スリバナ沢への下降

笠科川タル沢引上悪沢~スリバナ沢


(天候)7月17日:曇ときどき晴、のち雷雨

アプローチ

今年は妙に早く梅雨明けをした関東甲信越だが、7月に入ると何だか梅雨明けらしからぬ天候が続く。今回も本来は別のルートで1泊の山行を計画していたのだが、天候が思わしくない。止む無く比較的天気が何とかなりそうなエリアを選び、17日日帰りの計画に変更した。

前泊は、道の駅尾瀬かたしな。新しい道の駅で、トイレもきれいだし尾瀬の銘水が汲める水飲み場もあり快適。翌朝道の駅を出発し入渓点そばの駐車スペースへ移動。支度をして笠根橋より入渓した。

笠根橋(入渓)~タル沢出合

しばらく雨が続いていたためだろう、水量は結構多い。もっとも、小さな沢なので遡行に支障があるほどではないのだが、河原が水没していたりして多少歩きにくく、時間もかかる。滝も、水量が多いと通常ルートでは登れずに苦労する可能性があり、気を引き締めて遡行を開始した。
入渓点からタル沢出合までの本流遡行は、まず順調に進む。

笠科川本流
本流の水量は少し多いようだ
入渓後最初に懸かる斜瀑
最初に懸かる斜瀑は水流左から越える。

出合を確認しタル沢に入ると、すぐに釜を持った5mの滝。釜の右側をへつって、そのまま滝の右壁を直上。ホールド豊富で快適だ。

タル沢に入って最初の滝
出合から見えたタル沢最初の滝
水流右を登る
タル沢最初の滝は水流右を快適に越える。

その後ナメ小滝がいくつか続き、右壁にチムニー状のガリーのある6mの滝は左の岩を巻き気味に越える。越えると、前方に狭隘部が見えてくる。

右壁にチムニーがある6m滝
右壁にチムニー状のガリーのある滝は、階段状の左壁から越える。

前回来た時は入り口の滝のあたりに太い倒木が倒れており、最初の滝は倒木を渡って埋まり気味の釜をバシャバシャと歩いて越えられたが、今回はきれいさっぱり倒木は無くなっている。とは言え、さほど苦労せず左岸をへつって越える。

最初の狭隘部
最初の狭隘部は、数年前にあった倒木が無くなりすっきりした姿だ。
最初の狭隘部は左岸から
最初の狭隘部は左岸のバンドから越える。

出口の3m滝を越えると、すぐに第二の狭隘部が見える。この頃から青空も見えて日差しが届くようになってきた。ゴルジュ出口には横向きに4m滝が懸かるがすごい水量を迸らせている。入り口の釜には細い倒木が倒れているが、足掛かりにするにはちと細すぎ。前回は、右岸をへつって中ほどから左岸へ移り、さらに出口の滝は右岸の階段状を登って突破(というと少々大げさだが…)したが、今回は右(左岸)から行けそうかとトライしてみる。と中間部の壁に手足無く、水も深い。こりゃだめだと、結局前回と同じルートを取る。

第二狭隘部
第二狭隘部出口の滝はかなりの水量だ。
第二狭隘部はへつりで突破する
第二狭隘部は右岸をへつり中間部で左岸に移り出口の滝下まで進む。

出口の滝は階段状の左壁を登りたいが、迸る水流を潜り抜けないと水流の左に移れない。結局「うひゃー」と叫び声を上げながらシャワーを浴びて水流を横断したが、全身びしょぬれである。夏だからいいけどね。左に移ってしまえば、あとは簡単。

出口の滝は水を被りながら越える
出口の滝は水流を横断して階段状の左壁を越える。

2箇所の狭隘部を抜け、さらに3つほどナメの小滝をこえたところで休憩。休憩後、薄暗いトイ状4×8m滝を越えると、ワル沢・引上悪沢の二俣となる。…が、ワル沢の赤い岩盤に目が行ったせいか、二俣に気づかずワル沢に入りかけてしまった。後続が来ないので振り返ると、高森さんが左手を指して「あっちなのでは?」というジェスチャー…。

タル沢二俣~引上悪沢遡行

戻れば、何で見逃すのかという二俣…。すまんと言いつつ、気を取り直して引上悪沢へ進む。水量比はワル沢3対引上悪沢2くらい。おかげで水量もだいぶ減って歩きやすくなる。

引上悪沢は小滝の続く渓相だ
引上悪沢に入ると小滝が続く渓相となる

引上悪沢に入ると、小滝が続く渓相となる。二俣から20分ほどで、Co1580分岐。水量比は1対1。右は悪沢岳と小笠の中間点あたりに詰め上げるようだが、今日は左へ進む。さらに小滝を越えて1時間ほどでCo1770分岐となる。ここも同水量比だ。ここも左へ進む。

段々と水量も減ってくる
段々と水量も減って来て、周囲のボサも被ってくる。

笠科川の源流部は地形が細かく、沢の分岐も地形図に現れづらい。さらに続く分岐は、基本的に水量の多い方を選択する。Co1770分岐から20分弱進むと、ほぼ水流が無くなった。それまでも、だいぶ笹やらボサやらが煩かったが、水涸れからは本格的な笹薮漕ぎに突入。背丈よりも高い笹を漕いでいくが、幸い傾斜が急ではないのでさほどの苦労はない。

しばらく行くと、左手に小湿原が現われる。誘われるようにそちらへ行ってみると、コバイケイソウの咲く藪漕ぎのオアシス的な佇まいだ。いや、またすぐに藪漕ぎになるんですけどね。
そして、思ったよりも藪漕ぎが長くかかったが、11時35分、やっと登山道へ飛び出した。

源頭部に現れた小湿原
藪漕ぎの途中で現れた小湿原に癒される。

一時は晴れた空もまた雲に覆われ、至仏山から新潟県境あたりで雷が鳴っているのが聞こえる。こっちへ来なければいいなあと思いながら、足早に登山道を進む。開けている場所にいると落雷が怖いので小笠を越えて、樹林に入ったあたりで昼休憩にした。

登山道から望む笠ヶ岳
登山道から望む笠ヶ岳はなかなか立派である。

スリバナ沢下降~笠科川本流下降

昼休憩後、登山道を笠ヶ岳方面へ数分たどり、登山道が登りに転じるあたりで左の藪に突入。地形図にはがけ記号があるのだが、以前スリバナ沢を遡行した際にそれらしい地形は確認できなかったので大丈夫だろうと、どんどん藪を漕ぐ。最初は背丈を超える笹薮だったが、傾斜が少し急になるところでいったん背の低い笹と草のミックスした植生になる。笠科川源流部の眺めが開けて気持ちがいい。おまけに程よい傾斜なので飛ぶように駆け下りられる。毎回思うが、笹薮漕ぎは登りと下りではその労力は大違いである。10分ほど下ると窪状をたどるようになり、さらに10分ほどで水流のある流れと合流した。

スリバナ沢への下降の途中で眺めが開ける
スリバナ沢への下降の途中、前方が開け笠科川源流部の眺めが広がった。

スリバナ沢の源頭部は、しばらく単調なガレた沢だが、次第に落差が出てきて滝らしいところも出てくる。以前遡行した際は小滝の多い渓相という記憶だったが、まあ記憶の通りである。で、遡行時は小滝が多いとぐいぐいと高度を稼げるのだが、下降時は笹薮と違い飛ぶようには降りられず、結構面倒くさい。基本的には左右をクライムダウンできるが、今日は水量も多めで少し気を遣う。あと、個人的に今日は何だかバランスを取りずらい。歳のせいか…。

スリバナ沢の小滝を下る
スリバナ沢も小滝が続き、下降になかなか時間がかかる。
小滝が続き、ちょっと疲れる
小滝の下降が続き、やれやれという気分に…

2~5mくらいの滝の下降を飽きるほど続ける。もう、間もなく本流との出合かと思う頃雨が本降りに。全員雨具を着込む。しばらくすると、やっと見覚えのある大きめのナメ滝(7×15m)となる。傾斜はごく緩いので、スタスタと下降すると、目の前が本流との分岐である。やれやれ…。

少し大きめなナメ滝
本流との出合の直前に大きめのナメ滝が懸かっている。

少し上流には、右岸から滝で枝沢が出合っている。本流は雷雨の影響か、朝より水量が多いように感じる。雨は相変わらず降り続いているが、これ以上雨足が強くなることもなさそうだ。ただ、気持ちとしては早めに下ってしまいたい。足早に、本流の下降を続ける。

やっと本流に出合う
スリバナ沢出合の少し上流の本流に枝沢の印象的な滝が懸かっている。

スリバナ沢出合からタル沢出合までの笠科川本流は、距離で半分くらいまでは単調な河原歩きだが、右岸から2段滝で出合う枝沢の辺りから何か所か滝がかかる。ただ、全てクライムダウンが可能だ。スリバナ沢出合からタル沢出合まで約45分、さらに20分弱でようやっと笠根橋まで戻ってきた。そして、朝車を停めたところまでは、さらに数分である。

さて車には着いたが、雨はまだ降り続いており片付けるのに少し鬱陶しい。高森さんの提案で、道の駅まで移動して片付けることにした。幸い、道の駅に着くころには雨もあがり、濡れた装備を片付けて、「駅」近の「ほっこりの湯」へ寄って、身を清めて帰路に就いた。

まとめ

個人的には今回の引上悪沢遡行で、笠科川源流部もほぼ歩き尽くした感がある。スリバナ沢もだが本流の下降も少々単調で長く感じる。本流周辺であれば、タル沢悪沢とセットでよく歩かれている井戸沢を下降するのが、定番ではあるが、周回コースとしては冗長さがなくすっきりしているのではないだろうか。

遡行図


山行実施日:
2022年7月17日
メンバー:
古巻(L) 大塚 高森
山域:
山行形態:
コースタイム:
駐車地点(7:40)-笠根橋(7:44)-タル沢出合(8:02/05)-タル沢ゴルジュ上(8:55)-引上悪沢出合(9:20)-Co1580分岐(9:44)-Co1770分岐(10:39)-稜線登山道(11:35)-スリバナ沢下降点(12:12)-スリバナ沢出合(14:51)-タル沢出合(15:38)-笠根橋(15:55)-駐車地点(15:58)
地形図:
至仏山
報告者:
古巻

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