早出川周回

憧れの一つだったこの沢へいつか行ける日が来るのかな?
少しずつ経験を積み、仲間が出来たところ不意に「いつか」がやってきた。

今年は今まで行ったことのない山域へ出かけ経験を積むのが目標だった。そのために会のメンバー以外の仲間とも積極的に出かけて来た。なかでもMさんとは趣向や歩くペースが似ていることから月一以上のペースで出かけて来た。お互いだいぶ気心が知れてきたので遠慮なく行きたい山域を提案するようにもなった。大抵は泊り山行で、季節が進むごとに遠くまで出かけるようになった。そんな折、「9月になったらガンガラシバナに行かないか?」と持ち掛けられた。自分だけでは行けると思っていなかったし、あまりにもさらっと言われたので深く考えないまま「行こう」と返事をしていた。
ところが8月はあんなに晴れが続いていたのに9月に入った途端、肝心な時に雨が降るようになった。当初予定した日程も生憎の天気で延期となった。ガンガラシバナはポピュラーなルートでは2泊3日で周回するコースだが3日間雨が降らない時を選んで入渓しないと増水に手を焼くことになるようだ。二回目のチャンスは9月の最終週にやって来た。

9月25日(木)21:30に久喜駅に集合。東北自動車道を西会津インターへ。最寄りの道の駅で仮眠させてもらう。夜中に強い雨が降った。今回はアルコール抜きときめていたので入山式をしなかった。そのせいか興奮と緊張のためなかなか寝付けないまま朝を迎えた。

一の俣橋から入渓
ヌメヌメの三段滝
一の俣沢は登りごたえのある沢だった。
早出川 グリーンと言うかイエローがかった水の色
へつりか泳ぎか より早い方を選択し進んだ
横滝 ガンガラシバナまでで唯一の滝、左から巻いた

9月26日(金)4時に起床し6自出発、室谷川に沿って車を走らせるがこの室谷川がひどく濁り増水もしている。昨夜の雨のせいだとしてもものすごい荒れ方だ。しばらくして支流の倉谷沢に進み目的の一の俣橋に到着。橋から沢を覗くとなんとほとんど平水で濁ってもいない!良かった。装備を整えて7:30いよいよ三日間の沢旅のスタート。アプローチとして利用される一の俣沢は水量こそ少ないものの勾配があり大滝も二つ、おまけに滑りもある登りごたえのある普通の沢で「舐めたらあかん奴」だった。
この沢の下降は結構気を使うな、なんてこと事を考えながら遡行した。2時間半かけて尾根に到着。うっすらある踏み跡を辿り赤羽沢へ向けて乗越す。倒木のお陰でところどころ歩きにくい箇所もあり、小まめに方向を確認しつつ1時間後ようやく早出川に降り立った。やや黄色い水の流れに足を浸し、感慨にふけりながら小休止。しかし冷静に考えるとまだ初日の行程の半分も来ていないので先を急いだ。早出川は少し増水していることもあって川原がほとんどなく、歩き易そうな側の岸へと右へ左へと徒渉の繰り返しだった。Mさんはこの徒渉が堪え足に疲労が溜まったと言っていた。ただ、遡行は本流だけあり、どちらかと言うと単調で滝は横滝の一つだけだった。出来たら天候のいい日に時間を気にせずのんびり景色を目に焼き付けながら歩きたいと思った。周囲に樹木が無くなってきたな、と思うようになるとそれらしい雰囲気に包まれてきた。いよいよだ。あのカーブを曲がったら見えるんじゃないか?とワクワクし歩みが早くなる。そしてついに目の前にガンガラシバナとルンゼなどを含む岩壁が目の前に広がった。圧巻だ。テンバとなりそうな平地に荷物を置いてさらに近づいてみる「スゲー」二人とも口から出る言葉はこればかりだ。セルフタイマーで二人で記念写真を撮りまくるとテンバに戻り寝床の準備をしてやっと一息ついた。それにしても内容の濃い、長い一日だった。陽が落ち、あたりが暗くなると空には一杯の星空が広がった。久しぶりに空一面に広がるの天の川を見た。年甲斐も無くロマンチックな気分になった(笑)

高巻きはそれほど悪場は無かった
植生が樹木から草付きに やがて岩峰が目立つようになる。

 

ついに視界にガンガラシバナの巨大な岩塊峰が。

9月27日(土)今回の山行ではこの日の行程が一番長く、集中力も必要なためなるべく早く動き出そうということになり、4時起床5時出発。雲一つなくすっきり晴れている、良かった。登るルートは水流があるいわゆる右ルンゼ。水流の左右両側にルートが取れるようだが、よりスピーディーに登れる右を登る事にした。フラットソールに変え登攀開始。出だしの10mほどロープを出したがその後はフリーでグイグイ登れた。遠目で見たより傾斜はきつくなくザラザラしていてよくグリップする。あまり急ぎすぎるのも勿体ないので景色を見に焼き付ける。途中でなるべく写真も撮るようにしたが割とあっけなく落ち口下のテラスまで来た。ここから灌木を進むことになるので再びフェルトシューズに戻した。少しボサを登り頃合いを見て左方にある水流の方へ進むと丁度落ち口の上に復帰できた。ここからは稜線が見えたので詰めの辛さはそれほど感じなかった。ヤシロ尾根には9:15に到着。紅く色着いた木(ナナカマドかな?)など薄い藪に覆われた稜線を下降点まで30分歩いて割岩沢へ向けてドゾウ平沢を降った。この下降が意外と曲者で特に後半に懸垂下降をしなければならない滝が続いたため思いのほか時間が掛かった。なお、懸垂の支点はしっかりした残置があったのでよく確認してからありがたく利用させていただいた。割岩沢に降りると左(上流)にジッピと呼ばれるゴルジュがあった。切れ立った岩壁の奥に細く、そして深い流れが確認できる。何とも神秘的だった。先を急ぎたかったがこのゴルジュを泳がないわけにはいかないだろ?となり寒いのを我慢しつつ15mほど泳ぎ奥に入ってみた。水は透き通っていてとても綺麗だったが深くて底の様子は分からなかった。震えながら岸に戻ると14:00だった。翌日の行程を考えてテンバは予定通りユウ沢出合いにしたかったので休むことなくペースを上げて割岩沢を降った。へつると時間が掛かるため泳げるところは積極的に泳いだ。疲れていたが頑張ったおかげで陽のある16:30にユウ沢出合に到着した。ここは右岸に丁度いいテンバがあったが薪が少なくて思うような焚火が出来なかった。

いよいよ登攀します
水流右のフリーで行けるラインを登る事にした 出だしの10mはロープを引いた。
天気も良く予想よりも快適で楽しめた
中間部の様子
テンポよく登れる はるか眼下に昨夜のテン場が見えた
ここで沢に復帰 滝上は普通の沢歩きとなる
藪に覆われたヤシロ尾根 奥は矢苫山
ドゾウ平沢は後半懸垂下降の連続だった
割岩沢に降り立つとジッピが目の前に
水は冷たかったけど記念にひと泳ぎしてみた

9月27日(日)いよいよ最終日。この日は今出まで降り、早出川を遡行し赤羽沢から一の俣沢を降りデポ地へ戻る楽な行程のはずだったが予想より大変で時間が掛かった。早出川に入ってからMさんのペースが目に見えて落ちて来た。確認すると元気とやる気はあるがとにかく体が重くてペースを上げることが出来ないとのこと。ゆっくりと遡行を続けると11:00、ついに赤羽沢出合いに帰ってきた。ホッとして小休止を取り最後の登りに向け準備を整えた。Mさんのザックは浸水していてシュラフなどたっぷり水を吸っていた。どおりで重たいわけだ。(笑)赤羽沢を登り返すこと約1時間30分、一の俣乗越しに12:30到着。いよいよ旅のフィナーレだ。一の俣沢は来るときにも気になったが、やはり滑りや中途半端な落差があり降りにくい。ラバーソールのMさんはさらに歩き難いようだ。最後まで気を抜かない事だけを考え一心に沢を降った。半分くらい降りてきた辺りから両岸に釣り師の帰り用の杣道が付いていたのでありがたく利用させてもらった。このおかげで水線を歩かなくて済みペースアップ出来た。二俣を過ぎるといよいよゴールが近づいてきた。前方の木の枝間に赤い橋(一の俣橋)が見えた時には無事に戻れたことに思わず「よっしゃ!」と声が漏れてしまったくらい嬉しかった。車に着いたのは予定より1時間押した15:30だった。

二日目のテンバはユウ沢出合いにした
三日目も泳ぎまくり 下流にいくほど水温が上がり寒さが和らいで良かった
太陽が高くなり渓にも陽が射すと体を温めることが出来た
ようやく赤羽沢出合いまで戻ってきた

ゆっくり帰り支度を済ませてから最寄りの御神楽温泉に寄って汗を流した。露天風呂が利用できないためか500円とお安かった。お湯は私に適温でとても気持ち良く、いつもより長く湯船に浸りながら3日間の旅を振り返った。

東北自動車道を南下し22:00ころ久喜駅に到着し解散した。

今回の旅はクライマックスが続き、ずっと緊張したままだった。振り返ってみるとガンガラシバナのルンゼ登攀が一番快適だった気がする。とても内容の濃い山行ができた。
付き合ってくれた仲間に感謝です。


山行最終日:2025年9月28日
メンバー:牛久(L)、M(会員外)
山域:会越
山行形態:個人山行
コースタイム:
26日 一の俣橋(7:30)-一の俣乗越(10:00)-早出川(11:00)-Co597テンバ(15:30)
27日 テンバ(4:45) ーヤシロ尾根(9:15) ー割岩沢出合(13:50-14:10) ーユウ沢出合テンバ(16:30)
28日 テンバ(7:00) ー今出(8:30) ーアカバ沢出合(11:10) ー一の俣乗越(12:30) ー一の俣橋(15:30)
地形図:室谷
報告者:牛久

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