燧ケ岳

(天候)晴

アプローチ

今年も、スキーを燧ケ岳で締めくくろうとはるばる檜枝岐まで出かけた。檜枝岐へ入るのは1年ぶりだ。正確には去年の9月の水長沢遡行の際に村内を通過してはいるが、停車すらしていないのでノーカウントである。ちなみに、御池までの開通は、今年は例年並みの4月28日となり、昨年より2週間以上早い。当初は30日の実施を考えていたが、天気予報が悪いため前日の29日に予定を変更。おかげで始終好天のスキー登山を楽しめた。

前泊した道の駅番屋を出て御池駐車場着が7時少し過ぎ。5年ほど前に訪れた際は、4月中の駐車料金が無料だったのだが、そういう取り扱いはしないようになったようだ。数年前に、無料コインの配付もやめてしまったようだし…。少し懐に響くが、やむを得ない。

駐車場脇からハイクアップ

今回は、この時間の駐車場の入りはさほどでもなかった。至仏と比べて賞味期限が長いし、去年ほど開通を待たされた訳でもないので、今年の出足は少しゆっくりなのかもしれない。
好天で春の陽ざしがたっぷり。いい気持ちでゆったりと支度をして、駐車場脇の雪の台地へ上がっていよいよ出発。去年より雪解けが早いと言われてはいるが、それほど少ないということもなさそう。林を抜けて10分強で広沢田代へ上がる斜面の下に到着した。斜面には去年より雪が残っており、これならばスキーを脱がずに登れそう。念のためクトーを装着する。

広沢田代への登り斜面
広沢田代へ登る斜面は、前回より雪が着いていてシールで登って行けそう

ところどころキックターンに苦労しつつも歩き出しから1時間で広沢田代へ到着。目の前には熊沢田代手前の1986mピーク、振り返ると会津駒ケ岳と大杉岳。

広沢田代から振り返って
広沢田代から振り返って、大杉岳と会津駒ケ岳

1986mピークは正面突破ではなく、余計な登りを避けて左手から回り込む。昨年は、少し上がり過ぎてトラバースに苦心したので、上がり過ぎないよう上がり過ぎないよう気を配るが、尾根を回り込んで行くと…あれ?やっぱり10mほど下に歩きやすそうな平場が見える。…去年と同じじゃん。
次回こそ、上がり過ぎないようにしようと心に誓う。
尾根を回り込むにつれて、行く手に爼嵓頂上部の姿が見えてくると、はや頂上直下の大斜面の滑降に向けて胸に高揚感が満ちてくる。上から滑り降りてくる人の姿を目にすれば、さらに気持ちは高まるばかり。

熊沢田代に出るとピークが目の前に
熊沢田代に出ると、ピークが前面に大きく見えてくる

が、ここからが正念場。大斜面は滑り降りればあっという間だが、登るのには少々時間がかかる。一歩一歩、黙々と高度を稼いでいく。

熊沢田代を見下ろす
熊沢田代の残雪は、去年の5月より少し多いようだ
熊沢田代からの登りで振り返る
少し登って振り返ると会津駒ケ岳が大きい

熊沢田代からは、これまた1時間ほどで頂上直下で休んでいる人たちが目に入り、それから数分で頂上直下に到達した。

大斜面を登る
苦しい登りもあと僅か。登り切れば、この大斜面の滑降が待っている

眺望絶佳、俎嵓ピークから360度の眺めを楽しむ

爼嵓頂上部は雪がなく岩が露出しているので、ここから空身で往復。去年より雪が着いており、5分ほどでラクラク登頂。尾瀬沼、尾瀬ヶ原、そして先週行った至仏の姿が目に入る。やはり雪は少なく、ムジナ沢の上部は黒々と地肌が見えており、尾瀬ヶ原も白いところは殆どなかった。周囲の景色を眺め、写真を撮り、10分ほどの滞在でスキーのデポ地点へ戻る。

11時半を過ぎているので、簡単に行動食をお腹に入れて滑降準備にかかる。
数分で準備完了!そして、滑降開始‼

大斜面の滑降を堪能し、モーカケ沢源頭部から車道へ出る

頂上直下に集う登山者
頂上直下で、明るい陽ざしを浴びて思い思いに過ごす登山者たち
滑降開始前に
いよいよ大斜面の滑降が始まる。気持ちはワクワク

試しに数ターン。振り返ると、え?もうこんなに降りちゃった??勿体ない…。勿体ないけど楽しい。これを味わってしまうと止められないんだよなあ…。「ああ勿体ない。楽しい。」と頭の中でリフレインが叫んでるが、無情にももう熊沢田代だ。
こうして記録を書いていてもワクワクしちゃうので、今もきっと脳内麻薬が出てるよね…。現場ではなおさらだ。

で、今回は5年前に初めて燧を滑った時と同じ、モーカケ沢源頭部から沼山峠への車道へ出るつもりである。その時は、先週至仏で奇遇にも顔を合わせたI氏、T氏とご一緒で、先導するI氏の後ろを着いていけばよかったのだが、今日は自分でルートを探さねばならない。また、その時は頂上斜面から直接沢の源頭へ滑り込んだのだが、今日は熊沢田代を経由したくて少し上から沢へエントリーすることにした。

熊沢田代付近の夏道を左手に見て斜面を下っていくが、思ったよりも谷が深い。降りやすそうなところを選んで横滑り気味に沢床へ。雪はまだ十分に着いているので、このまま下れそうだ。右手の高みに東ノ田代の気配を感じながら沢伝いに滑降する。と、東ノ田代を過ぎた辺りで足元が切れ落ちている。う~んどうやって降りる?と左方を見ると、開けた斜面が見えた。そちら方向へ進むと狭い急斜面が開けた斜面に落ち込んでいる。横滑りで降りていけそうだ。そして首尾よく開けた斜面に出て、さらに下の平坦な沢へ。そこからしばらくは、少し急な斜面が続く。5年前も降りていく途中で急斜面があった記憶があったが、その記憶と目の前の情景が符合した。降りられる場所を探しながら滑降を続ける行為は沢登りにも通じるものがあり、沢ヤさんに山スキー好きが多いのにも納得である。斜度が落ちてきて、沢筋が開けてくると車道も間近だ。滑り出しから40分、目の前にアスファルト道路が現れて滑降終了。

モーカケ沢源頭部の斜面
東ノ田代から少し急な斜面が続く
車道に降りてきた
滑降開始から40分で車道に飛び出す

最後は少し苦労したけれど、十分に楽しかった。次は東ノ田代からメラッパシ田代経由で降りてみるのも楽しそう。その時は、5年前と同様に、熊沢田代へ下る斜面は諦めて最初から東ノ田代に滑り込むのが正解だろう。

車道でザックを下ろし、スキーを括り付けて駐車場に向けて歩き出すが、周囲の林は芽吹きの準備が感じられて、春の陽ざしの中で輝くようだ。気持ちいいなあ…。そして、気持ちよかったなあ。幸せな気分で、のんびりと景色を楽しみながら駐車場へ戻った。

車道をのんびりと駐車場へ戻る
シートラで車道をのんびり戻る。春の陽ざしが気持ちいい

帰宅後、昨年の行動時間を確認したら、駐車場7時45分出発で13時帰着。今回は、7時50分出発で13時05分帰着…。おやおや、全く同じタイムじゃん。去年は広沢田代からの下りに手間取って時間がかかったと思っていたけれど、そうでもなかったのかしら?いや、今回は沢の源頭で少し手間取ったから、それで同タイムになったのかな?
さて、次回はどんな結果になるのだろうか。楽しみである。


メンバー:古巻
山域:尾瀬
山行形態:スキー
コースタイム:
尾瀬御池駐車場(7:50)-広沢田代(8:50/9:00)-熊沢田代(9:55/10:05)-Co2330滑降開始点(11:15)-俎嵓頂上(11:20/30)-Co2330滑降開始点(11:35/55)-熊沢田代(12:05)-車道(12:35/40)-尾瀬御池駐車場(13:05)
地形図:燧ケ岳
報告者:古巻

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

TOP

プライバシーポリシー ©Copyright 2024 渓人「流」 All Rights Reserved.