湯西川栗山沢~フリウギ沢

湯西川右岸、独立峰的に聳える明神ヶ岳を巡る沢の遡下降を計画。前夜発日帰りで、栗山沢からフリウギ沢を巡ってきた。前日、日光市内に土砂災害警戒情報が発表されるなど、懸念材料はあったものの、想定内の天候で、何とか計画どおりのルートを歩くことができた。

梅雨も本番を迎え、天候の不安定な状態が続いている。今回は、奥多摩の予備計画も視野に、金曜の昼の予報を見て実施を決めたが、実際には日付の変わる前後に関東北部を中心にかなりの降雨があった。道の駅・湯西川で前泊としたが、車で前泊地に向かう途中、宇都宮を過ぎたあたりで前方が見えないほどの豪雨に見舞われ怖い思いをした。
明けて土曜日は高曇りの空で、天気予報でもしばらくは持ちこたえそう。大きく天候が崩れるようなら、撤退または尾根下降に切り替えるつもりで出発した。先週中止にした山行の帰りに下見をしておいたとおり、一ツ石のバス停前の駐車場に車を停めて身支度を整える。
バス停の少し下流からダム湖畔へ舗装路が降りているが、すぐ先で厳重にロックアウトされており、やむ無く橋の袂から栗山沢のバックウォーターめがけて急降下する。釣り師がつけたと思われる踏み跡が続いており、真新しい足跡も確認。どうも、先行者がいるようだ。バックウォーターをトラバースして、栗山沢へ入渓。

栗山沢出合
バックウォーターをトラバースして、栗山沢へ入渓

最初は大岩の転がる河原が続くが、右から3mほどの滝で出合う支流が入るころから落ち着いた渓相になる。おそらく、これが本来の沢の姿なのだろう。
地形図から想像した通り、栗山沢の下流部は平坦な流れが続く。谷も広く、左右にテン場に好適な台地が延々と続いている。面積だけなら数百人が泊まれる規模だ。そして、Co750付近で先行していたつり師に追いつく。気付かないふりをして通り過ぎることも可能だったが、台地が続いていて水に入らずとも歩けたので、「なるべく台地を歩きますので~」と声をかけて、先行させていただいた。

下流部の台地
台地が延々と続く下流部

ただ、釣り師対応に頭が占領されていたせいか、Co750の分岐を見逃してしまったようだ。その先、Co770に入る左岸支流のところで「あれ?」となり、水量と方位から、手前の支流を見逃したことに気付いた。
Co800付近までは、凡そ同様の渓相。その後、徐々に傾斜が増してくると小滝が続くようになり、渓相に変化が出る。

流れを跨いで越える3m滝
流れを跨いで越える3m滝

Co830で、左から見映えのする滑滝で支流が合流する。

右岸支流のナメ滝
印象的な右岸支流のナメ滝

ここからしばらくは、本流にもナメ滝が多く懸かる。Co900で右からの支流を合わせると、しばらくゴーロ状になるが、Co930の細い支流の先で幅広の6mスラブ滝が懸かる。ここは水流右を快適に登る。

6mスラブ滝
6mスラブ滝は水流右から越える

スラブ滝の先に小さなゴルジュがあり、突っ張りで越える。さらにトイ状の流れを越えると、幾筋にも流れが広がる印象的な階段状のゴーロと小滝が続く。なかなか面白い地形だ。明神ヶ岳本峰に突上げる支流をCo1150で分け、Co1220の二俣を右に入る。出合の5m2段滝を左から簡単に越えると、背の低いゴルジュとなる。ゴルジュ内は小滝が続くが、どん詰まりで、左から湧水の滝が落ち、正面と右から本流の流れが滝となって落ちている。

小ゴルジュのどん詰まり
小ゴルジュ出口。三方から水流が落ちている。

その先も狭いゴルジュとなり、出口に7m滝が懸かる。直登は難しそうなので、手前右の壁をザイルを引いて登った。さらに傾斜のあるゴルジュが続く。中は階段状の2~3m滝なので問題ないが、最後の3mのみ左岸から巻くことにした。ところが、泥の乗った斜面が雨で緩んでおり、足を置くと泥が流れ出してスタンスが定まらない。止む無く、足元の安定するところまで大きく高巻いて、Co1340の二俣に懸垂下降をした。
Co1340は右にルートを取るが、右はすぐにチムニー状の10m滝となっていて、一見険悪そうだ。偵察に登ってみると、階段状で意外と易しかったので、懸垂のロープを回収して、チムニーの中を若干アスレチック気味に登った。
昼を過ぎていたので、チムニー滝のすぐ上、Co1380分岐付近で昼食休憩としたが、右岸から湧き水が湧いており、そこに何やら道形が見える。水場に降りるひとの道か獣の道か…。
昼食後は、完全に詰めの様相。幸い通過に頭を使うような箇所はなく、最後は背の低い笹の生えた急斜面を登って、フリウギ沢との中間尾根に詰め上げた。尾根上にはうっすらと踏み跡が付いており、先を覗いてみると、赤テープの目印もある。まだ13時で天候も何とかなりそうなので、予定通りフリウギ沢を下降することにした。

中間尾根
うっすらと踏み跡のある中間尾根

フリウギ沢の名前を最初に見たのは、恐らく『帝釈山脈の沢』の中だと思う。不思議な名前なので気になる存在だったが、地味なエリアでもあり、本日初めて相見えることとなった。
さて、下降を開始するが、左手の小尾根を回り込んで沢型に入るも、最上部は急傾斜なうえに、例のゆるゆる泥斜面で足場が定まらない。最も傾斜が急なワンポイントのみ10mほど懸垂下降をした。そこからはシダが群生する斜面を下るが、水は一向に出てこない。30分ほども下ると、やっと右手から沢音がしてきて、右手から水流のある枝沢を合わせる。そこからは、足場も安定してきて通常の沢下降となる。栗山沢と違って、こちらは最上部も沢が開けていて威圧感が少なく、続く段差を淡々と下っていく感じだ。

フリウギ沢上部
フリウギ沢上部。淡々と段差を下る。

河原や段丘上を歩けるところは、時間節約のためできる限りそこを歩いて下っていく。Co1150前後のゴルジュは、左岸に釣り師のつけたらしい踏み跡が続いており、まるごと巻いてしまったのでどんな感じかまるでわからず。続く連瀑帯では、スラブの5m滝を滝上のミニゴルジュごと左岸から懸垂で下降したのだが、下降してよく見ると滝の右壁を普通に降りられたようだ。その下には、フリウギ沢最大の12m滝が懸る。両岸が岸壁になっており、懸垂下降は難しいが、左岸から急斜面を悩まずに巻き下りることができる。登りも、同じ斜面から高巻くことになるのだろう。

フリウギ沢最大の滝
下降したフリウギ沢最大の滝。左岸を簡単に巻きおりた。

大滝から下部は、落ち着いた渓相になる。岩の段差はあるが、釣り師の巻き道もはっきりしてきたので、巻き道を辿ってせっせと下る。おかげで、沢の様子はさっぱりわからないままだ。高度計が750mを指すころ、前方に小屋と橋が見えてきた。いよいよ終点である。明るいうちに降りてこられたので、ひと安心。

終着点のモノレール小屋
まさにターミナル。下降終着点のモノレール小屋。

小屋はモノレールの車両車庫のようだ。すぐ裏手に林道の橋が架かる。小屋の脇を抜けて、林道に降り立つ。橋には「フリウギサワ橋」との銘板があり、右手にはトンネルが口を開けている。トンネル坑口の右手に照明のスイッチが設置されていた。押せば20分間点灯するとのこと。トンネルを抜け県道まで10分、さらに県道を10分で一ツ石バス停まで戻った。

今回は、天候が大きく崩れずに計画通りにルートを辿れたが、ゆるんだ泥の急斜面に苦戦する場面もあり、大雨の後のリスクにも気づかされた。また、結果としてほぼ10時間行動となり、同行者にはかなり厳しい山行になったものと思われる。今後、ルート選定や計画実施の判断において、そうしたことも判断材料として活かすよう記憶にとどめておくことにした。

ところで、フリウギ沢。名前が気になってルートに組み込んだが、巻いてばかりで印象のさっぱり残らない沢となってしまった。困難な箇所は無さそうなので、いずれ遡行の計画でも立てて、どんな感じか探ってみようと思う。計画実施の条件は「晴れた日」だろうな、やはり。

遡行図20190622栗山沢からフリウギ沢
遡行図(栗山沢~フリウギ沢)

山行最終日:2019年6月22日
山域: 帝釈
山行形態: 沢登り
コースタイム:
一ツ石バス停前P(7:45)-栗山沢Co900左岸枝沢出合(9:27)-Co1240二俣(10:45)-Co1350付近(12:20/50)-中間尾根(13:03/13)-フリウギ沢Co950二俣(15:30)-大滝下(16:16)-フリウギサワ橋(17:05)-一ツ石バス停前P(17:28)
地形図:五十里湖、湯西川

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