いよいよ梅雨明けも間近。月末の週末は好天だろうと、1泊2日で会津朝日を巡る計画だったのだが、あろうことか台風が本州上陸との予報。日曜日の予報は全般的に雨である。止む無く土曜日帰りで、先月行きそびれた鎌倉山の気になる地形を確認、ということで布沢川大滝沢を訪れた。
都内を出る時間が遅めになったので、道の駅・湯の香しおばらで前泊。翌朝、駒止バイパス経由で恵みの森へ向かう。8時過ぎに舗装道路の終点に到着。車が停められるよう道幅が広くなっている。周辺は、只見町が「恵みの森」と命名し、大滝沢の下流部には探勝路なども整備されている。
未明、道の駅周辺はかなりの降雨があったが、明けると雨も上がっており、暑い一日になりそうな予感…。身支度をして、案内板の脇から探勝路を進む。橋で布沢川の本流を渡り、5mほど上り下りして大滝沢に降り立つ。そこから少し下流が本流との合流点である。帰りに覗いてみたが、大滝沢の名称の元になっている「大滝」は、合流点を落ち口にして懸る滝のようだ。
降り立ったところから対岸に探勝路が見えるが、沢登りだからと沢沿いに進む。しばらくはゴーロ気味の河原が続くが、5分も歩くとナメが優勢になってくる。水量は少し多めな感じ。雨上がりの水蒸気がもやとなって残っているところに日が差し込んで、なかなか風情がある。周囲はブナの森で雰囲気もいい。
沢はというと、傾斜がほとんどなくナメが延々と続く。途中、幾分段差があり、そこは一応「滝」という扱いになっている。
右岸に湧き水(奥の清水という標識あり)を見るとしばらくで二俣。左から4m程の落差で滝が落ちており、正面の本流は2mの滝となっている。釜の掘り込みが深いので、左へ回り込んで越したが、他のメンバーは右から斜上して中央を登ってきた。まあ、どこでも登れるということである。因みに、この滝には「恵みの森 中ノ滝」と標識があり、探勝路は凡そここまでとなっているようだ。
中ノ滝から先もナメが続く。水量は多少減じたが、沢幅が狭まったため水位は同じくらいか。中ノ滝から上流では、イワナが走るのをより目にするようになった。永久禁漁とのことなので、のびのびと暮らしているのだろう。
時おり溝が掘れている滑床をさらに進むこと1時間弱で上ノ滝(魚留滝)に達する。魚留滝となっているが、落差は3mほどでイワナは越えていきそうだ。実際、上流で何度もイワナを目にした。ここは左端の笹を掴んで強引に上がる。
魚留を越えると、沢床にマーブル模様のような不思議な模様が現れる。層状になっている岩が浸食の具合でそのような模様を描いているようだ。やがて、ナメも途切れがちになり、左右からボサが被ってきて歩きづらくなる。倒木もなかなか多く。越すのが少々面倒。沢の中でやぶ漕ぎをしているようで、時間もかかる。12時も過ぎたので、Co830二俣で昼食休憩とした。
鎌倉山東の鞍部を目指すが、最上流部は流れが蛇行を繰り返していてだんだん方向が判然としなくなる。コンパスを見て、おおよそ方向はあっていることを確認しながら、適当にショートカットしていくと、岩の下から湧水が流れ出しているところに出た。ここが水源のようだ。
この先、一応ピークを越えて行く予定のため、念のため水を汲んでおくことにした。鎌倉山東の鞍部は、少し気になる地形になっているが、基本的には北から登ってくる化物沢の源頭部が鎌倉山東面に谷を刻んでいるかたちになっており、大滝沢は鞍部から南へ流下している、というのが正解のようだ。
北からの沢型を越えて、化物沢源頭を回り込む尾根に乗る。登り出しは急傾斜だが、ヤブ漕ぎなしに明瞭な尾根に乗り上げたものの、そこからは結構なヤブ漕ぎになった。思ったよりもピークまで時間がかかる。傾斜が緩むと頂稜の北端である。足元に三角点を発見。
地形図によると最高点は少し南寄りのようだが、三角点から西に下降すると良さそうなので、そのまま下降に移る。しばらくは右俣上部と同様ヤブ沢である。
草いきれもあり、汗だくになりながら下降を続ける。と、突然舗装道路のような滑床の流れに合流する。登ってきたら、この出合は絶対見逃しそうだ。右沢は、直接頂稜に突き上げているわけではないので、この展開はいささか意外であった。そこからは沢幅もひろがり、下降は断然に楽になった。約10分で中ノ滝が懸るCo610二俣に到達。左俣出合の滝は、右岸をフリクションと倒木を頼りに簡単に下降できた。
さて、あとは往路を戻るのみ。途中奥の清水で水分補給をして、スタスタとナメを下り、探勝路を使えるところは探勝路を歩いて入渓点に戻った。
せっかくなので、大滝沢の名前の由来となった大滝を覗いてみようと、少し下降すると、すぐに本流との合流点となる。本流は、そこから3mほどの滝を大きな釜に落としている。大滝というほどのこともない滝なのだが、大滝沢は大きな滝のある沢ではなく、布沢川の「大滝」のところで合流している沢の意なのだろうと結論付けた。まあ、ここから下流は里の沢の風情で、大滝付近は多少の滝場を形成しているので、分からない命名ではない。
さて大滝沢であるが、中流部まではナメが発達し美しさも感じるが、上流部は完全なヤブ沢と化して遡行に時間がかかる。結果として一日楽しめたとも言えなくはないが、鎌倉山東の地形に拘らなければ、もう少し効率的なコース設定もできるだろう。そして、予想通り暑い一日で大汗をかいた。まあ、夏本番に向けた暑さ対策訓練をした、ということで…。
かいた大汗は、国道に出てから、少し伊南川を下ったところの深沢温泉「むら湯」で流した。赤茶の源泉かけ流しで、少し狭いが熱めのお湯でなかなかいい温泉だ。さっぱりした後は、会津山口のいつものスーパーで地酒を仕入れ、帰路に就いた。
恵みの森P(8:40)-大滝沢入渓(8:43)-下ノ滝(9:05)-Co595付近(9:27/37)-Co610二俣(9:50)-Co625右岸支流出合(10:10)-魚留滝(10:42)-Co830二俣(12:20/40)-Co860圏鞍部(13:05)-鎌倉山(13:35/45)-左俣Co680付近(14:35/45)-Co610二俣(15:20)-大滝(16:10)-恵みの森P(16:15)