お坊山からの大展望

笹子雁ヶ腹摺山~お坊山


(天候)12月20日:晴

沢登りを主な活動とする以前は、冬枯れの低山歩きにもよく出かけた。特に、中央本線沿線の山は鉄道の駅から直接アプローチできるところが多いので計画しやすく、またそれほど混みあうこともなくお気に入りのエリアであった。

今年の山行は、沢登りと訓練山行主体だったため、久しぶりに冬枯れの山歩きがしたくなった。ちょうど水と雪の端境期でもあり、かつてのお気に入りエリアでまだ歩いていないラインを繋いで計画を立てた。一部は、数年前から数十年前に歩いている部分もあるが、大昔からは登山道の取り付けも変わっていたりするので、初めてみたいなものだ。ともあれ、早朝の高尾駅始発の中央線に乗り、笹子駅まで暫しの列車の旅を楽しむ。

JR笹子駅~笹子雁が腹摺山(1,357.7m)

笹子駅は無人駅である。平日なので、仕事で降りたと思われる数人以外、登山者らしき姿はない。数年前の春先に鶴ヶ鳥屋山へ登った際、改札前の水道からお湯が出たことを覚えていたので、今回も蛇口を捻ると、やはりお湯が出て、ちょっとにんまり。古典的な蛇口なので、お湯が出るのはちょっと意外性があり面白い。

笹子駅改札前のお湯が出る水道
寒い季節にしか来たことがないのだが、暑いときもお湯が出るのだろうか?何の変哲もない蛇口だが、お湯が出るのでちょっと嬉しい。

駅を出て、目の前の国道20号を笹子峠方面へ30分ほど歩くと、笹子雁ヶ腹摺山の登山口である。小さな矢印の看板が目印だ。

登山道に入ると、植林の中をつづら折れに上がる道となる。登山口から20分ほどで送電鉄塔の立つ広場に出る。左へと下る道があるが、山頂へは右へ鉄塔の脇を抜ける道を進むのが正解。1188m前後で傾斜が緩むが、基本的に尾根筋ながら急登が続く。

冬枯れの樹林越しに富士山や南アルプスの白峰辺りが見えるようになってくると、登りも終盤となり、マイクロウェーブの反射板を過ぎて間もなく山頂である。
山頂からは、樹林の隙間から富士山がよく見える。

笹子雁ヶ腹摺山からの富士山
山頂からは木立の隙間から富士山がよく見えた。

ところでこの山頂だが、標識が富士山に向けて1基、反対側に3基も立っている。そんなにしつこく立てなくともと思うが、それぞれ別の団体が立てているようで、いろいろ大人の事情があるのだろうと推測(笑。

笹子雁ヶ腹摺山山頂の山頂標群
山頂にはこれでもか、というくらいに山頂標が林立している。ちなみに反対側にも1基…。

帰宅後、何気なく『車窓の山旅・中央線から見える山』(山村正光・著、実業之日本社、1985年)を繙くと、笹子雁ヶ腹摺山(笹子御殿)の項に、

東に尾根をたどって、笹子御殿の頂に立つ。道標一つなく、ポツンと三角点が、植林地に埋められている。

とあり、当時からはだいぶ様子が変わっていることが分かる。

急登をこなした後なので、山頂のベンチでしばしのコーヒータイム。少しすると登りの途中で追い抜いたご高齢のグループの方々が意外と早く登ってきたので、ちょうど潮時と山頂を辞する。

笹子雁ヶ腹摺山~お坊山(1,430m)

米沢山方面へは、最初は緩やかな下り道だが、すぐ激下りに変化する。全体的にアップダウンが結構あり、登ったり降りたり忙しい。痩せ尾根の箇所もあり、変化に富んで面白いルートだ。
米沢山への最後の登りは岩交じりの急登で、鎖とロープが数か所設置されている。登りでは特に問題ないが、下りでは頼りになりそう。

米沢山直下の鎖場
米沢山の直下は、鎖場が続く岩交じりの急登である。

登りついた米沢山山頂は疎林に囲まれており、眺望は冬枯れの樹林越しになる。お昼には少し早いので、休憩はお坊山で取ることにして、先へ進む。

疎林に囲まれた米沢山山頂
米沢山山頂は疎林に囲まれている。

米沢山からもアップダウンが繰り返される。お坊山直前に木立が途切れるところがあり、2人組のハイカーが「やっと木が途切れて、眺めがいい。」と写真を撮っていた。
確かに、そこからは鳳凰山や甲斐駒、八ヶ岳、逆方向には富士山がよく見えた。
こちらも数枚写真を撮影して、さらにひと登りでお坊山山頂。

と、ここが大パノラマの絶景地点であった。南アルプスが白い屏風のように広がり、八ヶ岳も北の方までよく見える。思わず「すげぇ~!」と声が出てしまった。何枚か写真を撮り、眺めもゆっくりと堪能した後、昼食休憩。腰を下ろして、のんびりと食事を摂った。

お坊山から白峰三山
白く輝く白峰三山も大きく見える。
お坊山から八ヶ岳方面
八ヶ岳は、少し雲が懸かってしまっているが、赤岳は立派に存在感を主張している。
お坊山から鳳凰山と甲斐駒ヶ岳
鳳凰山から甲斐駒ヶ岳、鋸岳方面

お坊山~曲沢峠

お坊山から先は、前半よりも緩やかな道が続く。30分ほどで大鹿峠。西側が大きくザレており剣呑だ。そして、そちらに向けて「景徳院」への矢印が…。いや、ここを降るのは無理だろう…^.^;。景徳院への道は、実際にはそこから少し登ったところで分岐しているのだが、少し紛らわしい。

大鹿山の前後は南側の巻き道を歩くが、落ち葉が積もっていて少々歩きづらい。おまけに、大鹿山直下の道がヘアピンカーブしているところでまっすぐに進んでしまい、南向きの支尾根に引き込まれてしまった。すぐに気づいて元に戻ったので時間のロスは数分というところか。巻き道と言えどかなりの登りを求められるのだが、こんなに登らんだろう、と思ったのが失敗の原因である。ハイキングコースだからと甘く見てはいけない…。

大鹿峠から直ぐに笹子駅方面へ下る道もあるが、今回は曲沢峠まで尾根道を辿り、すみ沢沿いに下ってから笹子駅へと戻るルートで計画した。お坊山からは1時間強で曲沢峠へと到着。落ち着いた佇まいが好ましい。

樹林の中の静かな曲沢峠
静かな曲沢峠。ここからはすみ沢沿いの道へと降って行く。

曲沢峠~JR笹子駅

曲沢峠からの道はかなり倒木が目立つが、撤去するわけでなく、う回路が作られていたりするので、少し煩わしい。沢の音が近づいてくると、やがて沢沿いの道になる。

すみ沢(平ツ沢)沿いの道は大量の落ち葉が堆積して路面が確認しづらい。沢沿いの高いところに道が付いている箇所もあり、滑落には注意が必要だ。歩いていると、奥多摩の唐松谷林道や大菩薩の大黒茂谷林道を思い出す。

すみ沢沿いの落ち葉の詰まった道
歩くと足首まで落ち葉に埋まるが、地面の凹凸が分かりにくく要注意だ。

すみ沢は、結構な水量で流れているが、季節柄流れの側は凍り付いており、なかなか芸術的な造形を見ることができた。

すみ沢沿いの芸術的な氷
なかなか芸術的に造形された氷も…
滝の周囲も凍り付いている
滝の周囲も凍り付いている

下流部で沢を何度か渡り返すとやがて林道に合流して、山道はお終いに。後は、淡々と車道を笹子駅まで辿る。途中、笹一酒造の直営ショップに寄ろうかとも思ったが、電車の時間も迫っているので、駅近くのみどりやさんで笹子餅を急ぎ購入し、笹子駅から高尾行の上り列車に乗った。

今年初めてで最後のハイキングとなったが、お坊山からの眺望は想定外の大展望で得をした気分になった。体力維持のためのハイキングの計画だったが、全体的なアップダウンも多く、十分にトレーニングになったので、当初の目的も達成して満足の一日となった。


山行実施日:
2021年12月20日
メンバー:
古巻
山域:
山行形態:
コースタイム:
笹子駅(8:05)-登山口(8:37)-笹子雁ヶ腹摺山(10:00/10)-米沢山(11:03/05)-お坊山(11:35/12:15)-大鹿峠(12:45)-曲沢峠(13:25/35)-道証地蔵(14:55)-笹子駅(15:48)
地形図:
笹子
報告者:
古巻

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