舟岐川黒沢火打石沢~越ノ沢

天候:両日ともに晴

当初は別の沢の遡下降を計画していたが、同行者が集まらずに単独になってしまったため、安全策ということで舟岐川源流部の遡下降に計画を変更して実施。台風の影響は日曜夜からになりそうなので、焚き火もできそう。
前夜は都内をゆっくり出て、道の駅・湯の香しおばら泊。リニューアル工事中だが、駐車場やトイレは通常使用が可能だった。

9月7日:舟岐川黒沢遡行

翌朝は、檜枝岐から舟岐林道に入り、舟岐橋脇の駐車スペースへ車を停めた。釣り師が多いせいか、車の往来は結構ある。舟岐橋脇には、世田谷ナンバーのレンタカーが1台停まっていた。その隣に駐車して、左岸の踏み跡を数分辿り、適当なところから入渓した。

舟岐川は、舟岐橋のすぐ下流で右俣の黒沢と左俣のトヤス沢に分かれる。今回は、右俣・黒沢の本流筋、火打石沢を遡って引馬峠に至り、その後中央分水嶺を北進。台倉高山手前の鞍部から越ノ沢を下降する計画である。

入渓すると、秋の長雨の影響か、思ったよりも水勢が強い。水量も多めな感じだ。黒沢の下流部は大岩のゴーロになっており、アスレチック風に乗り越えて進まねばならず、地味に体力を使う。

黒沢下流部
黒沢下流部。水量が少し多いようだ。

おまけに、合い間には堰堤が4基続く。巻きに困難はないが、実に面倒。堰堤は全て左から巻くことができる。

黒沢下流部の堰堤と大岩ゴーロ
大岩ゴーロの合い間に4基の堰堤がある

ところで、堰堤地帯が始まる前には、右から焼沢が入るはずだが、どうも見逃した模様。堰堤地帯を過ぎると、小滝が三つほど懸かるが、最初の2x4mのみ左岸を巻いて、後二つは普通に登る。
その先で、今度は右から曲沢が合流するはずだが、どうもこれも見逃した模様。持参した地形図に記入した高度表示が50m違っていた(計曲線を一つ抜かして記入していた)ため、高度計での現在地の把握がちょっとずれていたのも原因のひとつか。

曲沢を通り過ぎたことに気付いた後、昼も近くなったので昼食休憩を取ることにした。(Co1420付近)昼食地点からしばらくはゴーロが続くが、越ノ沢の手前辺りからナメが出てくる。

越ノ沢は右岸より1:3の水量比で出合う。越ノ沢からはナメと滝が交互に現れ、渓相に変化が出てくるので、少し楽しくなる。しかし、途中、点々とゴミが散らかった箇所を発見。落としたばかりの感じだが、うっかりではなく捨てていったのは明らかで、少々気分に水を差された。

スラブの上を走る水の流れ
天気がいいので、水も煌いて気分上々
黒沢中流部の小滝
越ノ沢を過ぎると渓相に変化が出てくる

越ノ沢から1時間ほどで、両岸の立ったゴルジュに到達。出口には右にねじれるかたちで滝が懸っている。落差は7mほどか。滝を間近に見たい気もしたが、側壁のホールドが乏しく、落ちるとずぶ濡れになるので、冒険せずに高巻きにかかる。

深沢手前のゴルジュ出口に懸かる滝
深沢手前のゴルジュ。出口には7m滝が架かる

巻道は左岸。ゴルジュ手前から一段上がってバンド沿いに進み、落ち口に素直に下降して高巻き終了。すぐ上に2m滝が懸り、間をおかずに深沢を合わせる。水量比は1:2。

付近は左岸を中心に台地が広がっている。時間も14時を過ぎたので、本日はこの辺でとテン場を探す。と、テントがひと張り立っている。人の気配はなく、どんな人なのか不明。例のレンタカーの人だろうか…、ごみ捨ての張本人だろうか…。そう思うと、テントに近寄る気も起きなくなったので、少し先へ進み、左岸からの枝沢を少しだけ入ったところにテン場を取った。

さっそく薪を集め、タープを張って、ビールを冷やす。16時頃から焚き火に火をつけるが、何となく着きが悪い。雨で湿り気味なのかもしれない。30分ほど奮闘して、何とか焚き火らしくなってきたところで、ビールを開けて、夜のグビグビ・もぐもぐタイムに。

焚き火
焚き火を眺めながら、静かに夜は更けていく

9月8日:火打石沢遡行~中央分水嶺(引馬峠)~越ノ沢下降

翌朝は5時頃目が覚めるが、まだ薄暗い。焚き火を復活させようと燃え残りを集める。燠が殆どなかったので、少し苦労するものの、やがて安定した焚き火に復活。
ひとりなので、火熾し、タープの片づけ、朝食の支度など全部ひとりでやらなくてはならず、結構時間がかかる。まあ、時間には余裕があるだろうと、朝食を摂ってお茶を飲んで寛ぐ。
一応、越ノ沢下降の計画としたが、稜線上の移動時間が読めないので、時間が足りなくなりそうなら適当に下ってしまえば、林道跡も使えるようだし、気は楽だ。

7時過ぎにテン場を出発。
滝をいくつか越えると、頭上に立派な橋が架かっている。林道はこんな上まで延びていたのかと感心。

火打石沢に架かる旧林道の橋
立派な橋が現れ、少しびっくり

火打石沢は、下流より変化もあり、楽しく登っていける。

火打石沢上流部。水の色がきれいな釜
段々のナメがエメラルドグリーンの釜に流れ込む
火打石沢上流のスラブ滝
火打石沢上流部。スラブ滝が続き、少し楽しい。

出発から1時間半ほど、傾斜のゆるいナメ滝を越えると、突如真っ平らな河原になる。源頭も間近なはずだが、不思議な感じだ。

火打石沢源頭部の平らな河原
突然現れる、真っ平らな河原

河原を越えると、ナメが少し続いて、三俣に出る。右がやや水量が多く、左はほんとうに細い流れ。Co1810付近かと思い、コンパスを合わせて真ん中を進む。やがて、水が涸れ、そこからやや左寄りに進むと、また流れの脇に出た?あれ、三俣はCo1810付近なのかと思っていたが、少し上だったのか?地形図と実際の地形が一致しないような気もする。
その流れを更に遡って、木の間越しに明かりの見える鞍部を目指す。幅の広い稜線に出たところから、さらに北方へ歩くと「引馬峠」の札が木に括りつけてあった。

引馬峠
樹林の中の引馬峠

地形のはっきりしない樹林帯だが、コンパスで方向を定めて、1982.0m峰の西側をトラバースするように進む。再び稜線に乗ると、今度は地形がはっきりと確認できて少し安心。ここからは、北北東へ稜線を辿って越ノ沢の下降点を目指す。
稜線上は、ところどころ明瞭な踏み跡が確認できるが、倒木に遮られたり、藪に埋もれたりと判然としない箇所も多い。
Co1895m地点から、台倉高山との鞍部に下ろうと思っていたが、踏み跡に騙されて、いつの間にか北西に伸びる尾根に引き込まれていた。帰宅後、旧版の地形図情報を見ると、この尾根から深沢に向けて破線が書かれており、かつては登山道?だったようだ。コンパスを見て方向が違うことに気付き軌道修正。ひとまず、尾根を乗っ越した先の湿原を目指すこととした。小さな湿原なので見つけられるかと思ったが、しばらく北東へ向けて歩くと、右手前方に樹林の切れ目が確認でき、そちらへ進むとぽっかりと小湿原に飛び出した。稜線歩きは、ほぼ2時間。想定内ではあるが、方向を見定めながらになり、やや時間がかかった。

越ノ沢源頭の小湿原
越ノ沢源頭の小湿原

計画では、その先の鞍部からの流れを下る予定であったが、湿原から流れ出していると思われる水線を辿ってもさほどの違いはなかろうと、下降に入ることとした。湿原の端から林の中へ進むと、案の定、窪状の流れを見つけた。しばらく下ると、左から流れを合わせる。更に下ると、階段状のナメなどもあり先に期待を持たせるが…。基本は変化のない沢の下降が続く。下降開始から1時間弱、Co1700付近で本来下降を計画していた流れを合わせる。さらに20分下降するとCo1650の分岐。その下で3m滝を右岸から巻き下ると、大岩帯となって少しダイナミックな渓相になる。えっちらおっちらアスレチックくだりを続け、大岩地帯が終わる頃に林道跡の橋が現れた。Co1520付近だ。約2時間の下降であった。

越の沢橋
越ノ沢に架かる、旧林道の橋

そこからは、林道跡を下る。しばらく藪が煩いが、踏み跡は明瞭だ。20分ほど歩くとテープで通せんぼされており、先が広場になっている。この広場までは車が入るらしい。広場から先は、藪も無く格段に歩きやすくなった。広場からは35分で舟岐林道と合流。さらに5分で駐車地点に戻る。ちなみに、歩いて来た林道の支線は、一般車通行止めである。

下山後は、いつもの燧の湯ではなく、新装の「窓明の湯」に行ってみることにした。料金は檜枝岐村内より少し高いが、こじんまりして、こちらはこちらで落ち着いた雰囲気だ。入浴後は、東北道も渋滞がないようなので、西那須野塩原から東北道に乗る。事故で数キロ渋滞があったが、まあ順調に進んで、見込み通り20時過ぎ自宅着。
台風直前ではあったが、両日とも晴天に恵まれて、少しのんびりと沢の生活を楽しんだ2日間になった。

黒沢沿いの林道より
好天に恵まれた2日間だった
遡行図(舟岐川黒沢火打石沢~越ノ沢)
遡行図(舟岐川黒沢火打石沢~越ノ沢)

山行最終日:2019年9月8日
メンバー:古巻
山域:帝釈山脈
山行形態:沢登り
コースタイム:
9月7日:舟岐橋P(9:35)-Co1420付近(11:45/12:05)-越ノ沢出合(12:52)-深沢出合(14:00)-C1(14:15)
9月8日:C1(7:20)-林道の橋(7:42)-三俣状(9:00/10)-引馬峠(9:35)-小湿原(11:25)-越ノ沢Co1700(12:23)-越の沢橋(13:33/45)-舟岐林道(14:39)-舟岐橋P(14:44)
地形図:帝釈山
報告者:古巻

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