シダクラ沢の小滝を登る

多摩川シダクラ沢


天候:晴

暖かい日が続き、青梅線の車窓からは満開の桜も見ごろである。先週は、雪の会津でスキーを楽しんできたが、今週は星野さんが計画したシダクラ沢へエントリー。総勢4名と、うちの会としては大人数のパーティと言える。

そして、ぼく自身は二度目のシダクラ沢である。記録をたどると、前に来たのは2013年4月20日で今回と同じくらいの時期だが、細かいところはすっかり記憶の彼方である。
遡行中はロープも出さず、詰めは急だったけれどもさしたる苦労もなく登山道へ詰め上げたという記憶がうっすら残っているだけだ。

前回同様、奥多摩駅で電車を降り奥多摩湖方面へ向かうバスに乗車する。惣岳バス停で下車し、国道からは階段を降りてむかし道へ。むかし道を上流に少し辿り、多摩川に架かるシダクラ橋を渡ったところで身支度を整える。

入渓前の綿密なブリーフィング
シダクラ橋を渡ったところで、入渓前のブリーフィングを実施する。

本日の計画についてのブリーフィング後、星野さんを先頭に歩き始めた。初山行リーダーとして少し緊張気味か。星野リーダー、歩き始めは全然水に入らないので、このまま水に入らずに行くのかと思い始めたところ、さすがにそういうわけにはいかず、(沢登りだもの当たり前だ)ついに水流中にも足を踏み入れる。

入渓点からいくつか小滝を越えていくと取水施設があり、その先の4mほどの滝で、星野さんにトップで登攀しセカンド以降をビレイする一連の流れを練習してもらう。

シダクラ沢の取水施設
小滝をいくつか越えると、取水施設が現われる。
ザイルワークの練習風景
リードでの登攀から後続確保の一連の流れを説明して、実習する。

沢では、クライミングのゲレンデのような整備された確保支点は取れないので、立ち木などで支点を取る方法や、自己確保の仕方、ビレイのシステムの作り方などを解説して、実地にやってもらう。
一度で流れるように…という訳にはいかないが、実際の現場で繰り返して経験しないとなかなか身につかないものでもあり、沢登りは経験が大切だというのは、こういうところにも通じるのだと思う。

以降しばらくは、2~3mの小滝を交えて順調に遡行。そして、20分ほどでシダクラ沢最大の6m滝に到着。ここでもリード・確保のトレーニングを行った。リーダーは水流左から取り付き、そのまま乾いた左壁を登るかと思いきや、果敢に水流沿いを攻める。後続は果敢なコースではなく、濡れずに登れる左寄りに…(笑。まあ、確保点が左壁の上だったせいもありますが…

シダクラ沢最大の6m滝を登攀
6m滝の水流沿いを果敢に攻める。

6m滝の先は暫し河原歩きや、ところどころにナメ・ナメ小滝を交える渓相だ。陽が差し込むようになったので、澄んだ水の流れがとても美しい。河原にはハシリドコロやネコノメソウなど、早春の草花が目を楽しませてくれる。この季節特有の淡い色合いの景観が渓相にもマッチしているように感じられ、何だかほっとするような気分になった。

早春の花、ネコノメソウ
河原にはネコノメソウがあちらこちらに見られた。
ハシリドコロ
こちらも、早春の風物詩ハシリドコロ。
澄んだ滝つぼに陽が差し込む
陽が差し込む滝つぼの水は透明で、気持ちまで澄んでくるようだ。

次いで、左岸に四角い巨岩が出現し、続く大岩の転がるゴーロをえっさか越えると、また左岸に巨岩。ふたつ目の巨岩の足元は、優しいナメの流れとなっている。ここを越えると、沢は開けた河原となり、右岸の河原に炭焼き窯の跡があった。リーダー、窯の中に進入し振り返って笑顔でピース ^^)v

開けた河原に残る炭焼き窯の跡
河原の炭焼き窯跡に、何故かリーダー潜り込む…。

炭焼き窯跡を過ぎ、沢が狭まるとハングした4m、3mと連瀑になり、左岸からガレたルンゼを合わせると、間もなく左岸に大きな露岩が現われ、露岩の左に5mの滝が懸かる。ここは水流左のバンド状を斜上して越える。シダクラ沢はナメ部分は多くないが滝も適度に懸かり、とは言え遡行に困難なところもないので沢登りの初心者がトレーニングするにはちょうど良い沢である。(詰めを除く・笑)

露岩の左側に架かる5m滝
露岩の左側には、5mの滝が懸かっている。

大岩の滝を越えて、次の5m滝でもリード確保の練習をする。

後続を確保する練習を繰り返す
リードから後続確保の流れは、何度か繰り返して練習した。

そして、その滝を越えるとCo740付近の二俣となる。時間もちょうどお昼時で、ここでひとまず昼食休憩。この二俣は、左が本流っぽいのだが右の方が若干水量が多いように見える。帰宅後、2013年の際の記録を読み直すと、その時はここを右に入り1128m地点へ詰め上げているが、今回は左を選択。

Co740二俣
Co740の二俣は、右の方が水量が多い。

左に入ってガレたルンゼを右から合わせると、その上に巨岩が堆積して沢がせき止められているようなところに出る。

岩塊の堆積
岩塊が堆積して、沢を埋めている。

浮石に注意しながら、巨岩の堆積を越えると水はほとんど消えかけて、浮石の多い急傾斜の窪となる。Co880の分岐を右にとり、浮石の多い窪を詰めていくが、神経を使うところだ。20分ほど登ると、右手の岩の隙間から水が滴っている。ここで、ザックを下して暫し休憩。岩清水を飲んで、ほっと一息つく。さて、この後はどうしようか…。

Co990付近の湧水
Co990付近では、岩の間から水が湧いていた。

ふと対岸を見ると、踏み跡なのかけもの道なのか判然としないが、踏み跡のようなものが尾根に上がっている。窪を詰めるのも疲れてきたし、そろそろ尾根に上がっちゃってもいいかという雰囲気なので、その踏み跡を使って右岸の尾根に上がる。ところが、実はここからが大変だった。地形図には岩場記号が書かれているのだが、思ったよりもちゃんとした岩場で、弱点をつないで高度を稼ぐのに、大変時間がかかってしまった。大滝の巻きのような状況になり、都合3か所、ロープを出して安全を期した。

結局、惣岳山から北方向に延びる尾根に乗ったのが17時45分。暫し息を整えた後、都民の森の登山道へ合流したのが18時過ぎ。暗くなる直前であった。そこから登山道を急ぎ足で降り、約20分で車道へ出たが、既に周囲は真っ暗だ。しかも、この車道歩き結構長いんだよねぇ…。最終的に国道へ出たのは19時10分と、数分でバスが行った後…。次の終バスまで30分ほどあるが、着替えたり荷物を整理したりできてちょうど良かった?とも言える。

ザレた斜面のトラバース
ザレた斜面をトラバースして、尾根に取りつく。
岩と土がミックスした急斜面を登攀
崖のような急斜面を、ザイルで安全を確保しながら登る。
急斜面をよじ登る
都合3回ほどザイルを出して、何とか岩場をクリアする。

入浴も反省会(という名前の飲み会)もお預けとなり、おまけに青梅線・中央線が遅れているというおまけが付いて、そこは少々ストレスに(笑。

初心者向けとされるシダクラ沢であるが、今回は詰めに手こずり時間超過の遡行となってしまった。ベテラン揃いで不安はなかったが、逆にそれ故ルート選定に慎重さを欠いたと言えなくもない。
自由にルートを取る、自分なりのルート設定ができるというのは沢登りのよさではあるが、間違いも苦労も自己責任になる。そういう意味で、図らずも沢登りの難しさを実感する山行となった。

遡行図


山行実施日:
2022年4月10日
メンバー:
星野(L) 坂部 高森 古巻
山域:
山行形態:
コースタイム:
惣岳バス停(8:10)-シダクラ橋(8:20;身支度8:25/50)-シダクラ沢入渓(8:50)-4m滝(9:15/30)-6m滝(9:50/10:30)-5m滝(11:45/12:10)-Co740二俣(12:15/40)-Co820二俣(12:55)-Co990岩清水ポイント(13:35/50)-Co1230圏ピーク(17:45/50)-御前山登山道(18:05)-境橋バス停(19:15)
地形図:
奥多摩湖
報告者:
古巻

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