橋倉川

天候:快晴 北風やや強い

牛久です

今回は個人山行で橋倉川へ行きました。この沢は遡行時間が短いものの、奇岩やバリエーションに富んだ滝が凝縮されていて楽しめるとおすすめの一本。

同行者と06:00に道の駅うえので合流し林道七久保線へ移動。今泉線分岐付近にデポして支尾根を約1時間下降し橋倉集落の上流二つ目の堰堤直下の橋倉川に降り立った。身支度を整えていよいよ沢登りスタート。この堰堤を右岸から巨大堰堤も一緒に巻き、堤体から5mの懸垂で渓に戻った。堰堤上流側は大量の土砂で埋まり広い河原となっていた。

第3堰堤は巨大なアーチ形
2基目の堰堤と一緒に右岸から巻く

 

巨大な堰堤の上は土砂が堆積し
伏流の川原であった

歩きはじめるとすぐに苔に覆われた岩が現れ目を奪われる。ほどなく目印となる石積み堰堤が現れるが水抜き穴が人の顔のように配置されて可愛く見える。集落から数えて4基目のこの堰堤は左右どちらからでも巻けそうだが今回は左手後方からルートを取った。堰堤を超えると比較的平坦だった渓が巨岩により段差が強くなる。両壁はさほど狭さを感じないものの樹木が岩盤に根を張り、そそり立つ独特な雰囲気を出している。

 

両壁が狭まってきた
岩壁がそびえたつ

いよいよ両岸に岩壁が迫りCo750から第1ゴルジュが始まる。最初の小滝から釜の水際をへつりる必要があり早速膝上まで水に浸かった。大袈裟かと思ったがシャワーを被ってもいいようにウェットスーツを着てきたので水濡れ対策は万全だ。第1ゴルジュは3m,3m,4mと滝が連なる。高さは無いもののゴルジュ出口の4mは凹凸のない岩肌に加え滑りも強くて嫌らしい。空身で登る準備をしていたところ同行者が水流の右手上部に細かいホールドを見つけズリズリとよじ登った。ルートを見つけてくれた同行者に感謝し私も続いた。この4m滝が今回の核心であり一番面白かった。

水中のステップは傾斜していて
なかなかバランシーだ
一度は埋まってしまった釜は
少し深さを取り戻したようだ
滑るが水量が少なかったので
細かいホールドを拾えた
第1ゴルジュ4m滝
水流の中に手がかりを探す

この滝で第1ゴルジュを抜けると一転、渓が開け日差しが降り注ぐ奇麗なナメとなった。今回は左右から注ぐ枝沢はいずれも枯れてたが梅雨を迎えると水量も増えて雰囲気が一変すると思われる。3m滝を超えると2mの幅広滝。その先Co780には8mくらいの巨石同士がもたれかかる岩くぐりと呼ばれる岩の間がトンネルになったちょとしたお遊びポイントが登場する(実はもっと下流にこれより狭小な岩くぐりがある)ここも遡行の目印になる。

岩くぐり手前
巨大な岩が寄り添いトンネルを形成している
巨大な岩の下に空間が作られ
トンネルになっている

この渓は流程が短い分、次から次に見どころが現れる。Co840辺りからスリットゴルジュと呼ばれる第2ゴルジュが始まる。ゴルジュ入口に立つと正面に30mくらいの垂直岩壁が立ち塞がる。その岩壁にV字に切れ込まれたスリットからアクセントをつけるように流れ出す6m滝はまさに圧巻。屈折しているので入口から奥の方は伺えないが同じように狭く深く切れ込んでいるのが想像できる。右の岩棚から進みスリット内部へと潜りこむとウォータースライダーのようなトイ状6mに続いて15m逆くの字滝が続く。この滝は水流左から取りつき、シャワーを浴びながら右へ移りそのまま水流右を登る。この滝を登るためにスーツを着てきた。滝の登攀自体はホールドもあり見た目とは裏腹に登りやすい。ただ、水量が多いとゴルジュに侵入すること自体危険なため大高巻きとなる。記録を見ると釜は一時期埋まってしまったようだが少し復活し深さを取り戻しつつあるようだ。今回は流れ落ちる水量が少ないのとスーツのお陰で躊躇なく進めた。それにしてもこの岩盤を割いたような独特な渓相はワクワクする。岩くぐりの巨岩も壁から剝がれ転がったような感じだったし、水の浸食というよりは巨大地震や地殻変動があった際に作られたものだろうか。

岩盤の裂け目から滝が流れ落ちる
スリットゴルジュ内部のトイ状滝
お楽しみの15m滝
シャワーを浴びながら進む

スリットゴルジュ突破で満足するも間もなくCo875でコロシアムと呼ばれる開けた円形岩壁が現れ第3ゴルジュが始まる。入口は高さ20mくらいの岩壁にぐるっと囲まれた広い空間に日差しが差し込む抜群のビューポイント。ここで体を温めながらゆっくりと休憩し景観を楽しんだ。右から枝沢が流れ込み、正面の本流は赤色をしたナメと2mの2段滝が水を滴らせその奥には垂直の岩壁。木々の緑と青空が良いコントラストだ。

余りの景観に思わず声が漏れる
第3ゴルジュコロシアム2段滝

この渓は岩の種類(性質?)が頻繁に変わり、硬く締まった黒っぽい岩や赤い岩。茶色くボロボロのレンガを積み上げたような岩壁など場所により印象が変わる。手を掛けるホールドも良く確認しないとボロッと抜ける石もあるので注意が必要だ。第3ゴルジュは2段8m,10m,10mと滝が続く。最後の10m直瀑は頑張れば水流左の窪みを登れそうだったが滑りも強そうなので今回はセオリー通り右のバンドを進んだ。滝上は開けた平場になっていて小さな祠が祭ってあった。同行者はこの祠も見たかったようで偶然にも滝を巻いたことが幸いした。この滝で第3ゴルジュを抜けると渓は開け平坦になった。

第3ゴルジュ出口の10m直瀑 左を登れそうだが右から巻いた この上右に祠がある

二俣が近づくと左手に林道が確認出来るようになる。道下が一部崩壊し、ボロボロになった排水のコルゲートフリュームが渓まで落ちてきていた。Co925の二俣では時間も早かったので右俣にかかる15m滝をロープ確保の練習も兼ねて登り、再び渓へ降りて左俣を進み林道へ上がり15分ほど歩いて車に戻った。

ナメが現れた
二俣にはいずれも滝が掛かる

半日の行動時間だったが尾根下降、懸垂、シャワー、釜のへつり、滝登攀、絶景と沢登りの面白さが凝縮された楽しい沢登りができた。

*なお、この渓は入渓点付近は集落、上流に林道があり入脱渓に便利な反面、どうしても人の生活臭が目につきます。巨大堰堤から上流には至る所に杭やテープなど測量の痕跡が目につきました。もしかすると砂防ダムの計画があるのかもしれません。将来、この素敵なゴルジュが消えてしまうかもしれないと思うと近いうちに再訪したいなと思いました。

 

 


メンバー:牛久(L) 会員外1名
山域:西上州
山行形態:沢登り 個人山行
コースタイム:
林道今泉線分岐デポ(06:40)ー入渓点第2堰堤(07:30)ー第1ゴルジュ(08:10)ー岩くぐり(08:50)ー第2ゴルジュ(09:25)ー第3ゴルジュ(09:45)ー二俣右俣滝(10:00)ー二俣左(10:45)ー林道詰め(11:00)ーデポ地(11:15)
地形図:神ヶ原
報告者:牛久

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