三滝沢-赤湯又沢-虎毛沢

7月の海の日をからめた三連休は、天気予報がコロコロかわりヤキモキしましたが、結局最初に計画した三滝沢-赤湯又沢-虎毛沢の実施となりました。虎毛山塊は一応秋田県なので、前日夜に近くの道の駅に泊れるように早めに出ましたが、意外と時間がかかり、あ・ら・伊達な道の駅への到着は日付が変わっている上にパトカーが巡回中で就寝は1時過ぎとなりました。

7/13:晴れ
道の駅を6時前に出発し、途中のコンビニで朝食を済ませ下山口の赤倉橋近くの林道ゲートに折りたたみ自転車をデポし、そこから車で10分程度のツブレ沢に入渓するヤブ道の近くの路肩に駐車し身支度を整え出発したのは、8:15分頃となりました。ヤブ道はだんだんと細くなり、湯ノ又沢を越えるころにはいよいよ不明瞭になったので、適当なところでツブレ沢に降りたちました。降りたところは、川幅4-5mの平凡な河原です。

河原を20分ほどいくと、左からワルイ沢があわさり、ツブレ沢には最終堰堤がかかりますが、簡単に左側の踏み跡を使って越えられます。その後、三滝沢まで三つ滝が出てきますが何れも簡単に越えられます。

一つ目の4m滝は左側から登って滝上までバンド状をトラバースします。
二つ目10x12m滝は、少し戻って右側の巻き道を辿り越えました。
三つ目5m滝は、左にトラロープがありますが、それは不要で簡単に水流際を登れます。

三滝沢出合いには、10:30頃到着。エメラルドグリーンの川底が目立ちようになってきてしばらく休憩しました。

出合からすぐの10m滝が今回の周遊で一番大きい滝です。左のスラブを潅木だよりに登りますが、自分は重荷トップで行く自信がなく空身でリードさせてもらいました。潅木に何カ所か支点をとって無事滝上に抜けました。後続を確保し、自分のザックを荷上げしましたが、岩にこすれて大きめの穴があいてしまいました。ちょっと荷上げルートの選択をあやまりました。それと1時間を費やしてしまい、ロープワークのスピードを上げる必要を痛感しました。

滝上には、エメラルドグリーンのナメがこれでもかってくらい続きます。思わずみんなニコニコしてしまいます。

虎毛特有の赤紫の亀甲模様のナメとエメラルドグリーンのナメが交互に出てきて続きます。

出てくる滝も容易なスラブ滝でホールドを使うこともなく越えられます。

スラブ滝に不思議な文様が入っていました。

4x6mの特徴的な赤いスラブ滝はどっちからも越えられます。

再びエメラルドグリーンのナメ&ナメ滝が続きます。

途中、6mスラブ滝を右から小さく巻いたぐらいでその他の滝は全て登れました。楽しい時間はあっという間に過ぎ、沢筋が細くなってくるとco950mあたりで水が涸れ笹薮漕ぎとなります。

40分弱藪を漕ぐとco1033mピーク手前で登山道に出て一安心。高松岳が遠望できます。

高松岳への登山道が曲者でいつ刈り払いがされたのかわからないほどのヤブ道で少々藪の中を迷ったりして想定外に時間がかかり、2時間弱で赤湯又沢右俣co950m付近に懸垂下降で降り立ちました。今回はガンジャロコース手前ピークから赤湯又右俣へアプローチしましたが、効率的なルート取りとしては、ガンジャロ―コースとの分岐付近の鞍部から赤湯又にアプローチした方がわかりやすいし、三滝沢を詰め上げたco1033mピークから赤湯又左俣へ下降するルートは難しいところが特にないとの記録を下山後見つけ、そちらが最短コースであることを後で知りました。

そこから赤湯又沢を下降し、左岸の枝沢に入ったところの源泉地帯に向かいます。

源泉地帯は、いたるところから噴気があがり、沢の流れは生ぬるい。

右岸側のちょっとした台地を今宵のねぐらとし、対岸で焚火をおこし、夕食後はちょっとぬるめの温泉を楽しみました。

噴気孔に網袋に入れた生卵を突っ込み、温泉ゆで卵(黒卵)も楽しみましたが、本郷さんの持参した6個の生卵はいずれも割れていて、翌朝の卵炒めにまわしました。

7/14:晴れ時々曇り、夜中小雨
翌朝は、前日の寝不足から8時と遅めの出発。源泉地帯を横目に赤湯又沢を下降していきます。

赤湯又沢は、温泉成分が流れこんだため少し濁ったぬるめの水流の赤っぽい川底で、比較的大きめの岩がゴロゴロしていて歩きにくいです。7x8m二条滝では左岸を短く懸垂下降しました。

小さい滝をいくつか下降し、河原を下降していくと左岸側に噴気が見えました。近くにいってみると、煮えたぎったお湯が湧いていて近くの流れとうまい具合にあわせて掘り下げた1人分の浴槽がありました。

この周辺はオンドル状態で平らで絶好のキャンプ地です。
本流脇には、ちょうどよい温度の2人ぐらい入れる浴槽が二カ所作られていました。

本日の食当の大塚さんが山菜のミズを収獲しました。明朝の味噌汁の具にする予定です。赤湯又沢の下降では足跡が二つありましたが結局別のパーティーには遭遇しませんでした。

その後は単調な大きめの石がゴロゴロする河原を下降していくとゴルジュっぽい地形になったところが虎毛沢との出合いです。赤湯又沢には下降できそうにない3m滝が落ちており、右岸の踏み跡に入って虎毛沢に巻き降ります。

虎毛沢に巻き降りたところもゴルジュになっています。

が、すぐに谷は開けてエメラルドグリーンの流れと河原になります。虎毛沢の石は小粒で歩きやすいです。

最初の方は時々、小さな滝が出てきますが難しいものはありません。簡単に越えられます。

積極的に水流脇をヘつっていきます。

この美しい大きな釜を越えると浅いゴルジュ状になります。

今回は、ここまで魚影がほとんど見れません。

ゴルジュ内の倒木を渡ったりして、楽しくクリアしていきます。

へつりが続きますが、難しくはないです。
ここを曲がったところの小滝が通過できず、右を高巻きました。
前回は左をへつれたようですが今回は登攀力の低下でダメでした。

ゴルジュを抜けるとスラブとナメが展開します。

赤紫の亀甲模様のナメも健在です。

テン場手前の深い釜で釣りをしてみましたが、全くあたりはありませんでした。
その先は平凡な河原がテン場まで続きますが、春川ダイレクトク―ロワールから下山中の3人組に遭遇。先行パーティの2人組がいるとの情報を得てテン場予定地がバッテイングしないか少々心配となる。(まー少し切り開けば適地になるところはそこかしこにあるので問題は無いのだがそれが少々面倒。)

イワナはどこにいってしまったのかなぁ。

幸い、当初予定していたその先の右岸台地に今夜の幕場を整えることができ、河原で焚火を楽しみました。お目当てのイワナは釣れなかったけど、大塚さんの特製カレーで満腹になり、薪も昨日と比較すると豊富だったので遅くまで火にあたって完全に乾きました。

7/15:小雨後、曇り時々晴れ
翌朝は朝早くから焚火をおこし、ミズの味噌汁で朝食を済ませ雨がポツポツ降る中7時前に出発しました。

幸い雨は直ぐにやみ、せいぜい3m程度の滝やナメを楽しみながら遡行していきます。co735mの二俣で右俣に入るとしばらく連続する滝場となります。と言っても、せいぜい8m程度の滝で気持ちよく詰め上げていきます。

8m滝は右をロープを出して登りました。
2m滝は左を登ろうとしましたが上部に手がかりがなく、大塚さんに右のガレから登ってもらいロープを出してもらいました。

天気も大分回復してきて、時々現れる小滝を楽しく越えて行きます。

co1110m付近で水が涸れ、ガレ状の窪をしばらく登ると笹ヤブ地帯となりますが、その間に続く窪を選んで比較的楽なヤブ漕ぎでco1250m付近の登山道近くまで登っていけます。

登山道で小休止&昼食と水以外の荷物をデポし、山頂を目指します。このころには青空が広がるようになり、避難小屋が見えてくると山頂はすぐそこです。

避難小屋は良く整備されており、阪神タイガースの応援でデコレーションされています。
co1432.7m虎毛山山頂で記念撮影しました。

山頂から少し続く木道を下ると高層湿原が広がります。チングルマの花はもう終わっていましたが、モウセンゴケやワタスゲが観察できます。昼食休憩をとり、昼寝に最適なベンチに後ろ髪をひかれましたが、下山を開始しました。

赤倉沢方面への分岐まで山頂から50分、そのまま稜線に続く登山道は熊のため通行禁止になっていました。そこから赤倉沢にかかる壊れかけた木橋まで1時間ちょいです。

沢沿いの登山道をしばらく行くと林道や堰堤を整備中でした。林道の脇には伐採した檜や杉が見事な形でいくつも山積みされていましたが、全てお買い上げの張り紙が張られてました。木材の旺盛な需要に驚きです。

林道をしばらく歩き、赤倉橋チャリデポ地点には16時前に到着。大塚さんにチャリで車を回収してきてもらい、鬼首温泉の銭湯 目の湯でさっぱりして帰京しました。

明るい素晴らしいナメを存分に楽しめる三滝沢、源泉と温泉が豊富な赤湯又沢、ナメと比較的やさしいゴルジュが楽しめる虎毛沢、最後は高層湿原の広がる虎毛山を訪ねる周遊コースは、それぞれの沢で景色が異なり秀逸なルートだと思います。
下山後は、適度な達成感とだるさも味わうことができました。
関東方面に戻ると雨模様で、この三連休は遠出となったけれど天気に恵まれ満足のいくものとなったことを感じたのでした。


山行最終日:2024年7月15日
メンバー:坂部(L) 大塚 本郷
山域:栗駒・虎毛・神室
山行形態:沢登り
コースタイム:
7/13 ツブレ沢下降点路肩(8:15)-三滝沢出合(10:15/30)-登山道(14:43)-赤湯又沢右俣温泉湧出地(18:15)
7/14 赤湯又沢右俣温泉湧出地(8:02)-虎毛沢出合(11:50)-虎毛沢co700m(16:30)
7/15 虎毛沢co700m(6:40)-co1250m登山道(11:35/49)-虎毛山(12:20/13:02)-赤倉橋自転車デポ地(15:58)
地形図:秋ノ宮・鬼首峠
報告者:坂部
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