鍋倉山

2025年2月16日:晴

鍋倉山は信越国境、千曲川左岸になだらかに連なる関田山脈(せきださんみゃく)の一角にある。標高は1288.8m。夏場もトレッキングに訪れる人が多いようだが、雪の時期はスキー、スノーシューの登山者に人気の山である。
さて、その鍋倉山の山域はというとなかなか悩ましい。頚城・戸隠からは少し距離があるし、上信越国境かというと少し違う気もする。そもそも「上」の要素はない。信越国境、北信あたりが妥当かもしれないが、このホームページのカテゴリーにはそれらの設定はない。増やせばいいじゃん、と言う意見もあろうがむやみに山域を細分化してもあまり益がないと思うので、取り敢えず当たらずといえども遠からずというエリアを設定しておくことにする。

と、前置きはさておいて、当日は戸狩温泉先の温井集落内の路上に駐車。同じ目的の車が十数台連なっている。今回は昨年の燧ヶ岳スキーぶりのI師、T師との山行である。

温井集落最終除雪地点付近
温井集落最終除雪地点付近。十数台の車が既に駐車済だ。

身支度を整えてまずは除雪終了点まで数分歩く。途中で、スノーモービルが数台出発の準備中だったが、除雪された舗装路を横切って、雪の斜面を登っていく。スノーモービルが舗装道路を走っているのを初めて見た。舗装路走っても大丈夫なんだ…。

除雪終了点の先は雪の壁になっているので、スキーを担いだままよじ登ってからスキーを履いて出発だ。
雪に埋まった林道に沿って登っていくが、アウターを着込んで登っていたら暑い…。
ひと登りしたところで衣類調整。何だか春スキーのようだ。

林道をショートカットして、田茂木池の西側から777m点付近へ。左手の斜面には無数のシュプールが刻まれている。樹林の間隔もほどほどで、少し傾斜はあるが滑り易そう。

左斜面のシュプール
左手斜面には多くのシュプールが刻まれている。

歩きだしてから1時間ほど、Co860付近で少し休憩。カロリーと水分を補給する。
その辺りからは、国境稜線と鍋倉山東尾根に挟まれた沢地形の右岸斜面をトラバース気味に登高。ただ、トレースが微妙に傾いた片斜面が続くので、ちょっと疲れる。
傾斜はそれほどないのだが、油断すると谷足がずりっと滑る。
もう少し下の斜面を辿った方がよかったかも、とは下山後のT師の言葉であった。確かにその方がもう少し平らで楽だったのかもしれない。
でも、雪のブナ林の中の登高は気持ちよかった。

沢沿いの片斜面
沢地形をトラバース気味に登るが、片斜面で歩きづらい。

休憩から30分ほど登ると、樹林がまばらになり行く手の空が大きく広がってきた。鞍部が近いようだ。と同時に、なんだか人が大勢湧いてきたような…。
まあ、あれだけ車が停まっていたんだから人がいないわけないのだけれど、急に人が増えた気がしたのだが。

多くの人で賑わう鞍部直下
鞍部が近づくと急に人が増えた。

鍋倉山は北西の黒倉山と双耳峰のような地形だ。ちょうどその鞍部に登りつくと、左に向きを変えて尾根上を進む。少し先に山頂の一角が望まれる。
空にはさっとひと刷毛の雲が広がっているが、周囲の眺望はなかなかよろしい。登ってきたルートが眼下に広がっている。

鍋倉山山頂直下
山頂まあと一投足

最後の斜面をゆっくりと登って頂上。
振り返ると、国境稜線が長く連なっている。

関田山脈の稜線
関田山脈の稜線が伸びている様子がよくわかる

西側に目を転じると、妙高を中心に、左は黒姫山と高妻・乙妻、右には火打山が薄い雲を纏って広がっている。さらに右の方には薄っすらと日本海も見えているようだ。絶景で見飽きることがない。

山頂からの展望が開ける
思った以上にいいお天気に恵まれ周囲の展望が開ける

反対側は遠く上越国境、苗場から志賀の山々が霞んで見えている。千曲川を挟んだ対岸は野沢温泉のスキー場。

頂上ではグループから単独行まで多くの登山者が寛いでいた。
なかには荷物をデポして、頂上直下の斜面の滑降を楽しんでいるグループも…。

鍋倉山頂に憩う人びと
山頂では登頂した人々が三々五々休憩していた

眺めを楽しみ、写真を撮って、行動食を少しお腹に入れて滑降準備。
まずは東尾根を降りながら良さそうな斜面を物色する。昨日土曜日に刻まれたらしきシュプールも目立つが、まだまっさらな斜面も時おり現れる。
場所によっては、底がすぐに感じられるところもあったが、気温のわりに雪質はまあまあ。ブナ林の斜面を三人三様思い思いに降って行く。

トラバースしながら善き斜面を探す
トラバースしながら善き斜面を探す
上部に残る魅惑の斜面
上部に残る魅惑の斜面

最後は少し密になってきた樹林をかわしながら幅の広い谷地形の底へ降りると、往路に合流して楽しい時間はあっという間に終わってしまう。少し短かった…と感じはしたが、シーズン初めてのスキーなので足馴らしでちょうどよかったのかもしれない。

ちょうどCo850付近で往路に合流してからは、あまり傾斜のない広い斜面を修行のように歩きつつ、余韻を楽しむ。
頂上からは45分で除雪終了点まで戻ってきた。やっぱりスキーの降りは早いね…。

車に戻ってからゆっくりと片づけをして、お風呂はどうしようかと相談。
師匠ふたりが戸狩温泉望の湯がいいだろうと、車で向かうも何やら扉が閉まっていて開かない。営業しているはずだけどなあ、と首をひねるも開いていなければしかたがない。諦めて、少し離れたいいやま湯滝温泉へと転進。露天風呂を堪能して、豊田飯山IC近くの蕎麦屋で蕎麦を食して帰路に就いた。


メンバー:I(L) 古巻 T
山域:上信越国境山群
山行形態:スキー 個人山行
コースタイム:
温井集落内駐車地点(9:08)-除雪終了点(9:15/20)-Co860付近(10:25/40)-Co1210圏鞍部(11:30)-鍋倉山頂(11:40/12:10)-Co860付近(12:30)-除雪終了点(12:55)-駐車地点(13:02)
地形図:野沢温泉
報告者:古巻

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