伊南川宮沢入川~塩の岐沢~深瀬沢

9月最後の週末は、釣りをして焚き火で魚を炙ろうと南会津の沢旅を計画。塩の岐沢は以前より歩いてみたかったのだが、下流からだと車の回収が面倒そうなので、宮沢入川と深瀬沢を使い、塩の岐沢源流部を歩くルートを設定してみた。

9月24日:アプローチ

久しぶりの南会津である。東北道も約1年ぶり。
24日夜JR赤羽駅に集合し、首都高を経由して東北道を北上。西那須野塩原ICで高速から降りて、途中コンビニで買い出しの後、通いなれた道を南会津に向かう。
今宵の泊りは道の駅・たじま。いつもは通過するかトイレ休憩で立ち寄る程度だが、国道に面しているものの、大型車の停車もなく意外と静かな環境だ。
ただし、朝は地元の方が作業前に立ち寄るスペースになっているのか、早い時間から大変ににぎやかだった。

9月25日:宮沢入川~塩の岐沢(天候:曇ときどき晴)

朝8時に、下山予定地の深瀬沢に架かる鳥井戸橋脇の林道入り口へタクシーをお願いしていたため、早朝の国道352号を飛ばして鳥井戸橋まで向かう。時間に余裕をと思って出発したので、結局7時少しすぎに到着してしまったが、ゆっくりと準備をしてタクシーを待つ。

出発準備中
タクシーを待ちながら、出発の準備をする。

待っている間に、宇都宮ナンバーの車が林道の奥へ入っていった。釣り?キノコ採り?どちらだろう。8時少し前にタクシー到着。宮沢入川沿いの林道を入れるところまでお願いするが、結局終点まで入ることができた。乗車時間は15分ほどか。林道終点は数台が駐車できるスペースがある。乗用車が1台停めてあり、先行者がいることを伺わせる。釣り目的と思われるが、先々トラブルにならないよう祈る。
入渓点付近は平らな流れの河原である。しばらく進むと堰堤が現れる。左岸から難なく巻いて上流へ進むが、どうも方向が違う。中ノ沢沿いを進んでしまっているようだ。
本流との分岐はどこかとしばし右往左往。結局、巻いた堰堤が沢の合流点にあることが判明。地図の場所とだいぶ違うようだ。

宮沢入川最初の堰堤
最初の堰堤のすぐ上で本流と中の沢が分かれる。地図を信じると騙されるよ…

これは騙されたねと、気を取り直して本流を進む。地図では、その先にも堰堤が2基あることになっている。二番目の堰堤は左岸から楽に越えられたが、最後の大堰堤は曲者だった。二段構えで、しかもダムか!というくらいの高さに聳えている。巻くのも大変そうだなあと思いつつ左岸を巻き始めたが、案の定それなりの高さまで巻き上げられ、踏み跡はあるものの不安定な斜面に続いていて難儀をした。堤体近くでようやく斜度が緩み、堤体上へ巻き下りた。上流側へは梯子を2mほど降りて高巻き完了。あー疲れた。と、ここで一息入れる。

大堰堤までの宮沢入川は、水に何かの成分が溶け出しているようで、薬臭いような清流とは言い難い流れで、魚もいない様子だ。車を停めていた釣り人は、本流ではなく中ノ沢の方に入っているのではなかろうか。ただし、大堰堤を越えると水は少しきれいになった。

宮沢入川下流部の流れ
宮沢入川の下流部は、赤茶けた岩に少し茶色っぽい水が流れている。
宮沢入川最終堰堤
高く聳える堰堤に少しうんざり。さて、どうやって越えようか…

大堰堤以遠は予想通り何もない流れを淡々と進む。昼近くになるとイワナも走るようになったので、昼食休憩を兼ねて竿を出してみるが結果は思わしくない。
本日食当をお願いした坂部シェフからは、一人あたり2尾に加え、刺身サイズの大物1尾という意欲的なノルマが課せられ、イワナがないとおかずはないよというシステムになっているので、何とかイワナを確保せねばならないのであった。
その先でも、悠々と泳ぐ大物の鼻先に餌を落としてみた。しかし、一瞬興味を示すものの、すぐに関心を失ってしまう。見える魚は釣れないとはよく言ったものだ。
途中、キノコにも目を配りながら歩く。途中でブナハリタケがたくさん出ていたので、夜の汁用に少しいただく。

ブナハリダケ
魚は釣れないが、ブナハリタケを見つけ、ひとます確保する。

一方、魚の方はなかなか獲物が確保できず、少々焦りも出るが、時間も気になる。
宮沢入川での釣りは諦めた方がよさそうだった。止む無く、塩の岐沢へ望みをつないで遡行に専念することにした。

宮沢入川上流部の流れ
流れは平凡だが、周囲の森に癒される
宮沢入川上流部の小滝
少し深い小釜のある滝を越える

宮沢入川は、流れは平凡だが流程がなかなか長い。最後まで詰めると塩の岐沢での釣りの時間が取れなくなりそうだ。止む無く予定を変更し、Co950の分岐を左へ入り塩の岐沢のCo1165付近へ乗っ越すショートカットルートを取ることにした。

14時少し前にようやっとCo950の分岐へ到達。枝沢を詰めていくが、なかなか捗らず、結局中間尾根の鞍部に着いたのが15時20分になってしまった。すぐに下降を開始したが、幸い下降は30分かからずに塩の岐沢と合流した。

キクラゲ発見
塩の岐沢へ乗っ越す沢でキクラゲを発見!

出合の丁度対岸が格好のテン場適地となっていたので、若干刈り払いと整地をした上でシダを敷き詰めてタープを張る。そして、薪集めもそこそこに釣りを開始した。

古巻が出合すぐ下流の淀みへ餌を流すと、さっそくヒット!が、10cmほどのチビ…。これは流れに戻っていただいて、さらに同じ場所で粘るが成果なし。
すると、冨田さんが少し上流で良型を釣りあげる。初イワナに興奮気味。そちらはひとまずキープして、古巻も上流へ向かう。
上流でも立て続けにチビがヒット…。チビしかいないのかと思い始めた頃、やっと食べごろサイズが掛かりひと安心。それに気をよくしてさらに釣りあがると、もう一尾食べごろサイズが確保できた。時間も押してきたので、ここで一旦テン場に戻った。

結局、釣果は食べごろサイズ3尾のみでノルマ達成はならなかった。…無念!
坂部さんによると、テン場より下流の魚は餌に見向きもしないどころか、餌から逃げる魚もいて相当にスレている様子とのこと。そんなに釣り人が入るのかしら?シーズン終盤だからだろうか?

薪はそこそこ集まったし、暗くもなってきたので焚き火を熾して、夕食準備にかかる。ところが、この薪がなかなか低品質だった。油断すると、すぐに火の勢いが弱くなる。
坂部さんによると、「薪が水でできている」のが原因らしい…って(笑

時々火吹き棒で勢いをつけつつ、何とか焚き火を維持して夜を過ごす。
火勢があまり強くならないので、濡れたものが乾きにくいのが難点である。

なかなか燃え上がらない焚き火
地味な焚き火だが、何とか鎮火を防ぎつつイワナを焼き、ご飯を炊く。

ところで、イワナはというと、坂部シェフが1尾分と途中で採集したブナハリタケ、キクラゲを投入したイワナ汁を作り、ポテトサラダやらなんやら数点をおかずにして夕食となった。
焚き火が前述のごとくなので、塩焼きに少々時間がかかったが、1尾は塩焼きにして3人で少しずついただく。
そうそう、古巻が釣り上げた2尾はともにメスでイクラが取れたので、下処理後に少々醤油をかけ回したら、これが絶品!
「日本酒持ってこなかったよ~」「日本酒があったら…」と口々に言いながら、美味しくいただいたのであった。

薪に難ありの焚き火だったが、お酒もまわり、いい心持で夜が更けていく。

9月26日:塩の岐沢~深瀬沢(天候:曇のち雨)

翌朝は、曇り空の夜明けとなったが、気温はそれほど下がらずに寒い思いはせずに済んだ。
焚き火を熾して、ご飯を炊く。昨日調理しなかったイワナ1尾をから揚げにして、それをおかずに朝食とした。

イワナの唐揚げ
朝のごちそう。イワナの唐揚げ。

撤収完了後、出発は予定を若干過ぎた7時25分。今日は、このまま塩の岐沢を1526m峰へ詰め上げて、深瀬沢を下降する計画である。

流れはだいぶ細くなって源流帯の様相だが、かなり上部までイワナの姿が見られた。昨日もう少し時間があれば、坂部シェフのノルマを達成できたかもしれない。
天候は相変わらずはっきりせず、いよいよ詰めにかかる頃には、稜線上はガスがかかっている状態。最後の急斜面を登って、ヤブに覆われた稜線に到達。

塩の岐沢源頭
塩の岐沢最後の詰め。稜線までもう一息。

深瀬沢への下降点に向けてヤブを漕ぐ。と言っても、密なヤブではないので、さほどの苦労はない。時々ツルが邪魔をするが、潜ったり踏んづけたりしながら前進する。コンパスとGPSで方向修正しながら、1526m峰から少し降ったあたりで左折し、深瀬沢の源頭部へと下降を開始した。
降りはじめは少し急な斜面だが、笹や立ち木に掴りながら下って行く。冨田さんは少し苦労していたようだが、滑っても大事ない斜面でもあり、自力でがんばってもらう。
やがて急斜面から窪状に沢型が明確になるが、水が出始めるのは思ったよりも遅かった。

深瀬沢源頭部を下降
深瀬沢源頭部は少々急傾斜。笹や枝に掴まりながらの下降となる。

狭い沢を下降していくと、前面に滝の気配。5m程の滝だが、巻き下りるのは少し難しそう。灌木に捨て縄をかけて懸垂下降をした。

深瀬沢・5mの滝を懸垂下降
沢が狭いので、灌木の枝に支点を取って懸垂下降

そのすぐ先でまた5m程の滝。右岸から巻き下りられそうだが、ワンポイントが微妙。後続に確認すると、懸垂下降の支点は取れるということなので、後続には懸垂下降してもらうことにして、古巻はそのまま巻き下りた。
しばらく滝場が続いたが、以降はロープを使わずに降りることができた。
時間はお昼近くなったが、まだ先は長そう。右岸から枝沢が入るところで、昼の休憩を取った。

Co1100くらいからは傾斜が緩んできたが、まだ渓の幅が狭く河原も少ないので、沢の中を歩かねばならずなかなか時間がかかる。
早ければ昼過ぎに降りられるのではと思っていたが、少し見込みが甘かったようだ。
宮沢入川も同様だったが、下流部は倒木が多くルート取りに苦労する。それに、淡々とゴーロの沢を下っていくのはなかなかに疲れる。

深瀬沢の下降
沢は開けてきたが、単調で少々うんざり…

地形図に道型が描かれたあたりで、道を探すもそれらしい痕跡は見つからない。道があれば少し楽だと思っていたので、ちょっとがっかり。
そこからは道らしき痕跡を探しながら降る。谷も開けてきて河原を歩けるようにもなってきた。

しばらく我慢の下降を続けたが、右岸台地を歩いている時に、これは道では?というひと筋の踏み分けを見つけた。ところどころで分断はされているが、地形を見ながら踏み跡を追って歩くと、ヤブが開けて前方に護岸上の車道が見えた。右手から大きめの支流も認められ、水流が車道(跡?)を越えて護岸を流れ落ちて滝のようになっている。幽ノ沢の出合である。初めて見ると、なかなか印象的にも感じられる光景だが、やっと労苦から解放された気持ちがそういう風に感じさせたのかもしれない。
「車道だ~」と思わず声が出たが、そこからはわずか10分ほどで国道脇の林道入り口に到達して、終わりはあっけなかった。

深瀬沢、幽ノ沢出合
長く単調な下降からやっと解放された

林道入り口の広場で手早く片づけを済ませて、久しぶりに赤岩荘の熱めの露天風呂で汗を流し、会津山口のいつものスーパーで地酒を仕入れて、疲れたけれど久しぶりに会津の沢旅を楽しんだ満足感も抱きつつ、駒止峠経由で帰路に就いた。

遡行図(宮沢入川~塩の岐沢)

遡行図(塩の岐沢~深瀬沢)


山行最終日:2021年9月26日
メンバー:古巻(L) 坂部 冨田
山域:南会津
山行形態:沢登り
コースタイム:
[9月25日]
宮沢入川林道終点(8:20)-大堰堤上河原(9:30/38)-Co800右岸枝沢出合(11:05)-Co850付近:釣りと昼食(12:00/40)-892m地点二俣
(12:58)-Co950分岐(13:50)-Co1300圏鞍部(15:20)-塩の岐沢Co1165付近C1(15:45)
[9月26日]
C1(7:25)-Co1200分岐(8:05)-Co1430付近(9:05/15)-1526m峰(9:46)-深瀬沢下降点(10:15)-Co1160付近(11:55/12:15)-金山沢出合(13:55)-幽ノ沢出合(14:49)-深瀬沢林道入口(15:00)
地形図:会津山口・城郭朝日山・内川
報告者:古巻

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