(天候)1月10日:晴
雪のシーズンを迎え、恒例の雪上対策訓練を谷川岳天神平で実施した。昨年は豊富な積雪があり、麓の白毛門の登山口付近で訓練が実施できたが、今年は昨年に比べ雪がかなり少なく、麓での訓練には少しおぼつかない。ロープウェイの料金が余分にかかるが、止む無く天神平まで上がって訓練を実施することとなった。谷川岳ドライブインの駐車場からベースプラザに車を移動。身支度を整えロープウェイに乗り込んだ。
ロープウェイの天神平駅を出たところで、まずビーコンチェック。送信モード、受信モードそれぞれでビーコンの動作を確認。異常なし!を確認して、まずは訓練のベースとする場所まで移動する。移動にあたってはつぼ脚での歩行を意識して、スキーゲレンデ脇をしばし急登。天神尾根から派生する田尻尾根に乗ったあたりをベースとする。天神平で雪訓をする時の定位置だ。
今日は風も穏やか、かつ青空も広がり絶好の訓練日和だ。周囲の眺めも開けて気持ちがいい。ただ、山頂方面を見上げると雪煙が舞っているので稜線は風がそこそこ強いようだ。

まず、登山者のトレースを少し離れてラッセルの練習をする。最初はつぼ脚で、次いでワカンを装着して尾根上、尾根を外れて尾根の側面の登降を繰り返す。

ゲレンデ側の斜面をラッセルの練習は滑落停止の”練習場”の整備も兼ねている。雪が柔らかいので、ある程度踏み固めた斜面で練習をしないと、滑落も何もせず練習にもならないからである。
踏み固めた斜面と畑さん持参のヒップソリも動員して滑落停止の姿勢を練習する。足を下、頭を下、うつ伏せ、仰向け、様々な姿勢で滑落を停めるべく練習を繰り返す。
そもそも雪が柔らかいので失敗しても安心で実地とは程遠い状況でもある。まあ、今日はかたちの練習なのでそこは目をつぶることになる。
実際の現場ではまずコケないことが最重要で、コケても直ぐに止めないと止まるのは難しいだろう。流れ出したら止められないと思った方がいいし、そういう感覚でいることが必要だと思う。

上の写真は、雪に寝っ転がって遊んでいるようだが、一応仰向けからうつぶせに回転する途中のひとこまである。うつぶせになったタイミングで足はアイゼンを雪面に引っかけないようひざを曲げて足を上げるのがポイントである。また、ピッケルのシャフトは雪面に刺した後に心持ちスピッツェ側を持ち上げるようにするとピックがより刺さりやすくなる、などの細かいコツについてもリーダーからコメントがあった。
実際には、頭を下にした状態で滑り出したら結構どうやって止めようかと混乱しそうだ。
斜面も急角度になればなるほど止めるのは難しいだろう。
毎回思うが、やはり”転ばない”が正解なのである。
ひととおり滑落停止の練習をした後は、昼休憩を挟んでアイゼンを装着してアイゼン&ピッケルワークの練習を行う。
アイゼンで歩く場合は爪をひっかけないよう、少し足を開き気味に、フラットフィッティングを心掛ける。すべての爪が斜面を捉えるようにすると安定して歩くことができる。
アイゼン歩行の確認をした後は、せっかくアイゼンを着けたのでそのまま滑落停止の練習をしてみた。体をうつ伏せにした際に足を曲げて上げる動作を確実にしないと、アイゼンを着けたままでは雪面などにアイゼンをひっかける可能性が高くなるので、身体に体勢を覚えこませることが大事である。

続いては、雪上での確保技術であるスタンディング・アックス・ビレイの練習を行う。
登攀者を雪に差し込んだピッケル(アイスアックス)を支点に確保する方法である。


確保の際は、確実にピッケルのブレードを足で踏んで抑えることと真下に向けてテンションがかかるようにする方が確実に確保できる。
それからセルフビレイを取らないと登攀者が滑った際に飛ばされるリスクがある。今回は灌木が出ているところで確保したので灌木でセルフビレイを取ったが、雪稜などの場合は支点工作が必要になるケースもあるだろう。
確保する役、確保される役を交代で練習したが、慣れないとピッケルが飛んで行ったりと飛んでもない(飛んだんだけど)ことになる。確実な確保ができるように練習を積むことが必要そうだ。
と、ひととおりのメニューを終えた後、ビーコン操作と探索の練習をするために平らなところへ移動する。
アイゼンを着けたままロープウェイの駅付近まで斜面を降りたが、この下降もアイゼン歩行のいい練習にはなったのだが、午後も後半になって大きな段差の箇所が出てきて、そういうところはとても降りづらい。
斜面を降りて傾斜のなくなったたところで、本日最後のメニューとして、ビーコン操作、および捜索の実習を行う。
最近のビーコンは高性能になってきたので、捜索も格段にやりやすくなっている。一度電波を拾えれば、比較的簡単に埋没地点を絞り込める。
今日は練習なので、スピードよりも確実な操作と探索方法の習得を重視して練習した。
コースサーチ(広域サーチ)からファインサーチ(詳細サーチ)へ移る際の探索方法の違いや、プロービングの際の注意点、掘り出しの際の注意点などを確認しながら、役割を交代して練習を繰り返した。



実際に雪崩に遭遇した場合は、二次被害を起こさないように探索する必要もあり、何よりもスピードが求められる。今日は一人一役でのツールの使い方の練習が主体だったが、実際の場面に対応するためにはチームでの動きの訓練も必要である。
複数人でのビーコン操作、複数人でのプロービング、複数人での掘り出し方法、それぞれを頭に入れておくことも必要なので、そうした訓練も実施することが大切である。
ということで、ビーコン操作、プロービング、掘り出しの練習を終了して、本日のメニューをほぼ消化。
弱層テストもできるとよかったが、ちょっと時間切れで実施ができなかったが、高森さんが持参した「ゆきみちゃん」で雪の観察も少しして、弱層を作りやすい雪の結晶のかたちなどの確認もできて、いろいろと引き出しも増えたのではなかろうか。







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