったかな?と不安になるレベルで少しびびるが、仮に滑っても5メートルくらいで停まる、怪我をすることはないので必要以上にびびることはないと自分に言い聞かせて通過する。注意書きをするとしたら、ここをしなくてどこをするの?というレベルで、何もないということは、11月30日以降に崩れたのだろうか。あそこはトラロープくらいあってもいい。沢登りしていて良かった。と思いながら、さっきの難所が嘘のような平凡な登山道を下山して、道路に出た。古里駅と言えば、セブンイレブン。電車まで少し時間があったので、セブンでチキンを買ってクリスマス気分を味わってみた。
川井駅(7:29)-清東橋(7:40/7:50)-大丹波ヘリポート(8:26)-曲ヶ谷沢分岐(8:57)-赤杭尾根(10:28)-赤杭山(11:25)-古里駅(12:50)