土室川シンケイタキ沢

天候:晴

伊藤さんとは松姫峠の駐車スペースで待ち合わせ。7時40分頃に到着したが、残りのスペースは2台分のみ。伊藤さんは既に到着し、身支度を始めていた。一番左端に車を停めると、すぐに軽自動車がやって来て、駐車スペースは満車となった。
伊藤さんが聞いたところでは、軽自動車のグループもシンケイタキ沢に入渓するという。こちらは、尾根を下降しての入渓だが、あちらは沢を下降するそうだ。

身支度を整え、8時12分に駐車スペースを出発し、まず、牛ノ寝通り登山道をタツビ尾根の下降点まで移動する。20分ほど歩くと、小広くなったところへ出る。下降点はこの辺か?としばしうろうろするが、もう少し先のようだ。ちょうど、登山道が右折するところの道標の裏側に踏み跡が続いており、ここが正解だった。
踏み跡は比較的明瞭だが、傾斜は少し急。加えて、フェルトソールの敵、濡れた松葉が敷き詰められた箇所が多く、気が抜けない。2度ほどシリモチをつきながら約1時間の下降で目的の鞍部に到達、西側の沢地形めがけて急傾斜の斜面を降りるが、岩屑が堆積した斜面で、落石に気を付けながらの下降となった。

傾斜が落ち着いたところで、5分休憩。ほっと一息ついて出発すると、今度は落ち葉の堆積で足元の状態がよくわからない。時々、足を取られながら、”ツボ足”下降を続けると、前方にシンケイタキ沢の本流が見えてくる。落ち葉はますます深くなり、最後は腰くらいまで沈みながらの下降に…。

落ち葉のラッセル
シンケイタキ沢本流は目の前だが、腰まで埋まる落ち葉に難儀する。

やっと本流の河原に辿り着き、上流を見ると二段のナメの小滝が懸かり、下流は堰堤となっている。上流は奥にもナメ小滝が落ちているのが見えた。日が差して、水の煌めきがきれいだ。小滝をいくつか越えていくと、前方の高みから水を落とす滝が見えてきた。高い滝があるなあと近づくと、本流は右へ曲がっており、滝は枝沢の滝だった。傾斜は緩いが、多段のナメ滝だ。

枝沢の多段滝
本流が右に曲がるところへ、右岸から流入する沢の多段ナメ滝

本流の方はというと、ゴルジュの奥に垂直な8m滝が懸かっていた。これは登れないね…。巻きは、右岸の岩交じりの斜面を上がり、滝を越えたところで下に見える河原に向かって急な斜面を下る。立ち木を頼りに何とかロープを使わずに沢に復帰できた。8m滝に続く4m斜瀑の上だ。

8m滝
薄暗いゴルジュの奥に落ちる8m滝

巻き終えた先もナメ・ナメ小滝が続くが、しばらくで水量比左2対右3の二俣となる。(Co840)左俣も牛ノ寝通りまで一直線に詰めあがっているが、今日は右俣へ進む。

Co840二俣
Co840二俣。写真では、左の水量が多く見えるが、左2対右3で右の方が水量が多い。この二俣は、右へ進む。

右俣に入っても、まだまだナメの小滝が続く。左岸から水の殆どない枝沢が2本続けて入ると、少し落差のある滝が出てくる。釜も深いところがあり、へつって越えるところも。

釜をへつって越える
深い釜も多く、へつって越えるところも…
次々とナメの小滝が懸かる
ナメの小滝が途切れることなく続く

ところで、この沢の水だが、何故か茶色に染まって烏龍茶のようだ。積もった落ち葉のエキスが溶け込んでいるのだろうか…。湿原から流れ出る沢で、水がこんな色をしたところがよくあるが、シンケイタキ沢、源頭はもちろん湿原ではない。
二俣から30分ほど遡ると、左3対右1の水量比の二俣となる。地形図のCo910の二俣だ。地形図で見ると、右は顕著な枝沢が何本かあるのだが、水量は左と比べだいぶ少ない。

Co910二俣
Co910二俣は、水量の多い左へ進む

ここで、時間は少し早いが昼食休憩とした。
お天気がよく、日が差しているところはまあまあ暖かいのだが、風が強く冷たい。沢の中はあまり風の影響はない…と思ったら、風にあおられて落ち葉が舞い、おまけに枯れ枝や小石が落ちてくる。落石にでも巻き込まれたら大変だ。

Co910二俣は、3段滝で出合う、水量の多い左へ進む。上流は、どこまで行ってもナメ滝が続いている。滝だかナメだか全然区別のつかないような渓相だ。

まだまだ続く、ナメ・ナメ小滝
左沢も、ナメとナメ小滝の続く渓相だ。

20分ほど進むと、7mの滝が懸かっている。左から右へ斜上するバンドを使って登れそうだが、上がってみるとちょっと際どい。支点が取れると安心なのだが…。いったん戻って、改めて観察すると、水流右が、立っているが左より安心して登れそう。
ザイルを引いて右を登り、後続の伊藤さんを確保した。

7m滝、登攀ルート偵察中
左を上がり、右へ斜上するバンド伝いに越えようと思ったが、ぬめりもあり少々悪い。結局、仕切り直して右壁をザイルを引いて登攀。

7m滝からさらに小滝を10くらい越えると、落ち口に倒木が乗っかった5m滝が登場。気持ちよく水流を登る。その先も、右に左にと水流に沿って登れる滝が続く。

落ち口に倒木の乗った5m滝
落ち口に倒木の乗った5m滝は、水流を快適に登攀できる。
上部は倒木をくぐって突破
上部は倒木をくぐって突破する。
快適に直登中
殆どの滝は、快適に直登できる。

倒木滝から20分ほど、少し落差のある2段の滝が懸かる。さて、どこを登ろうか…。
ザイルを結んで、右壁にとりつこうとするが、滝の下まで落ち葉で埋まって近づくのが難儀だ。面倒になって、「巻いちゃいましょうか」と伊藤さんと相談して、右から巻にかかるが、単純な落ち葉の斜面と思った左岸の斜面は岩場に落ち葉が積もった斜面で、足場が見えずに結構悪い。それなりに上がってから左方へトラバースしていくが、足元が不安定で苦労した。…ということで、ここは直登した方が楽だったような気がする。

下部が落ち葉で埋まった2段の滝
最上流の2段の滝は、直登せずに右の岩場から巻いたが、上部のトラバースがやや悪い。

そろそろ水も少なくなって…というか、積もる落ち葉の下に流れてはいるのだろうが、入渓時に下降した枝沢のように、落ち葉の積もる窪状となり、結構疲れる。両岸が狭まるゴルジュ地形が現れるが、落ち葉がかなり堆積していて苦労しそう。気軽に左岸を巻こうとしたところ、さっきの滝と同じように悪いトラバースになってしまった。

詰めも落ち葉のラッセル
水が落ち葉の下に吸い込まれるように無くなると、再び落ち葉のラッセルが始まった。

涸れゴルジュを越えると落ち葉の堆積もだんだんと薄くなり、歩きやすくはなるが傾斜も増してくる。30分ほど、ヒーコラ詰めあがると、やっと牛ノ寝通りの登山道へ飛び出した。やれやれ…。一息入れてから、松姫峠への道を辿る。右手を見ると、松姫湖の湖面が下の方で光っていた。

登山道からわずかに松姫湖の湖面がのぞく
牛ノ寝通りの登山道から、わずかに松姫湖の湖面が見えた。

土室川の支流群は、昨年出版のガイドで多く紹介されているが、春先の足慣らしにはちょうどいい内容だと感じた。また、秋の紅葉の頃もよさそうだ。今日、辿らなかった左俣や右俣の右沢なども気になる。他の支流群も…。
これで、下流からアプローチできると楽なんだけどなあ…。

遡行図(土室川シンケイタキ沢)
遡行図(土室川シンケイタキ沢)

メンバー:古巻(L) 伊藤
山域:大菩薩連嶺
山行形態:沢登り
コースタイム:
松姫峠駐車場(8:12)-タツビ尾根下降点(8:35)-1090m峰北方鞍部(9:40)-シンケイタキ沢Co780付近(10:07)-Co840二俣(10:43)-Co910二俣(11:10/40)-7m滝(12:00)-倒木の乗った滝(12:30)-10m2段滝(12:55)-牛ノ寝通り登山道(13:50/55)-松姫峠駐車場(14:20)
地形図:七保
報告者:古巻

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

TOP

プライバシーポリシー ©Copyright 2024 渓人「流」 All Rights Reserved.