奈良子川ニカイ谷

天候:晴

当日朝、大月駅前で待ち合わせて、国道139号線を松姫峠方面へ進む。奈良子川を渡る橋のところで左に分岐する細い路に入るが、橋の手前には「小俣川」と標識が出ている。国土地理院の地図でも小俣川で「奈良子川」の文字はどこにもない。はて、奈良子川というのは通称なのだろうか。

車の中で「奈良子川は、呼んではいけない名前なのでは…」とかいうバカな話をしたり、地図にある「シロイハタ」という地名の由来についての高森さんの説を聞いたりしながら細い路を進むと、やがて集落も途切れ奈良子川(あ、呼んでしまった…)沿いのかなり高いところを進むようになる。目指すニカイ谷も深い谷底に流れている。二階谷橋と銘板のある橋の前後にそれぞれ狭い駐車スペースがあるが、ガードレールもなく、間違うと谷底に真っ逆さまで、あまり気持ちのいい場所ではない。橋の手前に停めようとしたら、なんと後続車があり、橋を渡った先で一旦やり過ごした後、向きを変えて狭い駐車スペースに何とか駐車。

駐車地点からは、ニカイ谷右岸沿いに踏み跡がある。踏み跡を少したどって、降りられる場所がないかと探るが、切り立った崖が続いて、懸垂でないと降れなさそうだ。適当なところで、ザイルを2本繋げ懸垂下降で谷底に降り立つ。末端は少し余るので、20~25mくらいの距離だろう。

下降点より二階谷橋を見上げる
下降点より二階谷橋を見上げる

沢の水量はそれなりにあるので、濡れずに遡行するのは難しそう。もう明日は12月だというのに…。でも、南面のせいか、陽が差し込んで暗い雰囲気がないのはいい。ゴルジュが続くが、特に険しくはなく、2~3m程度の小滝が続く。

入渓から20分ほどで、左から細い流れが入る。本流は、ゆるい2段の小滝が続き、その先の左壁に不思議な穴が開いている。大岩がごそっと抜けたような穴で不思議な光景。

二段の小滝と不思議な穴
二段の小滝と不思議な穴

そしてその穴の先に深い釜を抱く4mの直瀑。左壁にトラロープが下がっている。一見のっぺりしていて、難しそうに見えるが、近づくとそれなりに手足があり、比較的すんなりと登れた。

4m直瀑左壁を登攀
のっぺりとした4m直爆は、左壁を登る。

4m滝から小滝をいくつか越えると、深そうな釜を抱えたのっぺり滝Ⅱが登場。左壁にまたしてもトラロープがあるが、少し位置が低い。何故なら、釜を腰まで浸かって越えて、トラロープを頼りに這い上がるからであった。リーダーが先行して、予定どおり手がかりにトラロープを掴んだところ、支点のハーケンがすっぽ抜けて入水。…合掌。その後、リーダーは律儀にもハーケンを打ち直してトラロープの現状復帰をしていた。その後は、順調に登り、落ち口で念のためハーケンで支点工作をしてから落ち口へ。フォロワーはザイルを付けて登ったため、さほど労なく登ることができた。

登攀ルート検討中
登攀ルート検討中

その後しばしでゴルジュを抜け、沢が少し開ける。名残の紅葉がきれいだ。

名残の紅葉
名残の紅葉

次いで左からの枝沢の先に、岩を割って落ちる2段の滝。下段は登れそうだが、奥の上段はすこし厳しそうだ。左岸が巻きやすそうなので、左岸の斜面を上がるとなにやら道がついている。その路を少し辿り、滝場を越えたところで急斜面を下降。最後の数メートルだけ懸垂下降で沢に復帰した。

二段の滝
二段の滝は左岸の山道から高巻く
ニカイ谷左岸の山道
ニカイ谷左岸の山道

すぐに3段5mの滝が懸かり、中段をツッパリで突破。先の小滝を越え、またゴーロ歩きしばしで、倒木の架かる4m滝となる。ここは、倒木沿いに左壁を…と思ったら、倒木が不安定で危ない。右岸の急斜面を上がり、小さく巻いて越えた。

倒木の架かった滝
倒木が架かっているが、不安定だ

倒木の滝からは、またまたゴーロに。どうも滝場はこの辺りまでのようだ。左右から滝で枝沢が出合うが、本流はいたって平凡である。

Co880付近で右から大きめの枝沢を迎えるが、その先が倒木帯となっていた。さらに、倒木の上に雪の名残が出始めて、寒々しい光景に…。

倒木に雪の名残が
倒木に雪の名残が

計画では、Co985付近の右岸枝沢から右岸尾根に上がる予定だったが、遡行の興味もこの辺りまでということで、Co950付近に出合う右岸枝沢を詰め上げることになった。出合で少しゆっくりと昼食休憩の後、詰めに突入。水流はかなり少ない。2mほどの滝を右から越えて最初の分岐は右に入る。その後は左に左に進路をとり、出合から45分で尾根に詰め上げた。この尾根、古いエアリアには「ヨウダラ尾根」と記載があり、ネット上の記録では「用グラツリ尾根」とも…。どっちが正しいのだろう。また、どんな謂れが…。尾根末端のシロイハタを含め、興味深い地名が多いエリアだ。

雪の斜面を黙々と詰める
雪の斜面を黙々と詰める

詰め上げたあたりから、1,205m地点(「ナラ立」と書かれた札が下がっていた)付近まで上空を送電線が通っており、尾根上の道は送電線の巡視路として使われているようだ。道形は比較的はっきりしている。送電線沿いにナラ立付近へ至り、その後東方向の尾根に入って、シロイハタという不思議な地名の方向へ。尾根の末端付近で尾根をはずれ、作業場のような建物の脇で林道に降り立った。林道を10分ほど歩くと、二階谷橋に到着である。

稜線から望む富士山
稜線から望む富士山
シロイハタへ向けて降る
シロイハタへ向けて降る

下山でそこそこ体は暖まったが、手早く片付けて、小菅の湯まで。冷えた身体を暖めたあとは、道の駅の売店で夜のつまみなどを仕入れ、納会が開催される氷川キャンプ場への道を急いだ。

遡行図(奈良子川ニカイ谷)
遡行図(20191130_大菩薩・奈良子川ニカイ谷)

メンバー:坂部(L) 高森 古巻
山域:大菩薩連嶺
山行形態:沢登り
コースタイム:
二階谷橋(8:25)-Co800付近分岐(10:06)-Co850付近分岐(10:52)-Co950付近分岐(11:27/55)-稜線(12:40)-1,205m点:ナラ立(13:08)-シロイハタ下林道(13:54)-二階谷橋(14:03)
地形図:七保
報告者:古巻

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