(天候)2月21日:晴
2年前に初めて訪れた際は時おり雪の舞う天候で、静謐なモノトーンの世界をふわふわした気持ちで歩いたことを思い出す。
その時は舟鼻山から御前ヶ岳へ繋いで歩く計画だったものの、慣れないエリアと天候、把握しづらい地形と相まって舟鼻山まで歩いた時点で時間切れと判断し、周辺の偵察をしただけで御前ヶ岳登頂は次回の宿題となっていた。
今回は前回同様のスノーシューではなくスキーで歩いてみようと計画。前夜都内を出発し前泊する道の駅たじまへ車を走らせた。全国的に暖かくなる予報ではあったが、さすがに前泊地辺りは夜半から明け方にかけてだいぶ冷え込んだようで、車のウィンドウが凍り付いていて出発に手間取った。
会津田島市街から舟鼻トンネルを抜けた先、旧道との分岐周辺に駐車スペースがありそこが車のデポ地点になる。現地には7時30分頃到着したのだが、既に数台の車が停められていた。前回は他の車の姿は見なかったので少しびっくり。好天の予報を見て同じことを考えた人たちなのだろう。あまり騒がしいのは願い下げなのだが、まあこの程度なら騒がしいというほどではなさそうだ。出発の支度をしていると、スキーを持った2人パーティが先に出発して行った。スキーが少し場違いにも感じていたので心強い。
旧道の入り口、除雪されていないところでこちらも出発の準備にかかる。目の前の雪面を見ると新しいスノーシューのトレースがある。
まずは旧道に沿って林道大窪線との分岐(1034m地点)まで。途中で先行したスキーの2人組を追い越す。同じく先行しているスノーシューのトレースは林道のカーブをショートカットしていたりするが、朝一番で雪面が少し固く、スキーで急斜面を登ると苦労しそうなのでトレースのない林道を道なりに進む。

1034m地点からは林道大窪線に入る。舟鼻峠まで林道を進みそこからは地形図で町界の記された尾根に沿って林道をショートカット。再び林道に出たところで左折し、そこからはまた林道に沿って進む。舟鼻山の頂上台地の北側に沿って林道が通っているが、ひと登りした1204m地点南付近で一旦休憩した。
車を停めたあたりの標高は930mくらいなのでここまで250m強の標高を稼いだ計算になる。というか、御前ヶ岳標高1232.8m、舟鼻山最高点標高1230m圏という数字を考えるとほぼ林道だけで登りは終了とも言える。


登ってくる途中は主に北から東の方向に眺めが開ける。那須方面から近隣の博士山あたりまでの山々がよく望めた。折り重なった台地状の山々の向うにはちょっとだけ磐梯山らしき尖がりも視認できる。そして予報通り好天で暖かく、まるで春山のようだ。

休憩した場所の少し先で、スノーシューのトレースは左手(南)の林の中へ入っていく。舟鼻山に向かっているのだろう。一方で、こちらの目指す御前ヶ岳方面に向かっているトレースはない。しめしめとほくそ笑んでバージンスノーに第一歩を印す。

休憩地点から5分ほど進むと樹林が疎らになって開けた場所に出る。ついつい広い方へと進んでしまったら、北西へ降る尾根に引き込まれてしまった。そのまま御前ヶ岳に続く尾根に乗れるとよかったのだが、残念ながら間に少し大きな谷がある。止む無くトラバース気味に戻って林道に復帰。そこからさらに10分ほど進んだあたりで林道を外れ御前ヶ岳への尾根に乗る。
1203m地点の北側を進むが、周囲は真っ平でどこを見ても同じような風景が続く。ただ、今日は好天のおかげで先に御前ヶ岳がぽっこりと見えていることが多く、方向を定める苦労が少なかった。前回のように視界が限られているとナヴィゲーションに苦労しそうだ。


林道から外れて30分ほども経ったろうか。左方向からスノーシューのトレースが合流した。複数ではなくおひとりの様子。もしかすると先に舟鼻山へ寄っていたのかもしれない。その後はそのトレースと付かず離れずな感じで御前ヶ岳ピークを目指す。

近づくにつれて御前ヶ岳の”頂上ドーム”は大きく立ちはだかるように見える。スキーで上がれるのか?と一瞬懸念を覚えたが案ずるよりは産むが易し。取りついてみると普通に登れたのでひと安心。
ただスノーシュー氏のトレースはストレートな直登ルートだが、スキーのこちらは右に左に蛇行しながらでないと登れない。15分ほどの登りの後、傾斜が緩み周囲が開けてくると前方で誰かが休憩している姿が目に入った。トレースの主だろう。
近づいて挨拶をすると、白河の方でこの辺りはよく歩かれているのだとか。しばらく会津の山談議に花が咲いた。
頂上からは北方の眺望が開けている。眼前に博士山が大きく見え、その左に白く輝く飯豊の山々が屏風のように広がっていた。逆方向は樹林で見通しが悪いが、枝を透かしてうっすらと燧の特徴的な姿とその右側に会津駒ヶ岳周辺の稜線が見えた。


暫し周辺の眺めを堪能し写真を撮った後座って大休止。カロリーと水分を補給する。その後、こちらが出発の支度を始めるくらいのタイミングでスノーシュー氏が先行。こちらも30分ほども休憩してしまったので出発することにする。シールは取り敢えず外しては見たものの、滑れるのは山頂直下だけな気がする。
その斜面、基本樹林帯だが間がある程度開いておりそこそこスキーにはなったが、ゆっくり降りても10分かからずに平らなところへ着いてしまった。そのまま歩くのも大変なのでヒールフリーにして少し歩いてみたが、登りが面倒だ。やむ無く再度シールを装着。
帰りは自分のトレースに沿って戻ればいいのでとても楽ちん。
周囲の景色を楽しみながらのんびりと歩く。やっとお昼を過ぎたばかりだし、折角なので思い出の舟鼻山にも寄って帰ろうと決める。

1203m地点の東方で林道に出たところから更に15分ほど進み、沢型の手前で右手の高みに上がって南進し舟鼻山1226m地点を目指す。この沢型は前回舟鼻山から林道へ出ようとした時に辿った沢型のようで、何となく見覚えのある風景だ。基本的には南に進めばいいので、コンパスを見ながら樹林を進むと10分ほどで広々とした雪原に飛び出す。前回は小雪の舞う曇り空でホワイトな情景だったから遠望は効かなかったが、今日は晴天で見通しもよく、雪原の向こうには山々が連なっているのが見える。中央分水嶺の山並みだろうか。左手には那須周辺の山々も白く輝いている。


雪原には縦横にトレースが刻まれていたのでそこそこの人数が訪れたことが見て取れた。
前回のような神秘的な森を逍遙するのも趣深いが、今日のような闊達な眺めを楽しみながら歩くのもまた楽しい。山の中なのに運動場のように広がる雪原の情景は大変印象的だ。
この景色をずっと見ていたいがそろそろ戻った方がよさそう。ここからは来た方向へ戻るのではなく、1204m地点の南辺りを直接目指すと遠回りせずにすむ。名残惜しいのでゆっくりと進む。別の人が登ってきたトレースもあり、おかげで20分ほども歩くと往路で休憩した辺りの林道に飛び出した。
そこからは林道を戻るだけなのだが、シールを外すかどうか悩む。林道も雪のうねりが結構あったしなあと思ってシールのまま進むが、意外と大変。途中で我慢できずにシールを外してみた。ああ、この方が早かったと気付く。が、舟鼻峠からはうねりも酷くて進むのに苦労する。1034m地点からは少しマシになったものの、林道に出てからの復路は結構修行系であった。


振り返って考えると、舟鼻山からはシールを外してしまった方が全体的にはスムーズだったようにも思う。それでも林道に出てからは1時間ほどで車に戻ることができた。結構汗をかいたので、簡単に着替えて会津の銘酒を仕入れに田島駅近くの酒販店に向かった。
今回は、前回の反省を活かし最初に御前ヶ岳を目指しその後舟鼻山を周回するコース設定としたが、周辺の状況もある程度分かっていたのでスムーズに歩くことができた。スキーとして”滑る”ことができたのは御前ヶ岳の頂上直下だけだったが、スキーを歩く道具として捉えれば有用な選択だったとも思う。ただし、シールの取り外しの要がないウロコ板のようなスキーの方がより機動力が発揮できたようには思う。
いずれにしても、御前ヶ岳登頂を果たし舟鼻山周辺の様子も分かってきた。舟鼻山には2箇所三角点が設置されている地点があるらしい。次回はそれらを巡るルートを設定しても面白そうだ。






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