今までに出版されたルート集には度々掲載されてきた大常木谷だが、支流に関してはあまり情報がない。規模の上では右俣とも言える御岳沢を遡行した。
天候:晴のち雹
本来は11-12日の二日間で上州武尊の沢を遡行・下降するつもりでいたが、11日は藤原ダムの放流のため県道63号線のダム左岸に位置する区間が全面通行止めだった。アプローチ経路を断たれて入渓できなかったため、二週間後に計画していたルートの一部だった御岳沢に転進することにして、水上から丹波へ移動した。
地形図は入手したが、頭の切り替えが十分できていなかったのか、林道から大常木谷へのアプローチについて確認するのを忘れていたのと、駐車地と大常木谷の位置関係の特定がいい加減だったため、入渓までに右往左往してだいぶ無駄な時間を費やしてしまった。
林道からの下降点は地形図では東北東に大きく張り出した小尾根がある地点、現地はコンクリートの低い囲いがある車2台分ほどの広場があるカーブに当たる。囲いを越えるて尾根上に続く踏跡を辿ると、尾根の先端付近で一ノ瀬川に降り立つ。南隣の尾根の先端付近までナメや河原の一ノ瀬川本流を下降すると大常木谷出合に至る。
大常木谷は少し開けた穏やかな渓相で一ノ瀬川に出合っている。
大常木谷に踏み込むと、少しの区間だが河原が出てきて一層開ける。
3Mの滝を過ぎ、淵に注ぎ込む4×6の斜瀑に差し掛かるころには渓相が一変してゴルジュへと踏み込んでいく。
間もなく深い釜を持った8Mの滝五間ノ滝が見えてくる。水流際の壁に取付ければ登れそうだが、トラバースするのに手ごろなスタンスが見えず、釜に浸からなければ水流際の壁には取付けないように思えたので、左岸を巻いた。巻きルートは千苦ノ滝のそれよりもかなり悪いので、この滝は直登した方がリスクは小さい。
五間ノ滝の巻き道から沢身に降りる所に釣具店の標識が・・・。ちなみにNo.1は出合にあったと思う。
五間ノ滝を過ぎて開けるかに思えたが、尚もゴルジュが続いていた。
小滝を越えて、左にヤシキ窪と呼ばれる枝沢を分けると、見事な滝を懸けた壁が眼前いっぱいに立ち聳えている。下部から見上げた落差は18M程で、上部は傾斜を落として下部からは見えない4×4の滝となっている。過去のルート集では25Mと記されている千苦ノ滝である。ここは登れそうもないので、左岸の踏跡に従って巻いた。踏跡は明瞭だった。
千苦ノ滝は左岸の踏跡を辿って巻いた
千苦ノ滝を過ぎると一旦開けて河原が広がる。
しかしすぐに奥へ行くほど狭まっていく淵が現れ、ここから再びゴルジュとなる。この淵は山女魚淵と呼ばれているらしい。淵の手前で左岸を登ってトラバースした後に、淵の中ほどの右壁のバンド状のところに懸垂下降して、バンド伝いに流れ込み上部に至った。
淵を連ねた真っ直ぐなゴルジュが続くが、左壁際にバンド状にスタンスがあるので簡単に通過できる。
3Mの滝を越えるとゴルジュを抜ける。この頃から雹が降りはじめる。左と右に滝を懸けた枝沢を分けると、3条の堰堤状の滝が見えてくる。過去のルート集ではこの滝とこの上に続く滝とを併せて2段の不動滝として記しているが、独立した個別の滝と捉える方が適当だと思う。
3条の滝の落差は4Mから5M程度で、釜の流れ出しで右岸に渡って左壁を登る。
続く7Mの滝も左壁を登れそうだが、釜が深く泳いで取付くことになりそうなので、右岸枝沢の斜瀑を登って7M滝の上に懸垂下降した。
不動滝を過ぎると3つほどナメ滝が懸り、やがて開けた河原となる。左にカンバ谷を分け、尚も河原を進むと(2:1)で御岳沢が出合っている。
御岳沢に足を踏み入れても、しばらくは変り映えの無い河原が続く。地形図に記されている滝記号の位置に滝はなく、ただただ河原が続く。雹が降り続け、雷鳴が鳴り響く中を淡々と歩いた。
長い河原歩きの後、標高1400Mを越えた辺りにナメ滝が懸り、そこからナメとナメ滝が絶え間なく続いている。
いくつか4~5Mの滝も懸るが、難しい所はないが滑りやすい岩盤なのであまり気を抜けない。それでも上流部に行くにつれフリクションが効くようになってくる。
かなり稜線に近いところまで水流がある。最後はガレ斜面が尾根に達している。
尾根にあがると登山道が通っており、大洞山手前の分岐までもう一登り。分岐から将監峠方面へ進むと将監小屋と将監峠への分岐まではあまり高度が変わらない。
将監小屋、三ノ瀬を経由して車を停めた一ノ瀬林道の大常木谷出合付近に戻った。
大常木谷出合(11:10)-五間ノ滝上(11:45)-千苦ノ滝上(12:05)-御岳沢出合(13:55)-登山道(15:55)-将監小屋(17:45)-三ノ瀬(18:45)