天候:晴
記録を振り返って改めて確認したが、昨年はコロナ禍の影響や、その他諸般の事情により、レスキュー訓練を一度も実施できなかった。今回は、春期に続き無事2度目のレスキュー訓練実施の運びとなり、例年通りに2度の訓練実施が叶った。
ということで、秋のレスキュー訓練は春と同じモミソ懸垂岩周辺で実施。新入会員を含む基礎班はモミソ懸垂岩で基本訓練を、古株の実践班は、新茅ノ沢に入って滝場で実践編の訓練を行う計画だ。
新茅荘前で支度をして新茅ノ沢へと降りたが、天候は晴れているものの、沢の中は日が差さずになかなかに寒い。
橋を潜りまず最初に現れるF1だが、ここは濡れずに訓練するのは難しそうだ。右から巻いて越し、次のF2周辺を使っての訓練を実施することにした。
最初はリード者の救助シミュレーションから。
トップで登攀していたメンバーが途中で滑落、ないし落石等で動けなくなったことを想定し、ほかのメンバーが滝の下までおろして安全を確保するという内容で手順を確認。
具体的には、ビレー態勢から自己脱出をして滝上に上がり、懸垂下降で要救助者を滝の下へと下すという流れである。
下降する方法としては、
(1)ディスタンスブレーキで下降
(2)セルフブレーキで下降
の2パターンが考えられる。
(1)の場合は、救助に最低2名必要となるので、2人で行動していた場合は(2)しか選択肢はない。
また、要救助者を下すにあたっては、振り分け救助のシステムをセットし、
(a)介助懸垂で下降
(b)背負い懸垂で下降
の2パターンが考えられるが、こちらも要救助者が意識がないなど脚で降りてこられない場合は(b)で下すしかない。
以前の訓練では、要救助者にロープを結束して無理やり吊り下す方法なども研究してみたが、あまりうまくいかなかった。今回は久しぶりの実践編訓練という事もあり、基本的な方法の確認に留まったが、今後もいろいろと試してみて引き出しを増やしておくのは無駄にはならないのだろうと思う。
ともあれ、まずは伊藤さんと古巻でF2の落ち口まで上がり、救助態勢に入ろうとするが、事前調整が不十分でもたついたため仕切り直しをするなど、時間がかかってしまう。待機時間が長いと滝の水に打たれて要救助者役は大変寒い思いをするので、結局、滝本体ではなく左岸の岩場を使って訓練することになった。
その後、要救助者役、救助者役を交代しながら、セルフブレーキをセットしての振り分け救助を実践。ただ、少しもたついたり、やり直したりするとあっという間に時間が経ってしまう。救助時間の短縮は、今後も追及する必要があると感じた。
続いて、同様にディスタンスブレーキでの救助シミュレーションも行う。
ディスタンスブレーキでポイントとなるのは、上部でロワーダウンを制御する際の制動力増強のための仕掛けだが、オートブロック的にフリクションノットをセットすると、どうも締まりすぎてしまう傾向があり、うまくない。適切な制動力が得られるシステムを手早く構築する必要がある。この辺りは、もう少し研究・検証が必要に感じた。
また、訓練ではバックアップも含め、しっかりと支点を使ってのシミュレーションができるのだが、実際の現場で、どこまで支点をとれるのだろうかといった視点でのシミュレーションも必要だろう。
と、そうこうしているうちに、集合時間が迫ってきた。
そこで、最後に引き上げシステムの実践に移ることに。
右岸に少し急な斜面があるので、そこで1/3システム、1/5システムで要救助者を引き上げる手順を確認した。倍力システムの作り方を確認し、実際にカラビナのみで引き上げる場合とプーリーを使って引き上げる場合での、抵抗感の違いなども確認した。
最初に少々もたついたりしたこともあり、時間が足りなくなって、予定していたメニューをなかなかこなし切れなかったが、来期はもう少しスムーズに時間をかけないで一連の手順をこなせるようにできればと思う。
実践編の課題については、実際の遡行時に具体的にイメージをしながら遡行することも大切だろうと思うし、終了後に高森さんから配られた資料にもあったとおり、レスキューしなくてはならないような状況に陥らないようにすることが必要なのはその通りだろう。
いつもながら、訓練終了とともに新たな宿題が出てきてしまうのだが、そこも含めて会全体で共有しながら、安全対策向上に努めていきたい。
訓練開始(9:15)-訓練終了(15:30)