いくつもの美しい川廻しの地形が楽しめる老川沢。 コンクリで固めた人工的なトンネルとは違い、岩肌が剥き出し状態になっているこの素掘りトンネルは、自然と調和した有機的な造形で、非常に美しく魅力的であります。養老川の支流である戸出川・老川沢は、一つの沢遡行で9個もの川廻しトンネルを楽しむことができます。

バイクでの房総ツーリングなどでは(一部のコアな層に)お馴染みの素掘りトンネル巡りですが、道路ではなく沢の奥地にひっそりと佇む数々の素掘りトンネルは、原生のまま残っている風景で、より神秘的に感じます。鍾乳洞などの穴スキーな身としては、いつか行きたいと思っていました。
今回、ヒルのでない12月の時期を狙って沢歩きへ行ってきました。登攀要素は最後の滝ぐらいしかないので、普段の沢登りとは少し違う楽しみ方になりますね。
(ただし最後の小滝は結構難しかったです…。。後述)

遡行開始
…の前に、川廻しとは何ぞや?ということを説明しなければいけません。
川廻し(かわまわし)とは…
川の曲流部をショートカットするようにトンネルを掘り、流れを変えて元の川側を新田開発した特殊な工法のこと。関東は房総のみに見られるらしいです。
江戸時代〜明治時代に作られたものが多いそうで、人の手によるトンネル工事ですね。人工物とはいえ、全て素掘りでできたもの。トンネルは自然の地形に馴染み、形も有機的でとても美しいです。
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蘊蓄を挟みましたが、さて今度こそ遡行開始です。
山の駅・養老渓谷喜楽里近くの駐車場に車を停めて、沢の方へ向かいます。
もう少し手前に1つ目の川廻しがあるそうなのですが、そちらはスルーして2個目のトンネル前から入渓です。今回は友人と2人で来ています。

この川廻しトンネルを超えると、沢筋は荒れに荒れ倒木やらなんやらで崩壊しかけている箇所が現れます。また水深が腰ぐらいまで深い箇所も多々あり、「簡単で平坦な沢歩きだよ」と伝えて軽装で来て貰った友人には大変申し訳ないことをしました…
3つ目の川廻しトンネルです。
大きいトンネルの横に小さなトンネルがあるのがわかりますでしょうか。


なんと人が通れるギリギリサイズの小穴が!
こちら「二五穴」と呼ばれる用水路だそうです。穴と並行にあえて作ったのにはきっと理由があったのでしょうね。
どちらからでも通れますが、もちろんこの狭っこい方から通ります!!

潜った先は、
先ほどの大きな川廻しと合流します


光の入り方も素敵すぎませんかね。晴天の日に来れてよかったです。
ここの川廻しの合流は感動しました。
その後4つ目の川廻しも程なく現れます。
トンネル内は水深が結構深かったのでここは素直に右岸(左側)から巻きました。

5つ目の手前に林道が。ここから市街地につながる道になっているようなのでサクッと楽しみたい場合はここでエスケープしても良いですね。


6個目7個目8個目も続きます。
岩盤をぶち抜いて無理やり通して穴にしている感じがすごく良いですね。



そして最後になる9個目の川廻し。
最後は暗く、長いです。

集落の方向へ詰め上げるには、この後は沢筋から離れて、支流の小滝から上がっていきます。
ただ支流の前に左岸側には別の尾根から反対側へ出ていくルートがありました。誘導されるようにピンクテープがあったので間違えて行ってしまいましたが、再度沢筋に戻りそのまま進みます。(最後の小滝とツメ上げを避けるなら、こちらから帰る方がいいかも)
最後の支流小滝が見えてきました。
水が流れていないためわかりにくいですね。最初スルーしてしまいました。

写真で見ると、結構スタンスがあるように見えるのですが、実際は非常に登りにくく。(さらに慣れないラバーソールで足が乗らず…)右壁側から登りますが苦労しました。友人が上手なボルダーだったので助けてもらいました…いやー恥ずかしい。次回来る時はすんなり登れるようになってたいですね。
小滝登った先の支流も、結構えげつない斜面を登ることになり、
落ち葉でズルズルの中、頑張って登ります。集落につながる小尾根に出るまでのツメは結構苦労しました。
尾根に出たところに神社があり、神社の裏手から集落を越えて道路に出られます。

その後は道路を歩いて駐車場方面へ帰宅。
いい景色、たくさん見れて満足です。来年もまた行きたいな。
お疲れ様でした〜!
駐車場(10:50)-支流小滝(13:30)-駐車場(15:00)