(天候)4月13日:晴
裏谷急沢は10年以上前の晩秋に一度遡行したことがある。それ以降、何度か山行計画が提出されたが、天候やら何やらで再訪できないまま時が過ぎたのだが、今回は綿貫リーダーの計画で再訪の機会を得た。
前泊の道の駅妙義から車で20分ほど。入山川沿いの林道の路肩スペースに車を停める。裏谷急沢はそこから少し下流で出合う。
ガードレールの切れ目から入山川の河原に降り、本流を少し下降して出合から裏谷急沢に入る。
直ぐにスラブの5m滝が懸かる。水流右を直登できそうだが上部のホールドが微妙なため、右の土の斜面をずり上がって左へトラバースして越える。トラバースでは念のためザイルを出す。

下流部は中規模のスラブ滝が続いて概ね快適に登って行ける。

遡行開始から1時間ほどの2段の連瀑。下段は乾いた水流右を登って落ち口へ。倒木…というより枯れ枝か、が邪魔である。上段はのっぺりスラブの滝で高さもほどほどにあるため、左岸の斜面からロープ使用で高巻く。


その後はロープを出すこともなく順調に進む。だんだんに柱状節理が顕著になってくると、柱状節理で構成された5m滝が登場。直登は難儀なので、左岸の斜面をロープを出して高巻く。
その上には4段の、やはり柱状節理が特徴的な滝。合計で15m超の高さか。ただここは水流右の岩登りで攻略可能であった。

柱状節理の4段滝を越えると、右から細流が入り小滝が続く。全て直登で越えて行ける。

5m滝を越えると、その先はナメの沢床が続く。傾斜は緩いので水流の脇をスタスタと登ることができる。

しばらくナメの流れを辿り、ちょっとデコボコしたところを過ぎると流れは二手に分かれて、右奥に大滝の姿が見えてきた。ちなみに、左の支流奥には大滝のミニサイズ版が懸かっている。
デコボコのナメの沢床を進むとコンサートホールのパイプオルガンのような大滝の印象的な姿が大きくなってくる。中央の落ち口から水鉄砲のように水を落としている。
本体に近い岩場はボロボロで崩れやすそうだし、そもそも直登は困難だ。少し戻って左岸の斜面から高巻く。

大滝を越えると、スラブの流れが延々と続く。以前に遡行したのは晩秋だったので、少し寒々しい光景だった記憶があるが、今日は陽光降り注ぐ中の遡行で明るい雰囲気だ。
最初のうちは傾斜もさほどなく思い思いにナメを登って行くが、だんだんと傾斜が出てくるとスリップしないよう注意しながら慎重に登ることが必要である。かつ、息も切れるので自然ペースが少し落ちる。

傾斜がいよいよ急になってくると、沢が少し左へカーブするところに4mほどの滝が懸かっている。階段状なので越えるのに困難はない。左から越えて、さらにナメ床を進むと絵に描いたような三俣に出る。

三俣の辺りは、まだ新緑には少し早い梢を通して青空が見えて開放的な空間となっている。
三俣から先はさらに急峻になったスラブが主稜線に突き上げているので、定石通り中俣と右俣の中間尾根を詰めていく。

40分ほどの急登で谷急山の山頂に続く稜線に到着。そこからは左手方向にやせ尾根を歩いて山頂を目指す。15分ほどで少し小広くなった山頂に飛び出した。
谷急山の山頂は周囲360度を見渡せて眺望はとてもいい。東から北東方向に表裏の妙義山塊の稜線が見える。その向こうには赤城・榛名の上州名山、北方に目を転じると浅間山から浅間隠山にかけての稜線もよく見える。ただ遠方は霞んでいるので見えるのはその辺りまでであるが…。

西側の足元には高岩とその山腹を貫く上信越自動車道が、なんだかジオラマのように見下ろせる。

しばらく眺めを楽しんだ後、北稜に続く踏み跡を辿って下山にかかるが、ちょっと慎重に降りすぎたせいか、結構な時間を費やしてしまった。前回は2時間ほどで下山している。歳とってバランス悪くなったせいだろうか。ちょいと鍛えなおさないといけませんな。反省…。

駐車地点(7:30)-Co640付近12m滝上(9:42)-柱状節理連瀑帯(11:10)-20m大滝上(12:05)-Co980三俣(13:05)-稜線Co1120付近(13:45/50)-谷急山山頂(14:03/15)-入山川(17:40)-駐車地点(17:45)