三面川長津川

8月最後の週末はノロノロ迷走台風が接近中で全国的に気象警報が出る中、新潟の北部が比較的天気が良く狙い目であったので、以前から興味のあった三面川長津川の計画をあげた。長津川は、ヤマケイ登山学校の「沢登り」にお勧めの東北の沢として掲載されているが、Webで探しても記録が出てこない不思議な沢だ。その理由はなんとなく下山後にわかったが、ことの詳細は以下のとおりである。

9/1(日) 天候:晴れ
前日は、五頭のハゲ沢からの継続で、道の駅 朝日まほろば トイレ横の案内所の軒下で前泊した。台風もまだまだ遠くで意外に泊りやすい環境であった。当日朝にYamaYamaGVPとSCWをにらめっこし、9/2の午前中までは天気が持ちそうなことを確かめ決行することにした。道の駅から30分ほどで小楊川沿いの林道の通行止めゲート(co100mあたり)に到着。アブはまだ少したかってくるがそれほどでもない。身支度は道の駅で済ませてきたので、ハーネスを装着して出発する。

これは2番目のゲート。この手前300mのゲートで車を停めた。この先に鍵付き鎖の3番目の通行止めがあるが、林道自体は柳生戸まで問題個所はなかった。

林道は小楊川沿いを緩やかに続き、40分ほどで右側に廃屋が出てくるところから才ノ神峠への登りにかかる。ここらあたりでふと足元をみるとヒルがスパッツを登ってきていたので駆除する。林道に少しつもる落ち葉周辺をみるとヒルが数匹蠢いていて恐怖の林道であることを知る。これ以降、数分おきにヒルチェックをしながら歩を進めた(時々たかっていたので駆除しました)。

40分ほどの登りで才ノ神峠に到着。祠が祀られていました。湿った落ち葉が近くにない場所を選んでしばし休憩。

30分程度下ると柳生戸集落跡手前に現在も使われているような、ログ&ツリーハウスが左に出てきます。ツリーハウス部分にはバスタブが設置され快適そうな作りです。

柳生戸集落跡を過ぎて林道から左に少しそれてヤブ道をしばらくいくと長津川が大分近づき、小堰堤手前で入渓しました。出発からここまで2時間半かかり、アプローチが長くなってしまったのは残念な点です(数年前は柳生戸まで車でアプローチできたようです)。ここでヒルチェックすると数匹ひっついていたので駆除しました。これ以降は沢の中を進んだのでヒルの脅威からは解放されました。

水流はとても澄んでいる沢です。

少し行くと大堰堤が出てきますが、右側を巻いて越えました。

堰堤上からはしばらく穏やか流れが続き、時々魚が走ります。

川原は、小粒な石で敷き詰められていてとても歩きやすいです。癒しの渓相がしばらく続きます。

流れが細くなるところで瀞も出てきますが、砂と小石でかなり埋まっていて難なく通過できます。

かなり狭まるところでもこの程度の流れでへつって難なく越えて行けます。

ミニゴルジュと穏やかな流れが交互に続き飽きさせないので遡行していて楽しい沢です。鷲ヶ巣山に突き上げている小玉沢が5m2段滝を伴って1:3で流入してきます。ここまで、入渓から1時間程度でした。

再び魚が走る穏やかな流れが展開されると、

ミニゴルジュ帯が時々挟まります。

穏やかな流れとミニゴルジュを繰り返し徐々に高度を上げていきます。

入渓から2時間半でco330mの二俣(1:3)に到着です。対岸の潅木に何故かトラロープがまとめられつり下がっていました。釣り人のなんかの道具でしょうか・・・?用途不明です。

右俣に進むとすぐにゴルジュ帯となります。小滝が幾つか続きますが難なく越えて行けます。

ゴルジュを通過し、時間もあるのでイワナと戯れながら進みます。

3mの深釜を持った滝が初日の最大の滝でした。この釜には尺イワナが住んでいました。

この滝も右側を簡単に越えられます。

その先はイワナが走る穏やかな流れがしばらく続き、テン場を探しながら遡行していきます。

co390mに焚き木が豊富な絶好のテン場適地があったのでここでタープを張りました。

焚き木はすぐに集まり、水流近くの砂地で盛大な焚火を熾し、くつろいでいるとハプニング発生、手にヒルがついていました。対面の本郷さんは笑っていましたが、手をみると2匹のヒルが這っていて、2人して塩を周りに撒き結界を作り、少々ビクビクしますがひとごこちつきました。

結局、この日は怖くてタープ下では寝れず焚火を囲んでの就寝となりました。

9/2(月) 天候 曇り後雨

翌朝も朝から焚火を楽しみ、朝露で重くしただけのタープをたたんで7時前に出発。

朝方はまだ晴れていました。

結構上流ですがいくつもインゼルが出てくるほど流れが穏やかで、イワナがまだまだ走ります。砂地で絶好の産卵場所を提供しているのでしょう。

30分程度行ったところで本流に4m2段滝がかかる二俣(3:1)になります。午後から天気が悪くなる予報なので少しでもショートカットできる右の枝沢入っていきました。

これまでと一転して、枝沢の両岸は結構切り立っていて、小滝もかかります。

この3m滝は登れず、この沢で初めて右側を巻きました。

続いて出てきた10m滝は登れそうなのでロープを引いて左を2カ所ハーケン打って登り、上部は潅木帯に逃げました。

水取後、18mのぬめったスラブ壁となり、遡行を打ち切り右の支尾根にとり付くために急な潅木混じりの泥岩斜面をしばらく腕力勝負で登りました(途中足場の岩が崩れ1mずり落ちヒヤッとしました)。

支尾根にとり付き30分程度で、co590m付近にトラバース状についている塩の道に出て一安心です。トラバース道はしっかりしているようなので、右の枝沢に入らず本流を行った方が滝や急登もなく結局早かったかもしれません。

塩の道は、以前遡下降した小国の樋ノ沢の方に通じています。

大峠への尾根を各ピークを巻き気味につけられた塩の道は歩きやすい所もありますが、所々ヤブ化が進んできています。

道沿いのブナの大木には大抵キリツケがあります。

風雨が激しくなってくる中、当初予定していた綱木川への下降ルートは諦め、塩の道を使い下山を急ぎます。

513mピークの手前で右に大きくトラバースしてしばらくジグザグを切って下るとつぶれたバンが放置されていました。昔はここまで車で入れたようですね。

そこからは、柳生戸集落跡までヤブと化した林道を進み、ヒルとアブと闘いながら2時間かけて駐車地点に戻りました。

ログ&ツリーハウスに戻ってきて道は良いのですが、ヒルは雨のせいか活性化していました。

駐車地点からは雨も酷いので、道の駅に戻って装備を解除しましたが、スパッツの内側からは何匹も丸々と太ったヒルが転げ落ちてきました。計14箇所が吸血被害あっていて、道の駅に一時血だまりを作ってしまう羽目になったことを付記しておきます。
アプローチの長さ、ヒルとアブの存在がこの沢を入渓しづらくしている原因でしょう。まさに沢の中は天国、陸に上がれば地獄の山行でした。10月中旬から11月上旬のヒルの活動が抑えられるような天気の日を選んで入渓するともっと楽しめると思います。

 


山行最終日:2024年9月2日
メンバー:坂部(L) 本郷
山域:朝日連峰
山行形態:沢登り
コースタイム:
9/1:小楊川林道ゲート(8:00)-才ノ神峠(9:06/20)-長津川入渓(10:16/30)-co390m付近幕場(15:33)
9/2:幕場(6:45)-co430m二俣・右沢(7:13)-塩の道co590m(9:52/10:05)-柳生戸集落跡(13:30)-才ノ神峠(14:13)-小楊川林道ゲート(15:10)
地形図:越後門前・三面
報告者:坂部

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

TOP