葛根田川北ノ又沢~玉川大深沢関東沢~東ノ又沢

東北遠征 第1弾 「葛根田川大深沢周遊」
長期の夏休みが取れた大塚さんと東北方面に10日間の遠征に行ってきました。葛根田川大深沢周遊2泊3日に始まり、下北半島まで足を伸ばし日帰り沢4本を遡行しようという計画です。お互い結構な年なので10日間の日程の内、3日間を休養や移動日にあてて、日帰り沢を途中でエスケープしやすい沢や短い沢を選んで組んでみました。
第1弾は葛根田川北ノ又沢右俣遡行~玉川大深沢関東沢左俣右沢下降~東ノ又沢遡行の周遊計画です。

8/2(金) 天候:晴れ

前日は午後2時ごろ都内を出発し、大塚さんのミニバンで東北道を半日かけて北上し、雫石の道の駅でステビバしました。まだ、北東北は梅雨明けしていないのとその前の週に大雨があったので、天候不良や増水を警戒していましたが、滝ノ上温泉の駐車場に着くと雲ひとつない快晴。まるで梅雨明けしたかのようで、照りつける日差しが痛いです(実際この日に北東北は梅雨明けしていたのを後で知りました)。駐車場に車は我々だけで、入渓する遡行者や釣り師はいないようです。アブが多少飛び回っていましたが、気になるほどでもなく入渓準備を済ませ7時半ごろ出発しました。

しばらくは、葛根田地熱発電所に続くアスファルト道をゆき、構内を抜けて左岸沿いの道が消えるところから山道となってしばらく行くと登りの始まるあたりで赤テープが川方向に続くのでそれをひろって川岸に降りたちました。増水した跡はありますが、それほど酷くはなく遡行可能なようで一安心です。

スクラム徒渉を交え、歩きやすいところを遡行していき、右から明通川が流れこむポイントを過ぎると見事なスダレ滝が何本か両岸から流れ込みます。

左岸から流れ込むスダレ滝。穴ぼこか骸骨を連想させるのかドクロ滝との通称があるようです。

右から25m滝を伴って細い流れが流れこむところで川は左に方向を変え前方に「お函」の入り口が見えてきます。ここまで、滝ノ上温泉から約2時間、しばし休憩します。

ここから、U字型の明るいゴルジュが始まります。前半は左側を行きますが、所々トラロープが見られます。

「お函」前半部出口の3x4m2条滝、葛根田川のすべての水流を激しく落としています。

2条滝を過ぎると一旦流れは穏やかになり、美しいエメラルドグリーンの流れが続きます。

この区間は、右でも左でも好きなところをへつっていけます。まさに癒しの空間と言えるでしょう。

再び両岸が狭まりはじめ、「お函」後半部が始まります。右側をメインにヘつって、或はバンド上を遡行していきます。

写真で良く見かける、後半部で左から流入するスダレ滝のポイント。やっぱり素晴らしい景観です。
ピットホールに移る夏雲と葛根田川「お函」後半の流れ。

「お函」を抜けると直ぐに大石沢が左から1:1で流れ込みます。対岸にはテン場適地がありました。しばらく休憩し、遡行を再開、両岸から流れ込む枝沢はスラブ滝となるパターンが多いです。瀞場やナメ、スロープ滝を楽しく越えて行くと左から沼ノ沢が8x12m階段状の滝を伴ってあわさり、更に5分程度で左から中ノ沢が1:1で合わさります。出合いで昼食休憩をとりました(右岸側にテンバ適地がありました)。

お函を過ぎても癒し系の美しい流れが所々で見られます。

休憩後、20分ほど行くと初日の核心、大滝12mが勢いよく落ちているのが見えてきます。前衛の3x5m滝を右から登り、大滝滝壺の右側の壁を少し登り潅木帯に入ると踏み跡がありそれを辿ると滝上に降りれます(滝上への下降にトラロープあり)。

核心を過ぎたので、しばらくはイワナと戯れながら遡行を継続していきました。テン場適地もちらほら出てきましたが、当初の計画通り滝ノ又沢の極上テン場を目指します。

滝ノ又沢との出合いに到着すると出合いが結構荒れていて、テン場適地との情報のあった左岸側は大きく削られて木が倒れてしまっていました(かろうじて台地上にテンバ適地がありましたが水が流れたようで大きな石がゴロゴロしていて整備が必要なのでやめました)。

滝ノ又沢出合。最近大水があったのか荒れていました。

結局、その手前のいかにも最近できた流木帯の後ろに砂地があったので今宵の泊場に決めました。

夜は、いつもの通り焚火を楽しみながらお酒を飲んで就寝しました。

 

8/3(土) 天候:晴れ時々曇り

翌日は、7時前に出発、2つほど小滝を越え20分程で左俣に4mの滝がかかる二俣となります。青いナメ床の続く右俣に大白森湿原を目指して入っていきました。

15分ほど歩くと釜を伴った15m滝が出てきます。右岸側の比較的潅木降りてきている弱点を登り薄い踏み跡を頼りに滝上方向へ行くと先行者のスリンゲのかかる根っこが出てきて、それを利用して懸垂下降し滝上に降りたちました。

続く4m滝も手強そうなの同様にして右岸側から巻き、立木から懸垂下降してクリアしました。この2本の滝の通過で約1時間を要しました。

この先は、白いナメとナメ滝がしばらく続くが、砂地には熊の新しい足跡が目立ち始め熊密度が濃いことを感じさせられます。

2m+2mのスダレ状2連滝を越える。

と、白いナメ地帯が再び展開され、右岸側に崩壊地が2個現れ、その間には美味しい水が数カ所から湧き出ていて喉を潤しました。

co950mで右岸側から合わさる枝沢には今回見た最大の滝、35x45mスラブ滝がかかり見事な景観でした。

その先でいくつかスラブ滝が出始めますが何れも登って越えることができます。15x20mスラブ多段滝はロープを出し、途中ハーケン、カム、潅木で支点を取って左側を登り後続を確保しました。

この6mスダレ滝は登れそうもないので、右側を巻いて越えました。

その先は、大きな滝はなく、ナメとナメ滝がco1160m付近まで続きます。

沢が狭まりボサが被ってくるようになるといよいよ大白森湿原が近い。が、ここからが本日の核心でした。

沢を外れ北方向に1時間ほど濃い笹薮を漕ぐ羽目になり、やっと湿原に出られました。しかし、湿原が終わると再び濃い笹薮漕ぎとなり小一時間かけて登山道に出ました。想定外に時間がかかってしまい、本日中に予定の東ノ又沢泊場まで行くのは難しくなりました。

登山道を30分ほど西方向に下り、co1195m付近から登山道を外れ関東沢左俣右沢を目指し藪に突入すると15分ほどで沢形に出ることができました。そこから30分程度で茶色ナメのco1110mの二俣まで下降できます。

関東沢は総じてナメ床が続く下降しやすい沢でしたが、1箇所8m滝で潅木にスリングをかけて懸垂下降しました。

こんなに太い大木も無残にもぶっ倒れてしまうのですねぇ。天然砂防ダムになりつつあるのかな。

いい時間になり、テン場を探しながら下りますが、なかなか見つかりません。12mの大滝が出てきますが、左岸側から薄い踏み跡を辿って巻き降りました(右岸側から滝壺流れ込む枝沢が天狗湿原に通じているのですが見落としました)。

そこから5分程度下った右岸側に絶好のテン場を見つけたので、少し切り開いて今宵の宿としました。近くの水芭蕉の葉っぱがなぎ倒されていて、明らかに大型動物が通ったようなので爆竹を用心のため鳴らして、川原でいつものように焚火を熾し、夜は更けていくのでした。

 

 

8/4(日) 天候:曇り時々晴れ、後一時雨

3日目は6時半ごろ出発しましたが、天狗湿原への枝沢がまだ下にあると思っていたので下降していきます。10分下降しても一向に出てこないのでおかしいことに気付き引き返しました。結局、昨日下降した12m大滝滝壺に流れ込む細い流れをみつけそれを登っていきます。

沢形がかなり続くのでそれを忠実にたどっていましたが、一向に湿原が出てきません。明らかに湿原地帯よりも高い標高に行ってしまっていたので、そこそこの藪を漕いで方向修正すると天狗湿原に出られました(実はiPhoneの電源ケーブルが断線し2日目以降は、自分はGPSも写真も撮れない状態で、地形図、コンパスと大塚さんの地形図がぼんやりとDLされたiPhoneのGPS情報をたよりにルート取りしていました。いつもGPSに頼っていたのでこういう時はダメですね)。

 

誰もいない天狗湿原を縦断して東ノ又沢を目指します。

天狗湿原の北東側の藪を漕ぐと5分ほどで東ノ又沢の枝沢に降りれました。

そこから、10分ほどの下降で本流に出られます。本流を下降すればほどなく大深沢のナイヤガラの滝が見れるはずですが時間が押しているのでそのまま遡行することにします。本流は赤茶のナメが流れる癒し系でしたが・・・。

ナメ地帯はすぐに終わり、比較的大きめの岩がゴロゴロする地帯が1時間以上続きます。

いい加減、うんざりしてボヤキが口から出始めるとやっと滝が出てきます。と同時に両岸が狭まり浅いゴルジュ地形となります。

co1200m付近のゴルジュ入口の4x6m滝は左を登ります。その先に残置ロープがありました。

しばらく滝が続きますが、何れも斜滝で越えるのは容易でした。

滝場もco1250m付近であっという間に終わってしまい、またゴーロ帯になってしまいます。

だらだらと詰め上げていくと、沢は左方向に向かって行きます。近くに湿原あるはずなので笹薮に突入しました。

昨日ほどではないですが、30分ほどで湿原に出られましたが、途中湿原が切れていて藪に突入するのがちょっとやで、なるべく薄そうなところを探すのに苦労しました。

登山道は、気持ちの良い湿原の中に薄く続いています。丁度お昼時だったので昼食休憩としました。

三ッ石山経由で出発地の滝ノ上温泉に戻ることもできたのですが、下山時間が2時間以上短い松川温泉に下山することに決定し、登山道を大深山向かって登っていきます。ハイマツ帯に出ると遡行してきた葛根田川の渓が良く見えます。

源太ヶ岳からは松川の地熱発電所の水蒸気や松川温泉が臨めます。

 

途中雷雨にあってかなり濡れてしまいましたが、登山道を2時間程度下ると松川温泉に下山できました。

 

幸い最終バスまで1時間あったので峡雲荘の素晴らしいお湯で汗を落とし、やたら寄り道をする路線バスで2時間近くかけて盛岡に出ました。疲れていたので、その日のうちに車を滝ノ上温泉にピックアップしに行くのはやめて、「さんさ踊り」最終日で賑わう盛岡で名物の冷麺と焼肉を堪能し、第一弾の山行が無事終わった祝杯をあげたのでした。

 


山行最終日:2024年8月4日
メンバー:坂部(L) 大塚
山域:八幡平
山行形態:沢登り
コースタイム:
8/2:滝ノ上温泉(7:24)-葛根田川入渓(8:08)-大石沢出合(11:06/20)-中ノ沢出合(12:05/29)-滝ノ又沢出合・泊場(15:43)
8/3:泊場(6:45)-北ノ又沢二俣・右俣遡行(7:03)-1283mPeak西登山道(13:40/50)-関東沢左俣右沢下降(14:14)-co1035m付近泊場(16:25)
8/4:泊場(6:45)-co1050m付近右岸枝沢(7:00)-天狗湿原(7:45/8:00)-大深沢東ノ又沢co1020m付近(8:19)-1365m付近登山道(12:20/41)-松川温泉(15:35)
地形図:曲崎山・松川温泉
報告者:坂部

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