(天候)4月12日:快晴
長く憧れていた頂に立てた。登山道は通じているし行こうと思えばいつでも行けるはずなのだが、何故か機会が訪れない、そんな山も沢も(文字通り)沢山ある。
前泊した道の駅から下大戸沢スノーシェッドを抜けて、待ち合わせ場所に指定された南側出口を出てすぐの駐車スペースを覗くと既に満車(といってもそもそも3台くらいしか停められないが)。戻ることも考えたが、今回のように下大戸沢を遡ってアプローチする場合は南側からの方が労力が少ないので、少し先の除雪されたスペースに車を停めた。先行は1台のみで、まだあと数台は駐車可能。
支度をしていると、師匠sの車が到着した。前回師匠sが三岩岳に行った時もここに駐車したらしい。10分弱余計に歩く感じになるが、全然許容範囲である。それにしても、大戸沢岳も随分とメジャーになったのかしら。数年前なら余裕で出口のところに停められたのだが…。
支度を終え駐車スペースとは道路を挟んで反対側の小高くなった雪原によじ登ってスキーを履く。あわよくばこのままスノーシェッドの出口脇までシール歩行で行ければと思ったが、残念なことに途中の小沢で雪が切れていていったんスキーを脱ぐことになった。
スノーシェッドの脇から下大戸沢に進み、雪に埋まった沢を上流に歩いていく。下大戸沢の下部は、雪解け水が流れ込むところで雪が切れたり、側壁の急斜面からのデブリが溜まっているところやらがあるが、沢幅も広く傾斜も殆どないので雪崩の心配はない。

1時間ほどで目指す尾根の取りつき付近に到着。しばしの休憩。上流方向を見ると雪に輝く三岩岳の稜線が望める。随分と高く見えてまだだいぶかかりそうだなあとちょっとため息。左手の中ノ沢を挟んだ右岸尾根は大戸沢岳からの降りで使った懐かしい場所だ。その時は4月初旬だったが、下大戸沢は既にあちらこちらで沢が開いていて何度かの徒渉を強いられた。


休憩していると、登ろうとする尾根から一人のスキーヤーが降りてきた。沢筋を滑ったら雪に脚を取られて膝を痛めたという。右のターンが難しいと言いながら、横滑り気味に下って行った。ここからなら、歩いて降りてもさほど時間もかからないし危ないところもないが、我々も気をつけねばね。
休憩の後、目の前の尾根に取り付く。三岩岳のシンボル三ッ岩が連なる南東尾根のCo1700付近から南に派生する支尾根である。少し急角度で一本調子に上がっていく尾根の様子が地形図から見て取れる。樹林を縫って登り始めるが、やはりなかなかの急傾斜だ。全く歯が立たないわけではないが、キックターンで方向を変える際など何度か手間取るシーンも。師匠sは淡々と登っているけれど。

登り始めて1時間ほど、Co1600の少し手前で2度目の休憩。頂上まではまだ少しかかりそうだ。周辺は立ち木も疎らになって見晴らしもいい。三岩岳の頂稜部からは大きな雪庇が張り出しているのが間近に見えるし、大戸沢岳のこんもりした姿も大きく見える。三岩沢は傾斜の増す源頭部に点発生の雪崩跡が。陽ざしも強く、風は少し冷たいがもう刺すような冬の空気ではない。春になったんだなあと少ししんみりと時の過ぎる速さを感じる。

休憩を終わって登高を再開するが、40分ほど登ったところでi師が先行するグループと談笑する声が聞こえてた。何でも、前回三岩に来た際にも顔を合わせたのだそう。二人組のボーダーだった。I師によると移動スピードが驚異的で分身の術でも使ったようだったそうである。10分ほど話をして、今日はここからドロップするというおふたりと別れて山頂を目指す。





やがて行く手に大きな岩峰が見えてきた。三岩岳の名称の由来となった三ツ岩である。
前回はその基部をトラバースする際にシールの裏に雪が高下駄状に張り付いてしまってエッジも効かず難儀をしたということだったが、今日はさほどの問題なくトラバースすることができた。ただ、右手の斜面が急激に落ち込んでおり滑落するとシャレにはならなそうで少しだけ気持ちが悪い。

三ツ岩のトラバースが終わると頂上はもう目の前。最後の踏ん張りで登りきる。雪に埋まった針葉樹に囲まれた山頂部に着いて荷物を下ろすとI師匠が「ここが三角点のあるところで、最高点はあっちだけど行ってみます?」少し先のポッコリを指さす。地図をみると確かに数mだろうか標高の高い地点がある。ここは折角なので先まで行ってみることにした。
荷物をデポしたまま再び歩き始めるが空身だとだいぶ楽だ。最高点までは10分かからずに到着。でも来てよかった。展望がさらに開ける。会津駒ヶ岳を挟んで左に大戸沢岳、右に中門岳が馬蹄形に連なっているのがよく分かる。あぁまた大戸沢岳に行きたいなあと強く思う。なんせ大戸沢岳は最高点に行ってないのだ。


前年夏に会津駒から中門岳を一緒に歩いた妻にLINEで写真を送る。眼下には高畑スキー場やらたかつえスキー場やらがよく見えるので、電波は普通に届くのだなあ。
中門岳から仰ぎ見た三岩岳は大きく見えたが、大戸沢・駒・中門も大きな山だ。なんかもう嬉しくていつまでもいたいと思うのだが、まあまあ登りで時間を取ったのでそろそろ下山を始めないといけない。急いで最高点をパスしたT師の待つ三角点まで戻る。帰りは3分ほどで戻れた。早い。

滑走準備をしつつ行動食をぱくつく。
登ってきたのとは反対を覗くと、すぐ下に窓明山が真っ白に横たわっている。三岩岳との間にはミチギノ沢の源頭部。随分前に、安越又川からミチギノ沢に乗っ越して二俣に泊ったことあるよなあと感慨深く思い起こす。雪に埋まってはいるが、地形が手に取るようによくわかっておもしろい。また来たいなあとか、あっちの方へも行ってみたいなあとか夢の広がる景色である。

さて、滑降準備完了。I師を先頭にひとまず支尾根の分岐まで。
登りではちょっとドキドキした三岩のトラバースも、エッジを効かせて滑り降りればあっという間だし、むしろ気持ちがいい。恐怖感は全く伴わないのが不思議だ。滑落したら同じなんだけどねぇ。
支尾根の分岐辺りまでスタートから15分くらい。登りは1時間近くかかっているんだけど。

まっすぐ左手の沢筋はタケナグラ沢の源頭部のようだ。そっちへ降りたら面倒なことになるので気を付けないと。もともとは1426.9m峰の右手の沢筋を降る計画ではあったが、雪がだいぶ重たくなってきたので、しばらくそのまま登った尾根を降ることにする。重い雪にてこずりながら高度を落としていくが、でもなかなか楽しいぞ。Co1550付近で一度左手の沢筋を滑ってみたが、スキーでカットした雪面がそのままずるずると雪崩になって落ちていくので、これは危険だということで尾根に復帰。沢はだめだねと意見の一致をみて、そのまま尾根を落としていくことにした。

重い雪で疲れはするが、前回よりましのようだ。ぐんぐんと高度を落としていくと20分ほどで尾根の取りつき点に到着。あ~気持ちよかった。疲れたけど。おまけに最後ちょっと樹林を抜けるのに手こずったけど。おまけに脚をちょっと攣りかけたけど…。
そこからは広いけどデコボコで枝やら小石やらの散乱した三岩沢・中ノ沢出合から下流の河原をスキーを引っかけて転ばないように気を付けて滑り降りる。15分ほどでスノーシェッドの出口に到着。登りで会ったおふたりもちょうど雪壁の上で休憩中。「お疲れさま」と声をかけて一足先に国道に降りて、そのまま車へと戻った。
師匠sは、本日檜枝岐に泊まって翌日大戸沢岳の予定とのこと。ぼくは翌日予定があって東京へ戻らなければいけない。残念…。ということでそのまま駐車スペースで解散し、それぞれの目的地へ向かうのでありました。
駐車スペース(8:40)-Co1090尾根取付き点(9:42/10:00)-Co1580付近(11:12/40)-Co1840付近(12:20/30)-三岩岳三角点(13:15)-2070m圏最高点(13:22/27)-三岩岳三角点(13:30/55)-Co1090尾根取付き点(14:42)-下大戸沢スノーシェッド南側出口(14:57)-駐車スペース(15:05)