東北遠征 第3弾 「夜明島渓谷」
東北方面遠征 第3弾で訪れた夜明島渓谷を知ったのは、30年ぐらい前に購入した「秋田・源流の山旅:藤原優太郎著」だったと思う。訪れる機会は無いと思っていたが、遊歩道ができているらしいので、東北遠征の骨休めに組み入れてみた計画だ。しかし、遊歩道が整備されていたのは2010年代後半までで、最近は荒れ果てて遊歩道とは呼べない沢登りで言えば少なくとも1級ぐらいのルートになっていて途中それなりに緊張するところもあった。
今回は、日本の滝100選にもなっている「茶釜の滝」をみるのがメインの目的だが、ルートにはそれ以外にも多くの滝がかかるようで楽しみだ。
8/7(水) 天候 晴れ時々曇り後小雨
前日は、下北半島から移動し鹿角道の駅「あんとらぁ」でSB。人工芝の上にベンチテーブル付きのテントが4つ配置されていて、車道から離れたスペースで安眠できた。コンビニで朝食を済ませ、夜明島川林道に向かうが、林道入口に通じる橋が通行止めだった。今日は休養日になってしまうのかと、一瞬頭をよぎるが、前方に軽自動車が走り去ったので別ルートの存在に気付きどうにか林道を入ることができた。川沿いに約15km続く林道でco500m付近の橋を渡った所で駐車した。早速、メジロアブが集まって辟易したが、身支度はほぼ済ましているのでモスキートネットを被りハーネスを装着し、この日も大塚さんにリードをお願いし、そそくさと出発した。
駐車したところから先の林道は草に覆われていて、一部崩壊していたので車での通行は不可能な状況、10分程度で以前の駐車場に到着した。
藪化が進む遊歩道をしばらく行くと夜明島川に到着。アブは相変わらず多い(自分の尺度で密度60%)が、平凡な川原を遡行していく。
左の側壁が立ってくると(おそらく千丈幕)倒木の目立つ荒れた感じになってくるが端正に水を落とす滝が見えてくる。
「泊滝」15mである。両岸は絶壁で一見大高巻きになりそうな様子ではあるが、遊歩道の鉄梯子が右側にかかっている。
鉄梯子は無残にも下部がネジクレてしまっていてそのまま使うのに不安があったので、右の崩壊地から根っこを頼りに登り梯子上部に乗り移った。
高巻ルートはしっかりとしており、途中泊滝を撮影する余裕もありました。
滝上には鉄梯子で下降していきます。幸い下まで梯子がしっかりありました。
ジャスト、泊滝上に降り立つと結構な勢いで畚(もっこ)滝 2x3mが深釜に注いでいます。
対岸にロープと鉄梯子がありますが、徒渉点のロープはズタズタでした。増水していなかったので、危なげなく徒渉して対岸にとり付けましたが、増水している場合は、流されると泊滝に落ちてしまうのでかなり危険なポイントとなると思います。
右岸に付けられた畚滝の巻き道もしっかりしており、泊滝と合わせて20分程度で越えられましたが、上り下りで熱くなってしまい首筋に川水をかけて冷まします(これが気持ちよいんです)。
10分ほど川原を行くと滝が勢いよく滝壺に落ちているのが見えてきます・
回り込むと、岩盤に深く穿たれたトイ状に流れ落ちる10x15mの見事な滝です。
これが「跳ね滝」と思います。右にロープつきの巻き道があり簡単に越えられました。
そこから10分ほどで4~5mの2条滝が出てきます。「夫婦(めおと)滝」と思います。右に巻き道がありますが、左の岩盤を簡単に登って越えられます。
更に10分程度で4m2段滝(禊の滝?)が出てきます。右の岩壁が越えられないか検討しましたが無理そうなので右に付けられた巻き道を利用して越えました。
禊の滝を巻いている途中から5mトイ状垂直に細く水を落とす滝(虎の尾の滝?)が見えました。巻き道はまとめて巻いているのでそれを辿りました。
一層森深くなり、ここら辺は周辺の樹木も大分大きなものが目立ってきます
一旦開けた平凡な川原となります。
30分ほど川原を行くと、巨岩帯に突入します。案内図では、胎内クグリ、クグリの滝、跳石飛石と続くポイントのようですが、自分らにはどれがどれだかわかりませんでした。
そこから少し行ったところで、左から1:2で10x30mのスラブ滝がスダレ状に流れを落とします。「白布の滝」と思います。その上にもスラブ・スダレ滝が懸っているのが見えました。
そのまま本流を遡行していくと徐々に両岸が切り立ってきます。
そこから、ゴルジュっぽくなってきて、4x6m滝等のスロープ滝が続くポイントになります。
前方に大岸壁が見えてきます。ここいらの岸壁は、左が八重屏風、右に七重屏風、万丈幕、ツヅラ岩と続くようですが、どれがどれやらわかりませんでした。
このすぐ先、上の写真の大岩壁の手前が地形図上co731mの二俣(1:1)で10:30頃に到着しました。岩に赤ペンキで矢印のある右俣を行くと10m滝が水を落としています。これが、おそらく狭義の茶釜の滝です。この上に銀線の滝(冒頭の書籍では4段の細い滝が落ちていると記述があります)があるはずですが、自分たちには確認できませんでした。
10m滝の左側には、急な鉄梯子が続いていて、数えていませんでしたが8個ぐらいの梯子を登ると滝見テラスに到着です。
滝見テラスからは、高さ100m「雲上の滝」(これが茶釜の滝として掲載されている場合が多いですが、案内図によると前衛の茶釜の滝、銀線の滝、雲上の滝3つを合わせて茶釜の滝と記載されています)が一望できます。すごい迫力で、しばらく滝に見とれた後に、登ってきた鉄梯子ルートを下りました。
二俣まで戻り、今度は「白雲の滝」のある左俣を遡行します。5m程度の滝が2つ出てきますが、何れも右側のロープが健在で簡単に越えられます。
「白雲の滝」が見えてきました。
8mの2条前衛滝に続き堂々40m程の高さの滝です。こちらの滝は、滝下まで行きませんでしたが、遠望でも迫力のある大きな滝でした。
大場谷地にぬける山道が右側の枝沢付近から赤テープで示されてるポイントで昼食休憩をとりましたが、大粒の雨が降り始めたので下山を急ぎました。泊滝上部の徒渉が気になりましたが、雨は幸いにも激しくならず2時間かからず出発地まで戻ることができました。
夜明島渓谷は見事な滝が何個もあり、昔は観光地として遊歩道?が整備されていたのも頷けましたが、一般の方に来てもらうにはルート整備が間に合いそうにありません。今後はどんどん荒れて行って沢登り経験者でないといけない所になりそうなのは残念な限りです。
下山後は、大葛(おおくぞ)温泉に立ち寄り、次なる目的地 焼切沢近くの岩手山山麓の焼走野営場に移動しました。
大葛温泉は、入浴料150円、シャンプー・石鹸はないですが、源泉かけ流し、洗い湯も源泉かけ流しという湯量豊富な温泉で、とても気持ちよく入浴できたことを付記しておきます。
夜明島川林道co500m付近P(7:51)-泊滝(8:24)-夫婦滝(9:06)-co731m二俣(10:31)-茶釜ノ滝展望台(10:49/55)-白雲ノ滝付近(11:20/40)-夜明島川林道co500m付近P(13:30)